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ORICON NEWS
“田舎暮らしをしたい!”と思ったときにすべきこと【実体験レポート】
STEP04 移住後の収入手段を確保する
田舎暮らしをしたいと思ったら、仕事についても考えなくてはいけない。
私は、フリーライターという仕事柄、パソコンとインターネット環境があれば、さほど場所に縛られない。しかし、打ち合わせなどで出版社を訪れることも多く、都内からあまり離れるのは多少の不安があった。
私が暮らす地域は有機農業が盛んということもあり、都会からやってきて農家で研修後、新規就農する人も多い。移住者の中には作家、陶芸家、庭師、装蹄師、パン屋などがいて、手に職を持っている人は、どこに住んでもほどほどには食べていけるようだ。それに田舎といっても30分〜1時間も車で行けば地方都市があり、探せば働き口はある。
勤めていた会社を辞め、都市部から私と同じ地域に移住してきた友人は、「仕事なんてなんでもいい。食っていくくらいはできるだろうと思って、勢いで田舎暮らしを始めた」と話す。「都会で一生懸命働いてお金を得れば、それで物欲は満たされるかもしれないけど、ときどき何のために働いているのか分からなくなる。それよりも田舎の広々とした土地で好きなことをやって暮らしたかった」というのが、思い切った行動の理由。「働いて収入を増やすより、工夫して支出の少ない暮らしをした方が楽しい気がする」と言い、今は大工をやりながら田舎暮らしを満喫している。
田舎で自分が求める暮らしを思い描ける人は、安定した収入を捨てる勇気を持っている。それがなければ移住は思いとどまるべきだろう。もしくは、その土地での仕事を決めてから、不安を持たずに移住してきた方がいい。
田舎暮らしをしようと思ったら、物件や仕事など今の暮らしからシフトしなくてはいけないことがたくさんある。準備期間は余裕を持ったほうがいい。移住を考えている地域の四季も知っておくべきだろう。特に雪の多い地域は、必ず一度は冬に訪れよう。
そうしたことを考えると、田舎暮らしを思いついてから実現するまでは、少なくても1年くらいは見ておいたほうがいいと思う。
終わりに:田舎暮らしレポート
先述したように我が家には当初、風呂、トイレ、キッチンといった水回りがなかったが、それは最初から自分で作ると決めていた。それまでDIYの経験といえば、友人が東京・奥多摩に入手した古民家を改修するのを手伝ったくらいだった。しかし、作ることに興味があり、とにかく自分でやってみたかった。
プロのようにきちんと作る必要はない。失敗しても、それは次のステップになる。
仕事の空き時間で作業していたため、まともな生活ができるようになるまで1年あまりかかった。ただ、不動産屋に最低200〜300万円かかると言われた水回りのリフォームは、自分でやることで60万円ほどに抑えられた。これをきっかけにDIYが暮らしに欠かせないものになり、また楽しみにもなった。
生活に必要なものを自分で作るというのは、人の暮らしの基本だと思う。畑では野菜を育て、ニワトリを飼って卵も自給。さばいて食べることもある。日常的にアウトドアの要素が高いため、田舎暮らしを始めてからキャンプにあまり行かなくなってしまった。
庭では自由に焚き火やバーベキューができるし、薪ストーブの炎を眺めて過ごす冬の時間も極上である。
8月も終わりに近づき、家の前に広がる田んぼの稲はだいぶ頭を垂れている。それが黄金色に染まればもう秋だ。木々や草花や鳥や虫たちが季節を教えてくれる。
日々、小さな自然に触れながら暮らし、生活を自分で作ることができる田舎には本当の豊かさがあると思う。
「田舎暮らしをはじめたい!」と思ったらやるべき10のこと
1 田舎でどのような暮らしがしたいか目的を明確にする
2 家族の同意を得る
3 移住したい地域を絞る
4 予算をトータルで考える
5 物件探しの条件と優先順位をリストアップする
6 いつまでに田舎暮らしを実現したいか明確にする
7 インターネットや雑誌、移住相談会などで情報収集する
8 移住したい地域にできるだけたくさん訪れる。物件も見る
9 移住後の収入手段を確保する
10 最初は賃貸や二地域居住もあり。仕事や暮らしをちょっとずつ田舎にシフトしてみる
上記のような条件をクリアし、地域や物件が決まったらいよいよ田舎暮らしスタート!
アウトドアライター 和田義弥
旅やアウトドアなどのジャンルを中心に記事を執筆するフリーライター。これまでオートバイで世界一周したほか、自転車ではアラスカやフィリピンを野宿ツーリング。現在は茨城県筑波山麓の古民家で田舎暮らしを実践中。著書に『キャンプの基本がすべてわかる本』(エイ出版社)などがある。