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若者も中高年もライバー化? 誹謗中傷に権利侵害…誰でも配信できるからこそのリスクとは?
誰でも配信できるからこそのリスクとは?
“歌うま”を目指す若者たち、一方で中高年もライバー化?
「分析採点JOYSOUND」
バズった動画や人気の配信者に影響を受けて、「自分もやってみたい」と感じる若者も増えているようだ。JOYSOUNDを展開する通信カラオケ大手のエクシングによると、近年はあらゆる角度から歌唱力を評価し、配信前の事前練習に便利なアプリ「分析採点JOYSOUND」の利用が飛躍的に伸びており、中でも「音程やテンポなどの基礎だけでなく、ビブラートや抑揚といったテクニック面のほか、“本当に人に伝わる上手さ”の指標にこだわる方が増えている」と証言。若者にとって今やカラオケは単なる娯楽を超えて、"歌うま"を目指すガチ練の場となり、SNSでの発信も身近な目標となっているらしい。
「この動向は若者に限りません。背景には、気軽に利用できるライブ配信アプリが増えたことが挙げられます」(エクシング担当者)
配信者の中でもライブ配信アプリなどで動画をリアルタイムで配信し、視聴者とコミュニケーションを取りながら収入を得る「ライバー」の存在が目立つようになった。スマホ1台あれば始められることからライバーの数は急増しており、トップライバーともなると莫大な収入を叩き出す人も。近頃も「5分で2億4000万円」を豪語するライバーがネットニュースを賑わせた。
視聴者からの誹謗中傷、さらに悪徳事務所も…ライバーをめぐる落とし穴
JOYSOUND LIVER PROMOTION
「大勢のライバーが活動している今、ただライブ配信をしているだけでは視聴者は集まりません。効果的に配信に誘導するコツや、入ってきた視聴者に留まってもらうノウハウを求めて事務所に所属される方は多いですし、当社でもファン獲得のためのバックアップを行なっています。特にライブ配信初心者の方、『安全にライブ配信をしたい』といった慎重な方が多いですね」(JOYSOUND LIVER PROMOTION担当者)
スマホ1台さえあれば、誰でもライバーにはなれる。しかし「誰でもライバーを継続し続けられるわけではない」と担当者は言明する。
「視聴者には様々な方がいますし、時には厳しい意見を浴びることもあるでしょう。それが、批判なのかアドバイスなのかをきちんと見極めつつ、活動を継続していくのですが、心が疲れてしまう方がいます。そのような時に当社では、明確な誹謗中傷に対して、法務や弁護士が厳正な対処を致します」(同)
急激に拡大した業界だけに、マネジメント事務所にはベンチャーが多く、サポート体制が確立したところばかりではない。中には悪質な事務所もあるようで、SNSにはライバーからの告発もしばしば散見される。
「たしかに、『名の知られているここなら大丈夫だろう』と、信頼感や安心・安全が求められることが多いです。そのせいか、所属者の平均年齢層は30代と他の事務所と比較してやや高め。50〜60代で活躍されている方もいます」(同)
カラオケ店からのライブ配信や“替え歌”はNG? 陥りがちな権利問題
「一番手軽でリスクが少ないのが、カラオケ機能の付いている配信アプリを利用すること。そこに収録されている楽曲を歌って配信するのは、まったく問題ありません。ただしリアル店舗のカラオケ音源で歌い、許可なくライブ配信や動画投稿をするのはNGです。またYouTubeに上がっているカラオケ音源(オフボーカルなど)には、配信に使えるもの/使えないものが混在しているので注意が必要です」(エクシング担当者)
なお、TikTokなどでしばしば替え歌がバズることがあるが、厳密にはNGだ。宣伝になるとして権利者側がスルーすることはあるものの、訴訟になったケースもある。
「ただ、昨今は全体的に権利リテラシーが高まっています。やはり収益化停止などのリスクは避けたいでしょうし、"歌枠"で活躍されているライバーさんほど意識が高いですね」(同)
PC環境向けサービス「カラオケJOYSOUND for STREAMER」
「人気の配信者は、リスナーとのコミュニケーションが上手です。特に歌枠の配信では『これ歌って』といったリクエストも多く、それに即座に応えられることは重要。やはり高音質であることが喜ばれますし、リスナーとのコミュニケーションを盛り上げるという意味でも、採点機能を用いたパフォーマンス演出を使っていただく機会は多いですね」(同)
趣味や副業での利用も増加、裾野が広がる今だからこその注意点
だが、そうして初心者や慣れていない中高年の参入が増えるタイミングこそ、なにかと気を付けなければいけない時期でもある。
「ライバー業界はまだまだ黎明期であり、リスクがまったくないとも言い切れません。お1人で始めるよりは、やはり事務所に所属するのが安心だと思いますが、契約の際には支払いや配信ノルマなど、細かい条件をしっかり確認することをお勧めします。またライバー文化が健全に発展するためには、楽曲クリエイターの権利保護も欠かせません。私たちも簡単に権利処理できるシステムを充実させて、歌を愛するみなさんの活動を応援したいと思います」(同)
さらに同社は、ライブ配信のサポートだけでなくグループ会社から所属ライバーがメジャーデビュー。リアルライブも開催されているという。
「今後も、ライバーが音楽で生きていけるようにサポートしていきたいと思います」と意気込む担当者。今後ライバー界隈が、どう動いていくのか楽しみだ。
取材・文/児玉澄子
Information
Real Live in NAGOYA
<所属ライバーイベント情報>
2025年6月22日(日)16時開場 17時開演 Real Live in NAGOYA 開催
出演:辻将吾/なりたち/カイト/零〜ZERO〜/Yu氏/
カラオケJOYSOUND for STREAMER
詳細はコチラ
※提供:Steam
対象プラットフォーム:YouTube/ニコニコ動画 /Twtich /OPENREC.tv
分析採点JOYSOUND