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【大阪・関西万博】「目の健康寿命60年」残り40年は? 子どもの目は大丈夫? 認知症予防も視野に…ロートが見据えるアイケアの現在と未来
大阪・関西万博の展示の様子
目を酷使する子どもたちへの懸念も…だが「デジタルデバイスは“悪”ではない」
「ミャクミャク」を使用した、限定デザインの目薬「ロートこどもソフト」、「Vロートジュニア」、「Vロートプレミアム」(C)Expo 2025
「ロートこどもソフト」と「Vロートジュニア」に付属するミャクミャク目薬ケース
「Vロートプレミアム」箱の内側
「目薬の主な購買層は働き盛り世代やシニア世代、これは昔も今も変わりません。しかし本当はもっと若い年齢から、アイケアに関心を持っていただきたいんです。でないと今の子どもたちが50代、60代になった未来には、さらに深刻なトラブルを抱える人が増えるのではないかと懸念しています」
人生100年時代と言われるが、実は目の健康寿命は60年。残り40年は誰もが、緑内障や糖尿病網膜症などといった失明のリスクを抱えながら生きていくことになるという。
「特に若い世代は、幼い頃から動画視聴やゲーム、学習などを通して日常的にデジタルデバイスに触れています。生活様式の変化で、今の子どもたちはかつてとは比べ物にならないほど目を酷使しているんです」
昨年度の文部科学省「児童生徒の近視実態調査」では、近視の子どもの数が過去最高を更新したことが報告された。とはいえ、梅村さんは「デジタルデバイスは“悪”ではありません」と強調する。
「デジタルデバイスが私たちの生活を楽しく豊かにしてくれているのは事実ですし、不安を煽って製品を売るスタイルは私たちには合いません。むしろデジタルのある生活を肯定しながら、若い世代のみなさんにアイケアへの大切さを伝えていきたい。当社がeスポーツチームへの協賛などに取り組んでいるのも、そうした思いからです」
不安ばかりではない…万博で提示した目から始まる可能性、認知症予防や治療も視野
大阪・関西万博での展示の様子
万博ではロート製薬が社会実装に向けて開発中の「アイ・センシング技術」が模擬体験できる。アイ・センシング技術とは、目の情報からさまざまな健康スコアを診断する技術のこと。眼球や目の周りの肌の状態などから目年齢、目元年齢、目線による脳パフォーマンス、視覚ランクなどが表示されるとともに、目のトラブルの原因を推定し、対策の提案まで行われる。
「万博で体験していただけるのは、現在開発中のアイ・センシング技術のベータ版です。目は“脳の一部”と言われるくらい脳と密接に繋がった臓器で、目の情報から読み取れることは実に多岐にわたります。すでに目の動きから、睡眠の質やメンタルの状態、認知症の兆候などを推定する技術も完成しつつあります」
大阪・関西万博での展示の様子
「すでにスポーツ界では、見る力を鍛えてパフォーマンスを向上させる“ビジョントレーニング”が導入されつつあります。たとえば野球であればボールとの距離が的確に捉えられるようになり、バッティング精度が上がるわけですね。これを応用して視覚をトレーニングし、脳機能を活性化させるVRゴーグルなどのデバイスの開発もされています。社会実装するためにはコストダウンも必要ですが、2050年には広く一般的に普及されていると思います」