テキーラは、ショットで飲んだことしかない人も多いかもしれない。

しかし、クラブやパーティーなどの定番の飲み方である「ライムと塩でのショット」だけでなく、テキーラはもっと奥深い味わいを楽しめるお酒である。

今回は、基本的な飲み方から意外なアレンジまで、テキーラの魅力的な世界をテキーラ飲みのプロが紹介する。バーで、自宅で、もっとテキーラを楽しみたい方は必見だ。

【contents】
・テキーラの飲み方は6種類
　┗ショット
　┗ストレート
　┗オン・ザ・ロック
　┗ソーダ割り・トニックウォーター割り
　┗前割り・熱燗
　┗カクテル
　　・人気のカクテル5選
・テキーラの基礎知識
　┗テキーラとは？
　┗テキーラのアルコール度数
　┗テキーラの種類
　┗テキーラと相性のよい料理
・まとめ

テキーラの飲み方は6種類

一口にテキーラといっても楽しみ方はさまざまで、テキーラの飲み方は6種類もある。基本的な飲み方からアレンジした飲み方までを解説しよう。

ショット

ライムと塩を使う「ショット」は、メキシコでの伝統的な飲み方だが、なぜ、ライムと塩を使った飲み方が定番なのか。理由を知っている人は少ないのではないか。

理由は、テキーラの味わいに関係する。テキーラ自体の味わいが「甘味」「辛味」「苦味」で構成されており、そこに「酸味」「塩味」を加えることで、美味しく感じられるからだ。

ただし、近年のテキーラはライムと塩を使わずとも、そのままでも美味しいものが多い。「ライムと塩で飲まないで」と呼びかけるブランドもあるほどだ。

ストレート

テキーラ本来の風味をじっくり味わいたいなら、ストレートがおすすめだ。口の中に含んだときの、アガベの甘い香りとスパイシーな味わいをじっくりと堪能してほしい。
ストレートを美味しく飲むためのポイントを紹介する。

【温度】
冷やしすぎると香りが閉じ込められてしまうため、常温か少し冷やした程度がおすすめだ。グラスをゆっくりと回し、温度の変化による香りや味わいの変化を楽しもう。

【グラス】
テキーラグラスやスニフターなど、テキーラの香りを引き立てるグラスを選ぼう。アガベの香りや味わいをバランスよく楽しみたいときはテキーラグラスを、熟成されたテキーラの濃厚で複雑な香りをゆったりと楽しみたいときは、スニフターがおすすめだ。

オン・ザ・ロック

ストレートに比べて飲みやすく、初心者にもぴったりなのがオン・ザ・ロックだ。ロックグラスに入れた大きな氷が、ゆっくりと溶けることで徐々に度数が下がり、まろやかな口当たりになる。時間と共に変化する味わいの違いを楽しんでほしい。

ソーダ割り・トニックウォーター割り

お酒はあまり強くないという方にはソーダ割りやトニックウォーター割りがおすすめだ。ジントニック程度の度数となり、シーンを選ばず楽しめる。

爽やかに味わいたいならソーダ割り、甘味を加えてより飲みやすくしたいならトニックウォーター割りを選ぼう。いずれもテキーラの個性をしっかりと感じられ、テキーラ愛好家にも人気の飲み方だ。

前割り・熱燗

焼酎をあらかじめ好みの濃さに水で割って飲む「前割り」を知っているだろうか。テキーラも同様に、あらかじめ水で割っておくことで、よりまろやかな味わいになる。一般的な飲み方からは外れるが、アルコールの刺激が苦手な方向きの飲み方だ。

前割りしたものを温めた「熱燗」は、寒い時期にぴったりだ。特に、熟成されたテキーラは、熱燗にすることで香りが立ち、より一層美味しくなる。

カクテル

テキーラの独特の風味を生かしたカクテルは、世界中で愛されている。ストレートやロックで楽しむのもよいが、カクテルにすることで、テキーラの新たな魅力を発見できるだろう。

さっぱりとしたものから甘めのものまで、さまざまなバリエーションが存在する。

人気のカクテル5選！

本章では、バーで飲みたいカクテルから自宅でカジュアルに楽しめるものまで、世界で人気のテキーラカクテルを5選、レシピつきで紹介する。テキーラの新たな魅力を知るきっかけとなるだろう。

■マルガリータ

マルガリータは、テキーラの爽快感とライムの酸味が絶妙にマッチした世界中で愛されているカクテルだ。

名前の由来は諸説あるが、レシピを開発したバーテンダーのガールフレンドの名前が「マルガリータ」だったという説が有名である。

テキーラのスパイシーな風味に、オレンジリキュールの甘みとライムの酸味が加わった爽やかな味わいに、グラスの塩がアクセントとなり、より一層風味を引き立てる。

＜レシピ＞

【材料】
・テキーラ：30ミリリットル
・オレンジリキュール：15ミリリットル
・ライムジュース：15ミリリットル
・氷：適量

【作り方】
1．グラスの縁をカットしたライムで湿らせ、塩を均一につける。(以降、塩でリムドする）グラスを冷蔵庫で冷やす。
2．シェーカーに塩以外の材料を入れ、シェイクする。
3．冷やしておいたグラスを取り出し注ぎ入れる。

【ポイント】
・氷はシェイカーに対し隙間なく入れることで、シェーカー内の温度が下がり、水っぽくなることを防ぐ。
・ライムはフレッシュのものを使用する。軽い力で優しく絞ることで、苦味なくフルーティなジュースになる。

■テキーラサンライズ

テキーラサンライズは、日の出をイメージした美しいグラデーションが特徴だ。

オレンジジュースの爽やかさとグレナデンシロップの甘さがテキーラのスパイシーさを調和させ、非常に飲みやすい。女性やお酒に強くない人にも人気のカクテルだ。

＜レシピ＞

【材料】
テキーラ：30ミリリットル
オレンジジュース：90ミリリットル
グレナデンシロップ：10ミリリットル
オレンジスライス、マラスキーノチェリー：飾り用

【作り方】
1．タンブラーに氷を隙間なく入れ、テキーラとオレンジジュースを注ぎ、攪拌（かくはん）する。
2．バースプーンなどを使い、ゆっくりとグレナデンシロップをグラスの壁面に沿って注ぎ、沈ませることで、グラデーションをつくる。
3．オレンジスライスとマラスキーノチェリーを添える。

【ポイント】
・グレナデンシロップをゆっくりと注ぐことで、美しいグラデーションをつくれる。

■トミーズマルガリータ

トミーズマルガリータは、テキーラをアガベ100%のものに変更、オレンジリキュールをアガベシロップに変更した、まさにアガベ尽くしのマルガリータだ。

テキーラ愛好家にも人気の「通」なカクテルで、アガベの豊かな香りと、上品な甘みが口の中に広がる。天然素材を用いたナチュラルな甘さと洗練された味わいから、健康志向の海外セレブなどにも人気がある。

＜レシピ＞

【材料】
アガベ100%テキーラ：30ミリリットル
アガベシロップ(水で1：1に希釈)：15ミリリットル
フレッシュライムジュース：15ミリリットル

【作り方】
1．すべての材料をシェーカーに入れ、軽く混ぜる。
2．氷を隙間なく詰め、シェイクする。
3．ロックグラスに注ぎ、氷を入れる。

【ポイント】
・塩は好みでつけてもよいが、塩をつけないことで、アガベの自然な甘みをより楽しめる。
・アガベシロップは甘味が強いため、あらかじめ水で希釈し、甘さを調整しやすくする。

■パロマ

パロマは、メキシコで誕生した爽快な味わいのカクテルだ。名前の由来は諸説あるが、スペイン語でハトを意味する「paloma」からきているといわれている。

テキーラのスパイシーな風味とグレープフルーツの爽やかさが相まって、暑い夏もカラッと過ごせる爽快なカクテルだ。シンプルでカジュアルな飲み方ながら、テキーラの味わいと爽やかな風味を楽しめるパロマは、現地メキシコでも人気の一杯だ。

パロマは作り手によって材料やレシピが大きく異なる。参考レシピを掲載しているため、さまざまなパロマを試し、自分好みの味わいを見つけてみるのもよいだろう。

＜レシピ＞

【材料】
テキーラ：30ミリリットル
グレープフルーツジュース：30ミリリットル
ソーダまたはトニックウォーターまたはその両方：60ミリリットル
塩：適量
氷：適量

【作り方】
1．氷を隙間なく入れたタンブラーに、テキーラとグレープフルーツジュースを加え、軽く混ぜる
2．ソーダ、トニックを好みの割合で入れ、氷を下から上に持ち上げ軽く混ぜる

【ポイント】
・グレープフルーツジュースは、フレッシュジュースを使うことで、より美味しく仕上がる
・塩は最後に振りかけたり、カクテルと一緒に混ぜたり、リムドしてもよい
・塩をタヒンと呼ばれるメキシコのチリパウダーに変えることで、見た目や風味に変化が加わる

■バタンガ

バタンガは日本ではあまり知られていないカクテルだが、現地メキシコはもちろん、世界のテキーラファンにも愛されているカクテルだ。

テキーラとコーラのスパイシーさと甘味に、ライムの爽やかさが絶妙に調和した、シンプルながらも奥深い味わいが特徴だ。全体を引き締める塩が大きな役割を果たしている。

＜レシピ＞

【材料】
テキーラ：30ミリリットル
ライムジュース：15ミリリットル
コーラ：60ミリリットル
塩：適量
氷：適量

【作り方】
1．タンブラーの縁を塩でリムドする
2．隙間なく氷を入れ、テキーラとライムを注ぎ、軽く混ぜて冷やす
3．コーラをそっと注ぎ入れ、氷を上下させて混ぜる

テキーラの基礎知識

テキーラの飲み方をマスターできたら、次はテキーラの奥深い世界へ案内しよう。知れば知るほど、テキーラはもっと楽しくなるはずだ。

テキーラとは？

テキーラとは「アガベアスル」を原材料とするメキシコ原産の蒸留酒だ。メキシコ・ハリスコ州を中心に、限られた地域でつくられたものだけが「テキーラ」と名乗れる。

テキーラの名前は、限られた地域の中にある「テキーラ」という町に由来する。

また、テキーラには主要規則があり、規則を満たしたものだけが「テキーラ」と名乗ることができる。
主要規則の内、重要な三つを紹介する。

1．200種類以上あるアガベの中から「アガベアスル」のみを原材料として使用する。
2．原産地呼称で保護されたメキシコの指定産地5州で育成したアガベアスルを使用し、製造（蒸留含む）したものである。
3．アルコール度数は35〜55%である。

テキーラの度数

テキーラは度数の高いお酒というイメージがあるかもしれないが、全てが高いわけではない。

前述の通り、テキーラの度数は35〜55％と定められているが、ウィスキーなどほかの蒸留酒と同程度のアルコール度数だ。また、ほかの蒸留酒のほうがアルコール度数が高いものもある。

テキーラの種類と分類

テキーラは、原材料となる糖分の割合と樽で熟成させる期間によって、さまざまな種類に分けられる。

味わいもカテゴリー、クラスにより大きく異なる。同じブランドでもクラスの異なるものを飲み比べてみると、その違いがよくわかるだろう。

【カテゴリー】
・テキーラ：糖分の51%以上がアガベアスル由来のもの。「ミクスト」と呼ばれることもある。
・100％アガベテキーラ：糖分の100%がアガベアスル由来のもの。より高品質で、アガベの風味をしっかりと感じられる。

【クラス】
・ブランコ：無色透明で、フレッシュなアガベの風味を楽しめる。樽熟成期間0〜2ヶ月未満。
・レポサド：琥珀色で、バニラやオークの香りが加わり、まろやかな味わい。樽熟成期間 2ヶ月以上。
・アネホ：深い琥珀色で、複雑で豊かな香りが特徴。ナッツやチョコレートのような風味も楽しめる。樽熟成期間1年以上。
・エクストラアネホ：最も熟成期間が長く、深い琥珀色をしている。非常に滑らかで、複雑な味わいが特徴。樽熟成期間3年以上。

テキーラと相性のよい料理

テキーラといえばメキシコ料理と合わせるイメージが強いかもしれないが、実は和食やスイーツとの相性も良い。

【鮨・刺身】
淡白な味わいのものには、ブランコのソーダ割りやトワイスアップ、脂身の多いものにはレポサドの前割りや熱燗が合う。

【餃子など脂っこいもの】
餃子など脂っこいものにもテキーラの愛称は抜群だ。こってりとした餃子にブランコのソーダ割りを合わせれば、口の中をさっぱりさせてくれる。

【スイーツ】
チョコレートやドライフルーツの濃厚な甘みには、レポサドやアネホの複雑な味わいがマッチする。カカオの苦味と渋みがテキーラのスパイシーさと相まって、まさに至福のひとときを過ごせるだろう。

まとめ

テキーラの基礎知識から、あなただけの至福の一杯を見つけるためのヒントまで、知っていれば何倍もテキーラを楽しめる情報をたっぷりお届けした。

ソーダ割りで爽やかに、ロックでゆったり。あるいは、マルガリータのように華やかにと、楽しみ方は無限大だ。テキーラの自由で奥深い世界を探求してみよう。

著者プロフィール

中山 理紗
元バーテンダーで、世界的カクテルコンペティション「ディアジオワールドクラス2022」のジャパンファイナル出場経験を持つWebライター。
自身が経営する「Bar and ONIGIRI うつせみ」では、アーユルヴェーダや薬膳の知識を活かし、心と身体にやさしいカクテルと食事を提供している。日々の生活習慣や食事、起業に関する知見をもとに、より良い人生をサポートするウェルネス情報を発信している。

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