ORICON NEWS
5度目の正直で「オラザク」大賞受賞…“繊細かつ凶悪”なサイコザクの勝因は「好きなキットで理想を追求した結果」
編集局から受賞の連絡の瞬間「妻と手を取り合い、喜びをかみしめました(笑)」
MADありがとうございます。これまで、長きにわたり「オラザク大賞」を目標に作品作りに力を注いできました。今回で5回目の挑戦でしたが、長年の夢がかなってうれしい気持ちで胸がいっぱいになりました。このような喜びを得ることができましたのは、これまで皆様のご協力、励ましのコメントがあってこそだと思っており、コメントをいただいた方々、編集部、審査員の皆さまにとても感謝しております。
――受賞の連絡を受けたときはどのような心境でした?
MAD初めてホビージャパン編集局様からご連絡を受けた時は、うれしい感情があふれ出し、妻と手を取り合い、喜びをかみしめました(笑)。数日は興奮が高まりすぎて睡眠不足の日々でした。実際に本になった『ホビージャパン』を初めて見た時は、自分が制作した作品が、本当に表紙になっているといううれしさしかありませんでした。感無量です。ずっと眺めておりました。
――ずっと眺めたくなる気持ち、すごく共感します。改めてお伺いしますが、今回「サイコザク」を制作しようと思われたきっかけを教えてください。
MADそもそも、ガンプラで一番好きな機体が、ザクなんです。そのザクのなかでもサイコザクは、「あれほどの高機動な動きをするのであれば、それなりの燃料を必要=大型のプロペラントタンクを装備」など、今までにないほどリアルな設定になっている。機体構造への説得力に魅力を感じて制作しようと思いました。
こだわり、悩んだ“赤”「3色の赤系で塗り分けして情報量を増やした」
MADもちろん、シャア専用ザクも大好きです。ただ、MSV(モビルスーツバリエーション=『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツのなかで、本編に登場しなかった機体を取り上げた企画)に出てくるジョニー・ライデン専用機をさらに洗練させたようなサイコザクの機体を初めて見た時は「あっ!! これだ」って思ってしまいました。また、『サンダーボルト』に出てくるサイコザクのパイロットのダリル・ローレンツは、体が不自由で、シャアのような華やかさもないのですが、特別な強い使命感を持っており、そのキャラクターの魅力に惹きつけられた部分もあります。
――非常に完成度の高い作品に仕上がっていますが、どんなところにこだわって制作されたのですか?
MADこの赤についてはかなり悩んで、『フィニッシャーズ』のものを使用。3色の赤系で塗り分けして情報量を増やしました。あと、グレーなんですがNAOKI氏がプロデュースする『NAZCA』のグレーを3色使用して、赤を引き立てました。
――色以外にもたくさんのこだわりを感じます。
MAD自分の改修イメージの通りに仕上げたかったので、他のキットを一切使用せずプラ板とスジ彫りにこだわりました。ディテールは、実際にあるような構造をイメージし、見ていただく側にも説得力が出来るよう心がけました。例えばふくらはぎの内側ですが、下にバーニアがあるので「その上にはエアインテークがあるはず」など。想像して作りました(笑)。一番苦労したのはフロント、サイド、リアスカート全ての下側の端に幅0.4ミリ、長さ1.7ミリの筋彫りをした部分です。初めてこのような細部に筋彫りを試みましたが、何回もやり直しして完成しました。
――本作は、オリコンニュースでも昨年3月に紹介させていただきましたが、その時と比較してさらに進化していますよね。
MAD実は3月に取材をしていただいた時の写真では、バックパックをつけていない状態。既に完成はしていたのですが、「オラザク」に応募するためにSNSには完全体でない状態を投稿していました。記事の反応で、とてもたくさんのお褒めの言葉をいただきました。なかでも、「悪そうな顔つきですね」というコメントが印象に残っています(笑)。
完成後、改修は全くしなかったのですが、尊敬するモデラーの方に写真を見て頂き、相談しました。そこで、写真のアドバイスを頂いたので約1ヵ月間かけて撮影をやり直しました。
大会上位入賞の心得「自分の作品作りを貫いた方に結果がついてきているように感じる」
MAD私は好きなキットで理想を追求した結果、輝かしい賞をいただくことが出来ました。もちろん、私にはマネが出来ない作品作りをされている方はたくさんいらっしゃいますし、ひとりひとりの個性に輝きがあり、刺激を受けております。そんななかで、自分の作品作りを貫いた方に結果がついてきているように感じます。たくさんの作品を出来るだけ多く見ることも大切だと思います。しっかりと自身の作品作りができるよう課題に取り組み、大会に向けて準備していく。未熟者の言葉で申し訳ありませんが、皆さんの作品を楽しみにしています。
――誰もが憧れる栄光を手にしたわけですが、ご自身のモデラーとしての成長と課題については、どのようにお考えですか?
MAD3月に取材していただいたころに比べ、作業効率は良くなったと思います。とはいえ、自分もまだまだ知識不足な部分があり、塗装分野に関しては努力をしていきたいと思っております。そして、制作者名を伏せていても「これはMAD作品」と皆さんに気付いてもらえるような、自分の特色や個性を作品に反映が出来るよう制作をしていくことが今後の課題ですね。また、これで大会参加を終える気持ちはありません。意欲を高く保ち、自分の納得のいく作品を完璧に作り、これからも挑戦し続けていきたいと思っています。
――戴冠に満足せず、さらなる高みを目指す。すばらしいですね。ちなみに次回構想を練っている作品について、教えてください。
MADすでに、新たに作品作りを始めています。MGジム改です。スタイルから改修しています。自分らしさが作品に反映出来るよう制作できればと思います。これからも精進して、邁進してまいります。よろしくお願いします。