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「GBWC2023」準優勝者が描いた“逆光の朝日×荒廃したガンダム”のコントラストに賞賛「エモすぎる!」ガンプラに

 先日行われた『GUNPLA BUILDERS WORLD CUP 11th TOURNAMENT 日本大会決勝戦』(以下/GBWC2023)に出場し、見事準優勝。その発想力と技術が高く評価されているモデラーのハス寝るさん(@hasuneru)。同氏が近作として発表したのは、『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』に登場するウイングガンダムプロトゼロが荒廃し、自然に溶け込んでいるジオラマ。逆光の太陽も相まって哀愁を感じさせ、Xには5000件を超えるいいねが集まった。実績十分のモデラーが、本作に込めた思いとは?

『ガンダムW』の終わり方を考察してイメージを膨らませた

――まずは、『GBWC2023』準優勝おめでとうございます。今の率直な感想を聞かせてください。
ハス寝る『GBWC』でファイナリストになることは、私にとって憧れであり目標でした。なので長年の努力が報われて準優勝できたことは、本当に本当にうれしいです。そして応援してくれた家族にも心から感謝してます。情熱をもって作品作りに打ち込むことが出来たのも家族のおかげなので。

――この受賞の直前になりますが、近作の『Endless -IF-』がSNSで賞賛されました。荒廃したウイングガンダムプロトゼロが逆光に照らされていますが、本作はそもそもどのようなアイデアから制作に至ったのですか?
ハス寝る自然と文明が混ざっている姿がすごく好きなんです。本格的に模型を始めた頃から「廃墟のビルから流れ出る滝と、その滝に打たれるロボットが見たい!」という構想がありました。そこから3年間で少しずつ技術を身に着け、やっと完成した感じです。完成したら滝に打たれてはいない構図になってしまいましたが(笑)。

――構想がようやく具現化したのですね。本作を作る際には、どのようなストーリーをイメージされたのですか?
ハス寝る『ガンダムW』のネタバレになってしまいますが、あの作品は「ガンダムを含むすべてのモビルスーツが今後歴史に出てくることはなかった」というような終わり方をします。それなら、「戦いを終えたウイングゼロを放置していても誰も使ったりしない」=「使える状態で放置していても何年もそのままになるのでは?」という想像で作成しました。そのため、戦いで廃棄された街も部屋の明かりや屋上の配電盤も生きており、ウイングゼロの目や胸のライトもまだ発光できるイメージでLEDをいれて、ライティング出来るようにしています。

――個人的な印象ですが、宇宙空間ではなく地上でガンダムの姿を見ると、あれだけの強さを誇ったガンダムとて、いつかは朽ち果てるものなのかと、切なさすら感じさせます。「戦争のむなしさ」を感じることができるように思えるのですが、ご自身が本作で伝えたいメッセージはどんなことですか?
ハス寝る「ガンダムの兵器としての強さと儚さ」でしょうか。どんなに強い兵器で戦いに勝ったとしても内部から錆びて朽ちていく。そんなメッセージを受け取ってくれるとうれしいです。『ガンダムW』含めどのシリーズにも、昔の機体が出てきて「こんな骨董品で!」とか「大昔の機体じゃないか」と言われたりするシーンが出てきます。私はむしろそんな古くて放置されていた機体にロマンを感じます(笑)。

太陽は朝方4時に撮影した朝日「役目を終えた文明の横顔を感じたかったから」

――単純に荒廃したジオラマだけでなく、夕陽(?)の逆光がまた切なさを募らせます。
ハス寝る実は…あの日の光は、日の出「朝日」なんです(笑)。撮影の想いとしては「役目を終えた文明の横顔を感じたかったから」でしょうか。ビルの後ろにたたずむガンダムの姿を想像して作成していたので、朝日が昇ってきたとき「最高のシチュエーションここだー!」と思って撮影しました。野外撮影では、広い公園に行くのですが、大きいジオラマを広げて人が居る中撮影するのは技術的にも精神的にも難易度が高いので、朝方4時とかに公園に行き明るくなってきたのと同時に撮影しています。

――失礼しました!朝方4時に撮影に出かけるとは、こだわりを感じますね。本作制作時において、一番こだわったところはどんなところですか?
ハス寝るガンダムの隣にあるビルですね。ビルの裏には川が流れていてそこから廃墟ビルに水が流れてこんでいるのですが、水がいい感じに流れるようにビルの部屋も作成し、それぞれの窓からバランスよく滝が出るようにしています。部屋には一部LEDを入れて明かりがともるようになっているので、そのバランスも考えて廃墟を建築しました(笑)。

――こだわりがすごいですね。水を引くのは大変じゃなかったですか?
ハス寝る水よりも、ウイングゼロを大型にする改造に苦労しました。ジオラマに対してウイングゼロが小さく見えてしまっていたので、肩や胸、足、翼など、場所によっては1.5倍くらいのサイズになるように大きくしています。一部を大きくすれば当然かみ合わないパーツも出てくるので内部メカを入れたり装甲を増やしたりなどなど、4ヵ月くらいはそんな作業ばかりでした。

――その苦労も報われる賞賛のコメントがたくさん届きました。
ハス寝るこの作品には自分が大好きなシチュエーションをたくさん詰め込んだので、そこに共感頂けたことがめちゃくちゃうれしいです。「実際にこんな場所があるかと思った」というコメントは凄く印象的でした。

――本作に限らず、ガンプラを制作するうえで一番大切にしていることはどのようなことですか?
ハス寝る一番というのが難しいですが、コンセプトだと思っています。どんなコンセプトやテーマで作るかをしっかり決めないと、作っていても迷いばかりで方向転換も多くなって、時間もコストもかさみ、モチベーションも下がってしまう。これまで、そんなことが多々ありました。なので最近は、どの作品も「どれだけ見たときにワクワクするか!見続けも飽きないか!」をコンセプトにして、取り掛かる前にたくさんガンプラで遊んで、どんな構図、パーツ、カラーがいいかなどしっかり決めてから制作するようにしています。

――だから迷いなく、こうした作品が生まれてくるわけですね。では最後に、ハス寝るさんにとって「ガンプラ」とは?
ハス寝る私の見たい景色を見せてくれるキャンパスです(照笑)。幼少期から、「頭の中にある妄想を形にして目の前に出すことが出来たら…」と思っていましたが、ガンプラの改造はそんな妄想を形にすることが出来る、手軽な手段だと思います。
 いつか小さくてもいいので個展をやってみたいと思っています。ジオラマは写真より実物を見てもらった方が楽しいと思いますので。実物をたくさん見てもらえる場を作りたいというのが、私の目標というか夢ですね。
 それと、今年の『GBWC』であと一歩優勝に届かなかったので、その悔しさもあります。申し込み期限の残り2時間までギリギリ粘って作品の制作と撮影をおこなっていましたが、それでも足りなかったのだと感じています。とはいえこの経験を生かして成長できればと思っています。引き続き、見ていて楽しくなるような作品作りをしていきたいです。

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