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「ガンダム」の衝撃ビフォーアフター “脳バグ”ガンプラの第一人者、会心の一作「時間とメンタルを削られるけどプラモはホント楽しい」

 ガンプラモデラーの間でもすっかり定番となった「イラスト風塗装」。3次元のガンプラを平面(2次元)的に見せる手法だが、近年は「水彩画風」「箱絵風」など“画風”が多様化し、新たな展開をみせている。p.e.n.n.y.1さん(@penny_1x)は、この「イラスト風塗装」作品の作り手としてモデラー界では知られた存在。王道のアニメ塗で手掛けた近作の「オリジン版ガンダム」のビフォーアフターを比較した作品にも、多くの賞賛の声があがった。本作制作の背景を聞いた。

オリジン版ガンダムはお気に入り「キットのデキに感動」

――近作の『RX-78-02 オリジン版ガンダム 最終決戦仕様』ですが、いつものことながら見事な仕上がりでした。そもそも本作はどのようなきっかけで制作に至ったのですか?
p.e.n.n.y.1以前オリジン版ガンダムをベースにした「ククルスドアンの島版 ガンダム」を作成した際、キットのデキにとても感動しましたし、手前味噌ですが仕上がった作品もとても満足いくデキだったので、機会があればまた作りたいなと思ってました。

――「ガンダム」(RX-78-02)になにか特別な思い入れがあるのですか?
p.e.n.n.y.1どのシリーズでも劇中ボロボロになるガンダムも好きですが、基本的には白い悪魔というか「無双」してる姿が好きですかね。

――本作を制作するうえでこだわったところを教えてください。
p.e.n.n.y.1最終決戦仕様なので「バズーカ2丁持ち」がマストのこだわりです。そのバズーカのパーツ分割がアニメ塗り的にやや面倒だったり、オリジンキットはモールドやエッジが細かく、結果描くべき線(エッジ)が多かったところが少し苦労しました。

――素人質問で恐縮なのですが、どういう作業を行うと、このようなビフォーアフターになるのですか?
p.e.n.n.y.1多少前後する工程もありますが、作業は大体下記の流れです。後ハメ処理&仮組み→下地処理→基本塗装(設定に従った塗り分け)→影&ハイライトの塗装→エッジ線描き。スムーズに進めば3〜4週間くらいで完成でしょうか。
 個人的には、この1年ほど「少しでもやり直しを減らすこと」をテーマにしてきました。(特にイラスト風塗装の作品は)作業の失敗、思い違いや見当違いによる違和感などに起因して、あらゆる作業でやり直すことやリカバリーを迫られるコトが多く、その都度、時間とメンタルを削られていきます…。プラモはホント楽しいです(笑)。

――そんな苦労があったからこそビフォーアフターを比較すると、よりそのすごさが分かります。コメントにも多くの賞賛の声が寄せられました。
p.e.n.n.y.1自分自身いつも似たようなモノばかり制作しており、なかでも「RX-78-02」は過去に何度も作成や投稿しています。「イラスト風塗装」全体を眺めても、たくさん作例があるガンダムですから閲覧する人からすれば「またか」という印象も正直あると思います。それにも関わらずいいねや引用してくれる皆様は、ホントにありがたいです。もう感謝しかないですし、ソコに甘えてる自分です(汗)。

スマホを「模型辞書」化してくれた先人に感謝「自分もいつかその一端を担えれば」

――ご自身の発表されている作品を拝見すると、3次元のガンプラを平面的に2次元に見せる「イラスト風塗装」(アニメ塗)のなかでも、「セル画風」が多いように見えます。「イラスト風塗装」は現在、「水彩画風」「箱絵風」などさまざまな手法がありますが、そのあたりの作風に対するこだわりはございますか?
p.e.n.n.y.1自分自身は特に「アニメ塗り」や「セル画風」にこだわっているわけではないです。基本アニメ的な絵が好みではありますが、手描きなのか、デジタル画なのか、曖昧な感じが漂うメカイラストが好きで、その辺をプラモで表現できたらなとは思っています。さらに言えば、二次元やアニメっぽく見えなくても「カッコ良ければそれでよし」です。

――ガンプラを自由に楽しんでいらっしゃいますね! ご自身は、特に「イラスト風塗装」の作品が、多くの後輩モデラーの憧れになって、影響を受けている人も多いと思います。

p.e.n.n.y.1影響を受けている人…いますかね(笑)。今までそういった反響を(自分では)感じたことないですし(汗)。ただ、そんな影響力のあるモデラーになれたら、それはそれでうれしいかもです。情報発信については興味はありますし、将来的にはとは考えています。

――ガンプラ40年余りの歴史のなかで繰り返されてきた技術の伝承を、p.e.n.n.y.1さんが情報発信してくれたら、またモデラーのレベルが上がっていきそうです。ご自身は、こうした技術が受け継がれていくことについて、どのようにお考えですか?
p.e.n.n.y.1まず思うのは「感謝」です。

――感謝?
p.e.n.n.y.1はい。特に自分は出戻り組みなので、SNSやブログなどで長きにわたり発信されている方々が、過去に投稿された情報などはとても貴重で、すごく大きな恩恵を受けている実感があります。先人たちや、今現在も盛んに発信されているモデラーの皆様には本当に感謝しております。そういった方々が伝承・発信・蓄積されてきた情報のお陰で、スマホが「模型辞書」と化してます。在宅で模型教室に通ってる感覚すらあり、とても幸せな時代だと感じています。模型から離れていた時間が長かったので、自分の技術や知識がひっくり返るくらい、画期的な方法だったり思考や道具、そんなモノに出会うことも多くそのたびに興奮しています。日々更新される情報のボリュームとスピード感について行くのが大変で、インプットするだけで精一杯な現状です(苦笑)。自分もいつか模型における伝承の一端を担えたらなと(照笑)。

――p.e.n.n.y.1さんなら大きな影響を与えることができると思います。では最後に、モデラーとして今後の目標を聞かせてください。
p.e.n.n.y.1展示会というものに出展してみたい。大きなコンテストにもいつか参加してみたいと思っています。両方とも当分先になりそうですが…(苦笑)。

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