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お菓子が“オマケ”の『ほねほねザウルス』が20周年、玩具菓子の概念変えたカバヤの功績 接着剤不要のプラモデル普及にも

『ほねほねザウルス39弾』

 恐竜をモチーフにしたプラモデルにガム1個が付属されたカバヤ食品の玩具菓子シリーズ『ほねほねザウルス』が、今年で20周年を迎えた。その極端な商品構成と精巧な“オマケ”から、しばしば「玩具が本体・お菓子がオマケ」と揶揄される玩具菓子。その元祖を手掛けたのもカバヤ食品だった。また、接着剤を使用しないプラモデルが主流となったのも、同社発売の『ビッグワンガム』がきっかけであった。お菓子メーカーであるカバヤ食品がどのような思いで玩具菓子に取り組んできたのか、話を聞いた。

塗装などの工程をカットすることで、子どもにも手の届きやすい価格を実現

 カバヤ食品は、『ジューC』や『ピュアラルグミ』といったロングセラーお菓子の一方で、玩具菓子の歴史も長い。中高年男性には子どもの頃に『ビッグワンガム』(1978年〜1990年)に心を躍らせた人も多いだろう。蒸気機関車や戦艦大和などの精巧なプラモデルが100円で買えるとあって、最盛期には年間3000万個も売れた大ヒット商品だ。ちなみにお菓子は板ガムが1枚付いてくるのみ。『ビッグワンガム』は今や主流となっている「玩具が本体・お菓子がオマケ」な玩具菓子の元祖でもあった。

 カバヤ食品の現行商品で現代の子どもたちに大人気なのが、今年で20周年を迎える『ほねほねザウルス』だ。こちらは恐竜をモチーフとしたプラモデルだが、『ビッグワンガム』の”伝統”を数多く受け継いでいる。例えば、パッケージに空いている小窓で箱の中身(商品番号)を確認できる仕様もその1つ。『ほねほねザウルス』は、1シリーズ8種類展開されているが、これによってほしい玩具を選ぶことができる。

 また、どちらも児童が扱いやすい素材と構造にこだわっており、プラモデルの入門編としての役割を果たしている。フィギュアなどの完成品ではなくプラキットとしたのは「塗装などの工程をカットしてシンプルにすれば、子どもにも扱いやすい品質を、手の届きやすい価格で提供できるため」(カバヤ食品 広報・廣井良伸さん)だと言う。

プラモデル業界に革新も…接着剤不要をいち早く導入したカバヤの『ビックワンガム』

 何より『ビッグワンガム』が画期的だったのは、現在のプラモデルでは主流となっているスナップフィット(パーツはめ込み式)を採用した点だ。当時のプラモデルはほとんどが接着剤を必要としていたが、「児童がキレイに組み立てられるように。また誤食が起きないように」との配慮からこの仕様となった。

 『ガンプラ』がスナップフィットを採用したのは1985年以降といわれているが、『ビッグワンガム』がその後のプラモデル業界に革新をもたらしたといっても過言ではないだろう。

 さらに『ほねほねザウルス』は、パーツはめ込み式という特徴を発展させ、自由にパーツを組み替えられる遊び方も提供している。オフィシャルの恐竜だけでなく、自分だけのオリジナルザウルスが作れるというわけだ。『ほねほねザウルス』の生みの親でパッケージにも登場するDr.ヨッシー氏は児童教育と美術を学び、カバヤ食品に入社した経歴を持つ。

「手先を使うプラキットは脳の発達に効果があり、またブロック玩具は想像力や自己表現力を伸ばすとされています。その両方を兼ね備えた“玩具菓子”を子どもたちに届けたいと開発したのが『ほねほねザウルス』でした」(Dr.ヨッシー氏)

 公式サイトにはユーザーから投稿された数々のオリジナルザウルスが掲載されている。投稿者は下は幼児から上は大人と幅広いが、メインは小学校低学年とのことで、Dr.ヨッシー氏の思いはしっかりとターゲット層に届いているようだ。

子どもたちに夢を与えるものとして共存するお菓子と玩具、ガムには賞味期限がなく食品廃棄問題も同時解決

 オマケ付きのお菓子は昔からあれど、あくまでもお菓子が主体で玩具はオマケだった。『ビッグワンガム』は現在に続く玩具菓子に大きな影響を与えたわけだが、本業がお菓子メーカーであるカバヤ食品では「玩具とお菓子」の主従関係を逆転させることに議論はなかったのだろうか?

「1946年創業の弊社はキャラメルに封入された点数カードを集めて応募すると児童書をプレゼントする『カバヤ文庫』という取り組みをしていました。戦後まもなくの食も娯楽も乏しい時代、子どもたちに夢を与えるものとしてお菓子と玩具は弊社の創業当時から共存していたのです」(広報・廣井さん)

 やがて高度経済成長を経て、『ビッグワンガム』が発売される頃には子どものおやつも遊びも豊富かつ多様になっていた。

「その頃は駄菓子屋文化の終焉期でもありました。駄菓子屋では簡易な玩具とお菓子が一緒に売られていましたが、やがて時代とともに玩具はおもちゃ屋さん、お菓子はスーパーとセグメント化が進んでいった。ちなみにコンビニはまだ普及前でした。そうしたなかでお母さんと一緒にスーパーに買い物に来たお子さんにお菓子売り場でアプローチする施策として『玩具が本体・お菓子がオマケ』という発想が打ち出されたのではないかと推測します」(廣井さん)

 さらに飽食の時代となり、人気のオマケ付き菓子はしばしば「オマケを手に入れてお菓子は捨てる」という食品廃棄問題を引き起こしてきた。

「これについては購入者に委ねるところが大きいのですが──。ただ1つ言えるのは、ガムには賞味期限がないんです。『ほねほねザウルス』は、発売当初からガムを付けています。今すぐ食べなくても、取っておける気軽な分量です。『お菓子を捨てにくい』という特徴が、『ビッグワンガム』や『ほねほねザウルス』にはあると考えています」(廣井さん)

『ほねほねザウルス』は児童書や図鑑に発展…パーツの組み替えで無限に遊べ、“初めてのプラモデル”に最適な難易度

 玩具菓子の近代史で語り草となっているのが、2019年10月の消費増税だ。ご存知のように食品は8%の軽減税率が適用されるが、「食品とそれ以外の資産」がパッケージで販売される玩具菓子は「食品部分の価格が商品価格の3分の2以上であれば8%、3分の2以下であれば10%」という、なんともややこしい解釈となるのだ。

 軽減税率を適用するため、このタイミングに玩具の素材や塗装などを変更した玩具菓子もあった。しかし、カバヤ食品の開発マネージャー・清水隆秀さんは「弊社の玩具菓子に関しては悩むことなく、10%でいいのではないかと判断しました。何しろガムが1個ですから(笑)、どうやったって玩具部分の価格を3分の2以下にはできません」と当時を振り返る。

「社内判断はそれでよかったのですが、ショックだったのは一部の小売店さんが玩具菓子の取り扱いをやめたことでした。理由としてはお客さまへの説明が煩雑になる、POSレジの登録が対応していないなど。発売以来、順調に推移してきた『ほねほねザウルス』も一時は売り上げが減少しました」(清水さん)

 しかし酒類なども軽減税率が適用されないことから、やがてスーパーやコンビニなどでも8%/10%の商品が混在する売り場が自然に定着。玩具菓子の取り扱いも元通りになり、『ほねほねザウルス』も無事売り上げを回復しながら20周年を迎えるに至った。

 『ほねほねザウルス』は児童書や図鑑などの書籍展開もしており、こちらも累計260万部突破と隠れたベストセラーとなっている。今年1月の『第3回小学生がえらぶ! こどもの本総選挙』では、『ほねほねザウルス ティラノ・ベビーのぼうけん』が9位にランクインした。

 子どもたちに支持されて20年。“ほねほねザウルス第一世代”もそろそろ親になっていく。初めてのプラモデルに最適な難易度ながら、パーツを組み替えることで無限に奥深い遊びができる『ほねほねザウルス』。今後は、親と子のコミュニケーション玩具としての役割も担っていきそうだ。
◆『ほねほねザウルス』オフィシャルサイト(外部サイト)
◆『ほねほねザウルス』書籍オフィシャルサイト(外部サイト)

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