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“渋谷センター街”でポイ捨て9割減、“投票型”の喫煙所で見えた可能性「吸い殻がなくなれば他のゴミも減る」

 改正健康増進法や、各地の受動喫煙防止条例により、公共の場所から喫煙所や灰皿の多くが撤去された。一見良いことのようにも見えるが、特に新宿のオフィス街などの都市部では、“喫煙所難民”となった喫煙者が公園や路上、死角となった路地などでたばこを吸う、ポイ捨てをするなど、二次的な問題が増加してしまった。そんな中、同様にポイ捨ての多さに悩む渋谷センター街に突如、“投票型喫煙所”なるものが出現。ポイ捨て9割削減を成し遂げたほか、意外な事実も見えてきたという。

「面白そうだからやってみよう」、たばこを吸わない若者も投票

  • 投票型喫煙所の“究極の二択”

    投票型喫煙所の“究極の二択”

  • 渋谷はポイ捨ての多い地域とのデータが(画像提供:コソド)

    渋谷はポイ捨ての多い地域とのデータが(画像提供:コソド)

  • インタビューに答えた(株)コソド山下社長

    インタビューに答えた(株)コソド山下社長

 若者の街・渋谷センター街。ここもまた、路上喫煙や吸い殻のポイ捨てに長らく悩まされてきた場所だ。その、やや奥まった場所にある狭いL字型の区画が「宇田川クランクストリート」。死角が多いため、そもそもゴミや吸い殻が散乱していた地区としても知られていた。

 そこに登場したのが投票型喫煙所だ。設置したのは、喫煙所ブランド「THE TOBACCO」を運営する株式会社コソドで、5?21?より??限定で設置されているという。代表取締役・?下悟郎氏によると、「好評により、当初の予定より開催期間の延長が決まった」そうだ。

 カラフルな「投票型灰皿」が5台置かれ、そこに「あなたが手に入れたいのは、どっちですか?/A.永遠の愛、そして一文なし B.一攫千金、そして永遠の孤独」「あなたが憂鬱になる瞬間は、どっちですか?/A.明日のことを思い出した日曜日の夜 B.木曜日だと思ってた、水曜の朝」など、ユニークな二者択一の質問が。喫煙者はここでたばこを吸い、そして思い思いの答えに投票する(吸い殻を捨てる)という仕組みになっている。

 「多くの方が投票してくれたのはもちろん、たばこを吸わない方々まで参加していただけていることに驚きとうれしさを感じています」と山下社長は語る。

 「私も現地で見ていたのですが、場所柄もあって若い方が多く、『自分の答えはどっちだ?』『え? こっちはないだろ(笑)』など、楽しみながら投票してくださいました。たばこを吸わない方も、『面白そうだからやってみよう』と、わざわざ道端に落ちている吸い殻を拾って参加していただいたりもしている。遊び感覚ながら、たばこのポイ捨て問題へ意識を向けてもらえた手応えを感じています」

「喫煙所が増えるとポイ捨ては減る?」の問いかけに、圧倒的多数が「YES」

  • 空き缶・空き瓶や吸い殻が散乱していた路上(写真提供:コソド)

    空き缶・空き瓶や吸い殻が散乱していた路上(写真提供:コソド)

 実際、成果も現れている。落ちている吸い殻が約9割も減ったほか、ペットボトルや空き缶などのゴミまでも減少。そもそも心理的に、人はキレイな場所にはゴミを捨てづらい。逆に、吸い殻だらけですでに汚い場所であれば、ついついゴミを捨ててもいいかという気持ちになることがある。吸い殻ゴミが減った結果、クランクストリート自体の美化にもつながるという実証データが得られたというわけだ。

 中でももっとも多く投票があったのは、「喫煙所が増えると、ポイ捨ては減ると思いますか?/A.YES B.NO」の質問だ。

 「回答は、YESが圧倒的に多かった。ポイ捨てしてしまう人も、そこに喫煙所があれば道端に捨てないのに…と考える人が多いということでしょう」

 そもそもポイ捨て自体がモラルに反した行動であり、指定場所以外での喫煙は条例違反。ポイ捨てしないよう携帯灰皿を持ち歩いている人もいるが、そもそも喫煙所があれば携帯灰皿も必要ないわけで、逆に持っていると路上喫煙してしまう…というモラルのパラドックスが起きている。

 これはたばこに限らず、ペットボトル、空き缶、ファストフードなどの包み紙のゴミもそうだ。テロ対策で街中からゴミ箱が減った結果、これらのゴミが路上に捨てられることも増えた。すべての人が高いモラルを持ち、条例を遵守できれば問題はないのだが、残念ながら人間はそこまでシンプルな生物ではない。宇田川クランクストリートは、そうした人間の“弱い部分”の縮図的な場所だったと言える。

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