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爆破表現に、旧キット大変身…“劇的”なビフォーアフターを遂げたガンプラたち

究極のウェザリング“爆破表現”「予測不能なダメージから物語を膨らませるのが醍醐味」

 akakishiさん(@akakishi95126)は、ダメージを受けたモビルスーツ(MS)を制作するウェザリングという手法が印象的なモデラー。ただ、このウェザリング、他の人とやり方が異なり、爆竹でガンプラをぐるぐる巻きにし、爆破させて作っていくという。

「この手法をやりだす前もガンプラを作っていたのですが、ウェザリングがうまくいかなかったある日、『爆破した表現を塗料でするより、本当に爆破させて焦がしたらリアルを超えて本物になるじゃん』と思いつき、すぐに試してみました」

 その思考はいたってシンプル。だが、誰にでもマネできるものではない。

「まずできるだけ特徴のない、見本のような機体を作ります。この時、爆発に耐えれるように、合わせ目消しはもちろん、動かさないパーツや固定してもいい部分は接着剤で固定し、できるだけ強度を上げます。次に出来上がった機体に爆竹を巻きつけます。巻き付けたら、火を入れて、爆破させます。付いたダメージを生かして、あまりダメージが入らなかったところに傷を入れたり塗料を塗ったり、上から整える程度に後加工をします。壊れた部分も生かしてそれっぽい加工をします。例えば、取れた関節からちぎれた配線を出してみるとか。出来上がった機体を見て思い浮かんだ情景をジオラマで再現して完成です。今のご時世、成人男性が一人で爆竹を爆破させて遊んでいると通報されかねないと思い、人気のない山奥まで行って爆竹加工をしているので、そこまで行くのが多少手間です(笑)」

 最初に“犠牲”にしたジムをはじめ、さまざまなMSを爆破してきたというakakishiさん。だが、なかなか思い描いた通りにはいかないという。

「最初のジムのときもそうだったんですけど、思い描いた通りにいきませんでした (笑)。というのも、どこに焦げがつくのか、どこが破損するのか。どこが熱で溶けるのか、曲がるのか。すべてが爆竹次第で予測不能。爆破した後についたダメージからどう妄想を膨らませて、生かして加工していくのか。そこがこの手法の楽しみ方だと思っています」

 手間をかけ、思い描いた通りにならなくても、この表現に懸ける想いが作品から伝わってくる。最後に、自身が考える、爆破表現の魅力について聞くとこんな答えが返ってきた。

「規則性が出ないところと、焦げがかっこいいところですね。私のやっていることは、『爆破した表現』ではなく、本当に『爆破する』。爆破したらそれはもう本物になるんです。言葉にするのは難しいですが、私はこの手法以上にリアルな表現はないと思っています。ただ、くさい、うるさいというデメリットもありますが(笑)」

旧キットは「真っ白なキャンバス。味付けは自分で考えるもの」

 一方、まぁくつさん(@nippa_gum)の作品は、チープな作りながら、手ごろな価格と、カスタムしやすさが人気の旧キットから、ビグ・ザムを大胆にカスタム。自身初の旧キットに戸惑いながら制作を開始したという。

「これが初めての旧キットだったのですが、スナップフィットがない点など最初はかなりびっくりしました(笑)。 ただ、作り進めていく中で基本的な造形はよくできていると感じるところが多々ありました。なので、キット自体を『真っ白なキャンバス。味付けは自分で考えるもの』と捉えて取り組める方にとって、旧キットは最高のキットなんじゃないかと思います」

 完成作は、言われなければ旧キットとはわからないほどの精緻な作品。圧倒的な攻撃力で連邦軍を苦しめたモビルアーマー、ビグ・ザムの怪しさ満点の不気味な兵器感を漂わせる同機を見事に表現している。

「ビグ・ザムに対して、特段思い入れはありませんでしたが、1stガンダムに登場する機体の中で、最もラスボス感のある機体だと思っており、特別なカッコよさはあると思っていました。ビグ・ザムの作例を見ると、カッコよく作ってらっしゃる方はたくさんいらっしゃいます。でも、徹底的にやられてる方は少なく思えたので、『この小さなキットにどれだけ詰め込めるか』『このチープなモチーフをどこまで高められるか』を制作コンセプトに、チャレンジしてみたいなと思いました。最新のキットは誰が作ってもカッコよく作れちゃいますもんね」

「本当に兵器として存在したらこうなってるかな、とイメージしながら作りました。なので、小型の機関銃など設定にはないディテールの箇所が複数あります」と、細部にまでこだわりを見せた同氏。そのこだわりには、自身がガンプラを制作する際の信念があった。

「ガンプラ制作するときは、『制作のテーマ、コンセプトをもって作る』ことと、『横着するな』ということを心がけています。わたしの場合、完成させてしまいたい欲と、もうちょっと作り込みたい欲とが常にせめぎ合っていまして、完成を急ぐと大抵失敗します(笑)。なので『こう仕上げたい』とイメージしながら作るようにしています。ここがうまくいったり、うまくいかなかったりする、わたしにとってのガンプラ制作の醍醐味のひとつになっています(笑)」

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