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賞レース至上主義のお笑い界、一時テレビを離れたゴリが見た過去と現在「今は可視化された気がする」
「『キング・オブ・コント』の決勝まで、残れるネタを作れる人間でもない」
ゴリ “芸人”だと言いたいんですが、他にすごい芸人さんがたくさんいすぎていて(笑)。僕は話術もそこまでありませし、「まあウケるかな」くらいのネタは作れるんですけど、『キング・オブ・コント』の決勝まで残れるかと言われれば、そこまでのネタを作れる人間でもない。だから、“芸人”というより“エンタテイナー”でありたいという思いはあります。
――人が楽しんでくれる存在でありたい?
ゴリ 僕自身がどれだけしんどい状況だったとしても、人が笑ってくれると栄養をもらえているんですね。エネルギーを消費したはずなのに、栄養が増えている。いただけているのは、こちらの方なんですよ。お笑いの人はおそらく、皆そう感じていると思いますけど。
――では、主戦場がテレビではなかったここ数年は、栄養不足だった?
ゴリ いえ、映画をずっと撮り続けていましたし、舞台もありましたから。ただ単に、テレビに呼んでいただけなかっただけ…(笑)。呼んでもらえないなら、それはそれで仕方なく、呼んでもらえるまで頑張ればいいかなという気持ちでいました。どんな形であれ、自分が何か表現するエンタテイナーであるならば、何らかの栄養はもらえるものなんです。でもこうして俯瞰して見てみると、テレビに出続けている人って本当に化け物だと思いますよ(笑)。
賞レース重視の現在、かつては「プロデューサーの好み」がレギュラー獲得に影響?
ゴリ いえそんな、僕は語れるほどの者ではないんですけど(笑)。でも、賞レースで勝ち上がった人が売れる今は、すごく夢があると思います。
――ゴリさんが若い頃はどうだったんしょう。
ゴリ 僕らも、そりゃ頑張りました。例えば、吉本だけでも芸人は6千人ほどいます。テレビに出てなくても、楽屋で面白い人っていうのもいっぱいいるんですね。そんななか僕らの時代は、プロデューサーの好みがテレビのレギュラー獲得に影響していた部分もあると思うんです。一方で今の賞レースは、全国の人が見ているわけだから審査員も偏った審査は絶対にできない。そこを勝ち上がった人が売れていくわけですから、視聴者の方からも公平な売れ方に見えるのではないでしょうか。なんか、可視化された気がしません?
――より、実力主義的な。
ゴリ そうそう。優勝さえすれば、決勝まで残れば、売れる。そういう人たちが多くの番組に出演していても、納得感があると思うんです。いえ、決して僕らが邪道というわけではありませんよ(笑)。僕らが若手の時も、他にはなかった「エンジョイプレイ」というブリッジを編み出し、コントにプラスしたことでオーディションに受かりまくって。その後は、バラエティーでも舞台でも、そこでとにかく目立つ…というのし上がり方でした。
――今の若手を見ると、また違いますか。
ゴリ そうですね。それに今の若手は感性もすごいですから。僕なんて、パソコンで言えば、Windows95が出る以前のOSみたいな脳ですからね(笑)。
――もしゴリさんが今若手で、賞レースに挑戦するとしたら…?
ゴリ いやあ、つらい質問だな! 勝てないな…、でも勝てないって言うのは嫌だな。勝つよう頑張ると思います!(笑)。