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「ダバダ」CMなぜ“封印”していた?「イメージを全部捨てても…」インスタントコーヒーからの脱却図ったネスレの気概

スタバ、コンビニコーヒーの隆盛、変わりゆく市場で生き残る10年計画

 同社がこのような大きな転換を図った背景には、日本のコーヒー市場の変化とも深い関わりがある。「脱インスタントコーヒー宣言」を行った2013年は、スターバックスが日本国内1,000店舗を達成。さらに同年、セブン-イレブンの「セブンカフェ」も大ヒットしている。そして、2015年にはブルーボトルコーヒーが日本に上陸と、日本のコーヒー市場は「ダバダ」CMが始まったころとは激変。コーヒーを飲む場所は旧来の喫茶店や自宅だけではなく、街のチェーン店、コンビニ…とどんどん変化し、競合も増えた。

 そんななか、「ダバダ」を封印したネスレ日本も、多様化するニーズに応えるように新たな試みに乗り出した。

 「共働き世帯も多くなり、家庭外でのコーヒーの需要が増加。また、カフェが増えたことにより、本格志向にもなりました。当社もこの10年、職場やコミュニティなどで楽しめるサービス『ネスカフェ アンバサダー』や家庭内で本格コーヒーが楽しめるコーヒーメーカー『ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ』、また、スターシェフの方々にレギュラーソリュブルコーヒーの品質が認められていることを伝えるコミュニケーションに注力してきました。これにより、インスタントの枠組みから脱却し、レギュラーソリュブルコーヒーを多くのお客様に知っていただき、新カテゴリーの確立ができ、『ゴールドブレンド』=本格という新たなイメージができたのではないかと思います。逆に言うと、これが根付くまでに10年かかったということです」。

 また最近では、コロナ禍でもコーヒー消費に変化があった。外出自粛やテレワークにより、家庭でコーヒーを飲む機会が増加。2020年の家庭用コーヒーの年間支出金額は、プラス9%の成長を見せている。なかでも『ゴールドブレンド』は、「コストパフォーマンスと本格志向を両立する、バランスの良さにあらためて気づいてくださった方が多い」ということだ。

10年放送されなくても“文化”として残った、「新時代のダバダ」目指して復活

 かくして、10年の月日と努力により、『ゴールドブレンド』のイメージを“インスタント”から“本格”へ変化させた同社。揺らぐことのない自信ができたからこそ、一度は封印した「ダバダ」復活に踏み切った。

 「10年放送されなくても、テレビの番組等でも用いられるなど、『ダバダ』は残り続けました。ある意味“文化”として残ったことは、貴重な資産だと思っています。だから、今こそ復活させるときなのではないかと。もう一度ブランドイメージを向上させるため、『新時代のダバダ』を求めて、復活させたのです」。

 復活作でTOKIOを起用したのは、「憧れとともに共感を生む、彼らの個性を生かして幅広い層に支持していただきたい」との思いから。50、60代には馴染み深い『ゴールドブレンド』だが、「30代、40代、若い世代にも選んでもらえるようにしたいですね。また、コーヒーにはポリフェノールの効果などもあり、様々な研究結果が発表されている。それをしっかりアピールする必要があります」と、今後の課題も明かした。

 社会の状況により、どんどん変化していく消費者のニーズ。新たなイメージを根付かせることはできたが、「それを継続するためにはどうコミュニケーションし、伝えていくか」。“文化”となりながらも、過去の遺物となることなく、生まれ変わった「ダバダ」CM。日本の人々の暮らしに合わせて、今後も変化していくことだろう。

(文:衣輪晋一)

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