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京都大学の“タテカン”問題、撤去は表現の規制に? 「自由な環境で、尊重を」学生の声

京都大学の立て看板(2018年撮影、画像提供:京大職員同好会)

京都大学の立て看板(2018年撮影、画像提供:京大職員同好会)

 学生文化のひとつであった“立て看板(タテカン)”。大学のキャンパスがある通りに行けば、学園祭や演劇サークルの公演、落語研究会の寄席情報など、様々な学生たちの活動が個性豊かなデザインとともに自由に表現されていた。しかし、その文化も近年では廃れつつあり、景観を害するとして撤去されたり、SNSが発達してそもそも看板の存在意義に疑問の声も。“学生の自由さ”の象徴だったタテカン文化は時代とともに変化を遂げている。

学生を表す鏡? 日々移り変わる立て看板の風景

 京都大学では、吉田キャンパス(京都・左京区)に置かれる立て看板が、京都市の景観を守る条例に反するとして、2018年より設置可能な場所以外に置かれた看板の撤去が行われている。一方で、この撤去について「表現の自由を侵害している」といった声も。議論だけにとどまらず、損害賠償を求める訴訟にまで発展している。

 タテカンは大学に古くから伝わってきた“伝統文化”でもある。新入生の入学時期には新歓情報、学園祭では各イベントの情報、そしてウィットに富んだ主張まで、日々移り変わるタテカンの風景は“学生の活発さ”を表していた。現在はどう変化しているのか。

 大きな分岐点は、SNSやインターネットが発達したこと。看板から情報を得ずとも困ることはなくなった。現在はコロナ禍でそもそも作り手の学生たちがキャンパスに集えない“制限された環境”がある。現役の学生たちにとってタテカンは、あってもなくても困らないものになりつつあるのかもしれない。

「学生たちが何かを描いて発信することが大事」京大学生の声

 京都大学の学生が運営する「京大職員同好会」(@kusyokuin)というツイッターアカウントでは、過去に同大学キャンパス内で話題を集めたタテカンについて投稿している。「京都大学で『立て看板』が禁止された結果生まれたやつ。」として、あるゲームでおなじみの“加速パネル”が敷地内に置かれた様子を写真投稿し、4.5万いいねを集める反響ぶり。「ユーモアが素敵」「こんなの取りあえず乗るやん」「天才しかいない」などと話題になっていた。投稿者の同大学学生は、立て看板の設置について「SNSの伝わりやすさもあるけれど、現実世界の掲示物の良さもある」と話す。

「立て看板は、学外の人に情報を伝える手段として有効。落語サークルのイベントが開催されるとき、地域のお年寄りはいまだに立て看板を見ていらっしゃる方も多いと聞く。デジタルがすべてアナログの代替になるわけではない。芸術と言ったら大げさだけど、学生たちが何かを描いて発信することが大事」(京大職員同好会の学生、以下同)

 タテカンのなかには政治や宗教など思想が全面に出ているものもあり、それを初めて目にした時は威圧的な印象も。通過儀礼としての側面もあったかもしれないが、学生たちの自主独立の精神は時として過激すぎる方向にも行きかねない。

「確かに、学生は立て看板に興味がない人がほとんどなのかもしれません。でも僕は興味がないから『どうでもいいや』という話ではないと思っています。立て看板において表面化しているだけで、他のことでも規制が起こりうるかもしれない危惧はある。自由な文化が特色である京大では、他にも様々な学生文化がある。それらが自由な環境のなかで、ただ尊重され続けていってほしい」

 規制に対しては賛否さまざまな意見がある。学生文化によって思い起こされる昭和の面影、活気みなぎる街としての表情は忘れられない魅力として現在まで伝わってきた。タテカンもそのひとつだ。今後どのような一途をたどるのか、見守っていきたい。

Twitter:@kusyokuin(外部サイト)

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