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“tan治郎”の市松模様を数式で表現 現役東大生による斬新な数学解説に「理解できないが面白い」
「常に何でも数学と結びつけて考えている」 斬新な“数学ネタ”が思いつく背景
まーくんここまで大きな反響があるとは思いませんでした。『チート式』『脱法ロピタル』というネーミングのインパクトと、受験数学のテクニックの実用性が評価されたのだと思います。内容まで理解してもらえればとても嬉しいですが、理解せずとも楽しんで頂けるのなら光栄です。「数学は色々な解き方があるから面白い」というのは、まさに私が伝えたかったことなので、その点が共感され、注目を集めたのは嬉しい限りです。
――ほかにも多くの受験生に支持されている単語帳『速読英単語』のパロディ『速読数学英語』や「もしも平安時代に数学のチャート式があったら」といった投稿もありました。このようなネタはどんなときに思いつくのですか?
まーくん『数学英語ターゲット』と『速読数学英語』は、院試(大学院入試)対策をしているときに思いつきました。数学科では英語の授業がないのに、数学系の院試では知っている前提で数学に関する英語の文章が出題されるというシステムに疑問を抱き、その対策のためにこういう単語帳があったら便利だから自分で作ってしまおうというのがきっかけです。
まーくん私は数学と数学以外のテーマとの融合ネタをよくやるのですが、その「数学以外」は数学と縁遠そうな物事であるほど意表を突き、ウケる傾向があります。日頃から何でもかんでも数学と結びつけて、「Twitterのネタにならないか」考える癖がついており、数学と古文の融合なんて滅多に見たことがないので、ウケるのではないかと考えました。
――扱っている数学の内容がかなり高度だなと思うのですが、それには理由があるのでしょうか?
まーくん扱っている数学の内容は、自分の趣味と昔からのフォロワーの需要に合わせた結果、大学数学が混在していますが、最近は広範囲でバズりすぎて数学を専門としないフォロワーも増えたので、今後は中学数学や高校数学のネタを増やしていった方がいいかなと思っています。
「半沢直樹は倍返しする」→「1/2沢直樹は2倍返しする」ドラマの背景を考慮しながら問題を作成
半沢直樹をネタにして問題を作りました。連立方程式、区分求積法、条件付き最大最小、確率論、熱力学などジャンルは様々です。 pic.twitter.com/vU37hjRTkf
? 佐久間まーくん (@keisankionwykip) September 17, 2020
まーくん多すぎて語り尽くせませんが、いくつか挙げるとすれば、1つの正解に至る解法の多様性、難問が解けたときの達成感、道具も実験も必要なく頭さえあればいつでもどこでも考えられるということ、主観に依存する余地のない論理的厳密性、宇宙が始まる前から存在して未来永劫変わらない真理性、抽象的であるが故にあらゆる現象に適用できる汎用性、そしてなんと言っても「美しさ」じゃないでしょうか。
――まーくんさんのお気に入りの投稿と、それにちなんだエピソードを教えてください。
まーくん特に好評だったのは『半沢直樹』をネタにした数学の問題です。「半沢直樹は倍返しする」を「1/2沢直樹は2倍返しする」と解釈して、それを勝手に「x沢直樹は1/x倍返しする」に一般化して、ドラマの背景を考慮しながら数学の問題を作りました。阪大積分サークルさんのYouTubeの動画の題材にも選んでいただき、かなり話題になりました。
――数学好きではない人でも楽しめそうです。
まーくん「倍」にとらわれずにもっと一般化した「f沢直樹はf^{-1}返しする」のネタは(別のアカウントで投稿したのですが)、海外まで拡散されて10万いいねを超えました。また、『チート式』の数日前にツイートした「点と直線の距離の公式」の27通りの証明法が載っている資料も、まとめサイトに載るなどしてかなり注目を集めました。
エンタメ×数学ネタで「少しでも数学の魅力を感じてほしい」
まーくん私のツイートを見て、少しでも数学に魅力を感じてもらえたら嬉しいです。私のアカウントはできたばかりの勉強垢にフォローされることも多いのですが、なかでも数学が得意じゃないけど好きという人が、私のツイートでもっと好きになったというような反響を結構見かけます。好奇心は才能にも努力にも勝ると私は考えていますし、私が数学を続けてこられたのも数学が好きだからです。私のTwitterが、少しでも役に立てればいいなと思います。
――今後、数学を通してやってみたい投稿などはありますか?
まーくんTwitterのネタとしては、これからも数学と数学以外のテーマの融合をネタにしていくと思います。ドラマ『半沢直樹』がブームになったときには“x沢直樹”、『鬼滅の刃』ブームのときには“tan治郎”や“鬼math隊”のネタで何度もバズったので、両者を融合させたらどうなるか試してみたいです。例えば、x沢直樹とtan治郎が協力して数学の力で鬼舞辻無算(鬼舞辻無惨の数学パロディ)の不正を証明するというストーリー性のある数学の問題とか。
――その企画、ぜひやってほしいです! 参考書を作ろうといった考えはないのでしょうか?
まーくん大学生以上が扱う数学書は、敷居の高い専門書ばかりなのが現状だと思います。『チャート式』のように丁寧な解答がついた大学生や大学院生向けの問題集や参考書などの教材は需要と比べて依然として少ないと感じていたので、そういった数学の教材を作ってみたいと考えています。周囲からも期待されているのですが、自費出版は金銭的にキツく、専門性の高い理系大学生や理系大学院生向けという方向性を受け入れてくれそうな出版社も極めて少ないです。もしそういった教材の制作に興味がある方がいらっしゃいましたら、是非声をかけてほしいです!
まーくん