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“MANGA”はより世界規模に? 国境すら超えた集英社による新サービスの秘めたる可能性

 集英社が9月22日にβ版を公開した『World Maker』。同サービスを使用した「漫画ネーム大賞」ではあまりに多くの人がTwitterに応募作を投稿したため、締切の直前15分前に一部ユーザーがツイート出来なくなるという事象まで起こった。『World Maker』とは、簡単に言えば、絵が描けなくても漫画が作れるサービス。日本語でのリリースにも関わらず「驚いたことに海外からの投稿も多数あったんです」と、同サービス考案者の集英社・林士平(りんしへい)氏は話す。すでに英単語にもなっている日本の“MANGA”文化の現在地と未来。デジタル化によるメリットや、国境や人種の壁を超える可能性まで聞いてきた。

ネーム制作に自ら携わることで漫画への視点に変化も「プロの凄さが改めて分かる」

  • 林士平(りん しへい)

    林士平(りん しへい)

 林氏は、2018年6月から少年ジャンプ+編集部で『SPY×FAMILY』や『ダンダダン』などを担当。アプリの新規制作を積極的に行う部署に異動になったことがきっかけとなり考案されたのが『World Maker』だ。ユーザーはストーリーやセリフを考えれば、絵に関してはコマ割もさまざまなパターンから選択。用意されたキャラクターやその表情を使うことができ、自らが撮影した写真を貼り付けることも可能。いわゆる漫画の“ネーム”がスマートフォンで簡単に作成できるサービスだ。

 「企画は3年前。ストーリーを文字で考える方、素敵なイラストを描く方が一般にも多くいらっしゃる中で、漫画そのもので表現する方が少ない印象があったんです。その理由を考えた時に、頭に浮かんだことをビジュアル化(漫画化)するスキルがちょっと“特殊”になっているからだろうと。絵が描けない、ゼロからどう魅せていいかわからない。であっても、頭の中にイメージがあれば、“選ぶこと”はできるのではないか、と考案しました」(林氏)

 これまでの漫画脚本との違いは、カメラワークを指定できること。アングルや吹き出しの位置、カット割りなどで演出までできるわけで、言葉だけで説明できないところまでビジュアル化できるということだ。

 「このサービスをきっかけに、コマ割りやカメラアングルまで意識するようになる方もいらっしゃると思うんです。作る側の経験をすることで漫画の見方や楽しみ方が変わったり深まったりすることもあるのでは、と希望しています。そうなると、例えばスポーツのように、サッカーやテニスを部活でやっていて、それ故にプロの凄さがわかるということが漫画界でも起こるかもしれない。そういう意味で、漫画ファンの濃度が上がるという効果も期待しています」(同氏)

 現在はまだβ版であるが故、作れるのは4Pで、使えるキャラの種類や表情、コマ割りなど制限があるが、いずれ長編も作成できるよう様々な機能を実装したいと林氏は語る。

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