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“MANGA”はより世界規模に? 国境すら超えた集英社による新サービスの秘めたる可能性

真の意味で「漫画は国境を超える」 デジタル化がもたらす“平等性”とは?

 多くの反響があった中で、林氏が想定してなかったのは、外国人からの利用が多くあったことだ。「サービス使用者を分析すると、日本語話者の多い台湾ユーザーの利用は想定にあったのですが、ポルトガルやロシア、トルコなど、どこから知ってくれたのか、いろんな国の方がいろんな国の言葉で漫画を作ってくれていました。センスや扱っている題材が日本とは違うなと感じる方、逆にその国の文化にとらわれず、あくまで“日本っぽいもの“を目指している方もいました」(同氏)

 ジョン・レノンが『イマジン』で「想像してごらん、国なんかないって」と唄ったが、これを阻むものの一つに“言語”がある。林氏は「言語を(漫画のように)ビジュアル化することで、一気に国境を超えやすくなる」と目を細める。

 ほかに、国境を薄くしたものには「デジタル化」もある。インターネットを通して様々な国で日本の漫画が読まれるようになったほか、物流と無縁であるため“時差”もなくなった。つまり、例えば沖縄などは『週刊少年ジャンプ』の発売が一日遅れるということがあったが、オンラインのみの発信だとリアルタイムで地域デメリットはない。デジタルにより“平等性”が確保された一面がある。
 また、以前はデジタル社会のデメリット…発売前の漫画雑誌の写真をインターネット上にアップするといった流出・違法行為が多く見られたが、出版社がデジタル化に力を入れ、公式にデジタルで公開できるようになったことでデータの管理が容易になった。「新作でなくとも海賊版の問題は、公式が発売できてない国で多い。物流・デジタルを通していろいろな施策をしていければ」(林氏)

 そしてこう続ける。「日本以外でも『World Maker』が使われるという反響を受けて、英語版などの実装も目指し、グローバルな才能発掘にも目を向けたい。また、これまで漫画を描こうと思っていなかった人にも届けば。そうなれば多くの職業に就いている方が自分の経験を漫画にできるようになり、さらに漫画文化は豊かになっていくと思います」

 ちなみに、サービス名に「漫画」「ネーム」という単語を入れなかったのは、漫画だけに限定したくなかったから。いずれ、アニメやCM、ミュージックビデオを制作する際の「絵コンテ」、一般人なら「絵日記」など、ビジュアライズの広いスタンスに使えるフォーマットにしていきたい想いがある。自分の中の「世界」を何でも作れるサービス、ゆえに『World Maker』なのだ。

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