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コンセントの中は高度経済成長期? 進化するミニチュアの世界で「日常を別視点で切り込む面白さを伝えられたら」

画像提供:Mozuさん

画像提供:Mozuさん

 壁にあるコンセントの扉を開けると、そこには“こびとの世界”が広がっていた――。そんなミニチュア作品を作り続けているMozuさん。『こびとの旅館』『こびとの階段』『こびとの秘密基地』といった“こびとシリーズ”はどれも大きな注目を集め、『こびとのベランダ』はYouTubeで2000万再生を記録。さらに、最新作では“ミニチュア鉄道”まで開通させている。そして先日には海外のTwitter投稿者にも取り上げられ、91.7万いいねの反響に。驚きの展開を見せ続ける“こびとの世界”。なぜこういったミニチュア作品を作ろうと思ったのか、どういった点にこだわっているのか、Mozuさんに話を聞いた。

YouTube動画が3週間で2000万再生 “生活感のあるお部屋”をミニチュアでリアルに表現

 Mozuさんはひとりっ子で、幼い頃から両親が仕事で家にいないことが多かったそうだが、そのことがものづくりを好きになる土台を作ったという。

「テレビやゲームばかりに夢中になるのではなく、『自分で自分を楽しませることができる子になってほしい』という思いがあったようで、両親が絵を描くことや工作などをたくさん教えてくれました。なので、物心がついたときから、自分で何かを作り出すことがすごく好きでした」
 ミニチュア作品を制作するようになった直接的なきっかけは、小学5年生のときに同級生の友だちに「一緒にガンダムのプラモデルを作ろうよ」と誘われて、プラモデル作りにハマっていったこと。

「そこからガンダムの立っている地面とかガンダムの整備工場とか、プラモデルの背景も手作りするようになって。そのうちにプラモデル作りよりも、背景を一から自分で作るほうが楽しくなってしまって、中学生くらいからオリジナルで色々と作り始めました」

 コンセントを扉として“生活感のあるお部屋”を作り上げているのがMozuさんの作品の特徴だが、このような作風に至ったのには驚きの経緯がある。高校1年生の頃に作っていた作品が、あまりにリアルすぎてミニチュアだと気づいてもらえないことがよくあったとか。人を驚かせたいのに、その機会を失っているのはもったいないと感じたという。

「どうしたらみんなにすぐに気づいてもらえるかを考えたときに、作ったミニチュアの隣にサイズを比較できるものを置くといいなと思ったんです。それで、誰の家にでもあって、誰もがサイズを知っていて普遍的なものである『コンセント』を思いついたんです」

 これまでの作品で最も大きな反響を集めた『こびとのベランダ』は、YouTubeで配信して3週間で2000万回再生を記録した。この作品は、Mozuさんが小学4年生のときに憧れていた部屋を作ったものだ。

「昔の写真を見て懐かしむような感覚で作ったので、見てくださった方の共感も呼ぶことができたのかもしれません。あと、あの作品は言語を必要としないものだったので、海外の方にも理解してもらえたのも大きかったですね」

 リアルさを追求して、かなりこだわりを持って作品づくりを行っているが、「汚くても不快感は与えない」ということも毎回心がけている。

「基本的にミニチュアを作るときは、自分の理想の空間を作り上げようとしているので、そこに不快感は出したくないです。僕の作品を見てくださった方は『私もそこに入りたい』と言ってくれることが多いので、その思いを踏みにじるようなことはしたくないですね」

壁に“ミニチュア鉄道”が開通!? 点字ブロックも立体的に再現 とことん細部にこだわった「冷蔵庫前駅」制作秘話

 コンセントを開けると、秘密基地や和室、縁側などの「こびとの部屋」が広がっていた、という作品を作り続けるMozuさんだが、最新作では「駅のホーム」を制作。「気がついたら、壁の中に鉄道が開通していました」というコメントとともに投稿された本作では、“壁の中を電車が走り抜ける”という新しい試みにも挑戦している。

 今回の作品では、「冷蔵庫前駅」や「リビング線」、「台所エクスプレス」などのユニークなネーミングに加え、広告ポスターまでしっかりと作られており、芸の細かさやこだわりの強さを感じる。

「こびとにとっては家が世界のすべてです。スーパーへの買い物は家の冷蔵庫に行くような感じかなと想像して『冷蔵庫前駅』という駅名を付けました(笑)。細部にまでこだわるのは、こびとの世界のストーリーを見ている人に想像して楽しんでほしいからというところからです」
 制作期間は3ヵ月とのことだが、「自動改札機」は実際の寸法や詳細な画像などの情報がなく、特に形にするまでに苦労をしたという。

「点字ブロックを画ではなくて立体的に作ったのもこだわりの一つです。『青山一丁目駅みたい』というコメントもあったのですが、田端駅の小さな改札口を参考にしたんです。実際に田端駅まで行って、いろんな角度から観察したり、写真を撮ったりして作り上げていきました」

 Mozuさんの作品に感化されて、夏休みの工作に「こびとの押し入れ」を制作された方もいるとか。そういった方たちに対しては、「物を作る楽しさを知ってもらえたらな」とエールを送る。

「僕自身は、情景師アラーキーさんの作品に触れて、『こんな世界があるんだ!』と衝撃を受け今に至ります。僕が誰かにとってそんな存在になれたら、こんなにうれしいことはないです。僕の作品は、日常を別の視点で切り込んだものが多いので、『視点を変えたら、面白いものって結構あるんだよ』っていうことも作品で伝えられたらと思います」

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