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ORICON NEWS
「ごちゃごちゃ感がリアル」壁の中に作られた“子どもの頃過ごした部屋”に2000万回再生、“幼少期の憧れ”が創作の起点に
「自分で自分を楽しませることができるように」創作の土台になった両親の教え
Mozu僕はひとりっ子で、幼い頃から両親が仕事で家にいないことが多かったんです。でも、テレビやゲームばかりに夢中になるのではなく、「自分で自分を楽しませることができる子になってほしい」という思いがあったようで、両親が絵を描くことや工作などをたくさん教えてくれました。なので、物心がついたときから、自分で何かを作り出すことがすごく好きでした。
【Mozu】そういったことが土台にはなっていますが、直接的なきっかけは小学5年生のときに同級生の友だちが「一緒にガンダムのプラモデルを作ろうよ」って誘ってくれたことですね。そこからプラモデルにハマって、ガンダムの立っている地面とかガンダムの整備工場とか、プラモデルの背景も手作りするようになって。そのうちにプラモデル作りよりも、背景を一から自分で作るほうが楽しくなってしまって、中学生くらいからオリジナルで色々と作り始めました。
――コンセントを扉として“生活感のあるお部屋”に仕上げているのがMozuさんの作品の特徴だと思いますが、このような作風に至った経緯は?
【Mozu】高校1年生の頃に作った『自分の部屋』という作品が、「あまりにもリアルすぎてすごい」とか「本物の写真にしか見えない」と話題になったんです。その頃はリアリティのあるものを作るのが好きで、写真に撮ったら本物にしか見えないような「教室」とか「ゴミ捨て場」などを作っていたのですが、リアルすぎて全く気づかない人もいて…。
――あまりにリアルでミニチュアに見えなかったんですね。
【Mozu】人を驚かせて反応を見るのが僕は好きなので、その機会を失っているのはちょっともったいないなって感じて、どうしたらみんなにすぐに気づいてもらえるかを考えたときに、作ったミニチュアの隣にサイズを比較できるものを置くといいなと思ったんです。それで、誰の家にでもあって、誰もがサイズを知っていて普遍的なものである「コンセント」を思いついたんです。
1ミリの誤差も作り直し“リアル”を追求、YouTube動画が2000万再生を記録
Mozu一番新しい作品の『こびとのベランダ』が、YouTubeで配信して3週間で2000万再生を越えて、めちゃくちゃびっくりしました。この作品は、小学4年生のときの僕の憧れの部屋を作ったんです。だから、昔の写真を見て懐かしむような感覚で作ったので、見てくださった方の共感も呼ぶことができたのかもしれません。あと、あの作品は言語を必要としないものだったので、海外の方にも理解してもらえたのも大きかったですね。
Mozu高校2年生のときに、『自分の部屋』という作品を同級生がTwitterで紹介してくれて、それがバズったのが最初です。前日までは誰も僕の作品を知らなかったのに、ひと晩で5万いいねを集めて、3日後にはテレビ局から取材の依頼が来て、一気に大勢の人に注目されたことに両親も僕も「めちゃくちゃ怖い」と感じたのを覚えています。当時の僕ら家族はSNSにいい印象を持っていなかったので、「大したことない」とか「俺でも作れるわ」とか絶対に言われるのではないかと怯えていました。でも、蓋を開けて見ると、Twitterもテレビもいいコメントや反響しかなくてうれしかったですね。みなさんに感謝です。
――これまでのコメントで、特に印象に残っているものはありますか?
Mozuすごくリアルなミニチュアの電柱を作ってTwitterにアップしたところ、実際に電柱に登って仕事をしている方から「その足場、1ミリくらい長いと思う」って言われて。それで悔しくなって、足場を全て取って、1本1本短くし直したことがありましたね。あと、ベランダを作ったときに、室外機を設置する仕事をしている方から「この室外機は俺から見てもすごい」ってコメントをいただいて、認めてもらえたのがすごくうれしかったです。
――それがあのリアルさを生んでいるんですね。
Mozuあと、汚くても不快感は与えないというのは毎回心がけています。基本的にミニチュアを作るときは、自分の理想の空間を作り上げようとしているので、そこに不快感は出したくないです。僕の作品を見てくださった方は「私もそこに入りたい」と言ってくれることが多いので、その思いを踏みにじるようなことはしたくないですね。
――最近はジオラマだけでなく、コマ撮りアニメなどにも力を入れているようですが、今後の展望について教えてください。
Mozuコマ撮りアニメを作るのは一番楽しいと感じているので、いつかは長編アニメを作りたいです。ただ、僕は今23歳なんですけど、この歳で一生かけてやることを決めてしまうのはまだ早いという気もしていて…。僕がまだ知らないけれど、僕に合っていることや楽しめることがたくさんあるだろうなと思うので、しばらくは自分の可能性をもっと広げたいと感じています。ミニチュアやコマ撮りだけではなく、色々と新しいことにも挑戦してみたいですね。