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沢城みゆき 声優人生を彩る人気キャラクターたちを語る…“10年目”の峰不二子。ぷちこに神原駿河、モードレッド

この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
⇒この記事をオリジナルページで読む(10月5日掲載)

沢城みゆき

今年アニメ化50周年を迎える『ルパン三世』シリーズの最新TVアニメ『ルパン三世 PART6』が10月から放送されます。小説界やアニメ界を賑わす豪華なメンバーが脚本家として参加することや、声優の小林清志さんが次元大介役を勇退することなど、話題を集めています。そこでFanthology!では、石川五ェ門を演じる浪川大輔さん、峰不二子を演じる沢城みゆきさん、そして新たに次元大介を演じる大塚明夫さんにインタビューを敢行。初回である今回は、沢城さんに、峰不二子への想いや役を継承して10年目を迎えた心境などを語っていただくと共に、「自分を築き上げたキャラクター」というテーマで、ご自身の代表作やファンから愛されている役について振り返っていただきました。

取材・文:遠藤政樹 撮影:平野敬久

運命的な出会いからライフワークへ:『デ・ジ・キャラット』ぷちこ

――シリーズ最新作となる『ルパン三世 PART6』の峰不二子も含めて、沢城さんが演じられた特徴的なキャラクターについてお聞きしていきます。まずは何と言っても『デ・ジ・キャラット』の通称ぷちこことプチ・キャラットは、はずせないキャラクターかと思います。沢城さんにとってどのような作品でしょうか。
2022年にめでたく24周年、「にょ(24)」の年を迎えるのですが、これはこれで“奇跡”ですね。(記念イヤーを)迎えていても祝ってもらえる作品は少ないですから、祝ってもらえる作品になったというありがたさをかみしめている作品ですね。
『デ・ジ・キャラット』
アニメーション制作:マッドハウス。1998年に株式会社ブロッコリーのマスコットキャラクターとして誕生し、テレビCMを経て1999年にアニメ化。同年に行われた「デ・ジ・キャラット声優オーディション」で当時13歳だった沢城さんが審査員特別賞を受賞して出演し、デビュー作となった。2022年の誕生24周年に合わせ、記念プロジェクト「令和のデ・ジ・キャラット」を開催している。

プチ・キャラット(ぷちこ)
デ・ジ・キャラット星の第一王女であるデ・ジ・キャラット(でじこ)の妹分。冷静沈着で感情を外に出さないタイプだが、実は寂しがりや。ボソッと鋭い一言を放つ。
――振り返ってみて、何か印象に残っているようなエピソードはありますか。
2019年には久々に、昔やっていた「D.U.P.」というユニット(※デ・ジ・キャラット役の真田アサミさん、ラ・ビ・アン・ローズ(うさだヒカル)役の氷上恭子さん、プチ・キャラット役の沢城さんの3人によるユニット)で集まって自主イベントをやったり、公式で「“令和のデ・ジ・キャラット”をやる」ということで動き始めたり、20周年や24周年などで集まる機会がちょっと増えているのですけど。久々に再会した時に氷上恭子さんから、「でじこに関してはキャラクターありきで(真田)アサミちゃんが声をあてていたけど、プチ・キャラットはみゆきちゃんがゼロからスタートして一緒にキャラクターを作っていったところがあったよね」と言われたことが、すごく印象的でした。

そのころはそんなつもりはなかったのですが、もしかしたら本当に「0→1」を一緒にやったのはぷちこが最初で最後というか、状況的にそうなっちゃったという方が合っているのかな。そもそも一枚絵しかないところから肉付けしていく段階で、あの時の自分にできること、本当は100個やらなきゃいけなかったところの2個とか3個しかできていなかったけど、それでも全力で貫通性を持たせて成立させようとしていた。なので結果的に「0→1」をやったキャラクターだったのかなと、今は思いますね。
――なるほど。なかなか興味深いお話ですね。当時のアフレコなどで思い出に残っていることは何かありますか?
ピョコラ=アナローグIII世役を演じられていた林原(めぐみ)さんに、「この作品をやっていたら、ほかのどこに行っても大丈夫だよ」と言われたのを覚えています。キャラクターたちがいっぺんにいっぱいしゃべるので、台本1ページが4列4行くらいになっているんですよ。その見づらさと騒がしさ、あとスピードの速さを思い出すと、「どの作品に行っても大丈夫」と林原さんが言った理由が、その後よくわかりました。1本目がそういうテイストだったのはなかなかだったなと思うし、強烈な作品でしたね。

――ご自身とキャラクターを比べて、似ているところ・似ていないところはありますか?
ぷちこは、ポーカーフェイスというかクールというか、楽しくなさそうに見える(苦笑)そういう表情のなさや血圧の低さみたいなものは、当時の私と似ていたかもしれないですね。すごくありがたい気持ちで楽しくライブをやっているはずなのに、「あんなニコリともしないヤツを応援してもしょうがない」って書かれていたこともあって。自分としては「あれ、おかしい。すっごく幸せだったのに……」みたいな気持ちになりました。
――現在の沢城さんを拝見していると、まったくイメージができませんが……。
“当時(の自分に似ていた)”と言ってもいいかもしれません。例えば小中学生のころって自分を上手に表現できないことも多いじゃないですか。私はそのまま来ちゃったし、子役でもなかったから自分をきちんと見せることをしたこともなかったので、ありのままいるとあんな感じということだったのかもしれませんね。

――そういうことなのですね。では、ぷちこは沢城さんの声優人生にとって、どのような役になりましたか?
「ライフワークになったらいいな」というキャラクターに、今やなりつつあります。そういう希有な作品ですね。デビュー作だったこともありますから、運命的な役ということになるのでしょうかね?

――それはやっぱり運命だと思いますよ。
そもそもオーディションは主役を選ぶためのもので、でじこにはなれなかったけれど、それでも何かやらせてみたいって“大人”が思ってくれたから、ぷちこを演じることができました。そういう意味ではとても縁のあるキャラクターになったし、声優としてのスタートを切ってくれたキャラクターでもあることは間違いないですね。

一番の大恋愛、青春を共にした:『<物語>シリーズ』神原駿河

――続いては、『<物語>シリーズ』の神原駿河についてお聞きします。こちらも沢城さんを代表するキャラクターの1人だと思いますが、改めてどのようなキャラクターでしょうか?
プチ・キャラットとは真逆にある血圧の女の子で、高血圧な、相当エンジンかけてやらないとできないキャラクターです。
『<物語>シリーズ』
アニメーション制作:シャフト。西尾維新氏によるライトノベルを原作に、『化物語』(2009年)からファイナルシーズンである『続・終物語』(2019年)までがアニメとして制作されている。主人公・阿良々木暦が瀕死の女性吸血鬼を助けたことをきっかけに、怪異に憑かれた少女たちと出会い、彼女たちとの交流を通して成長していく。

神原駿河(かんばる・するが)
阿良々木暦の後輩にあたる高校生。バスケットボール部のスターで明るく爽やかな人気者だが、かなり特殊な性癖を持ち、始終、妄想を爆発させている。中学校からの先輩である戦場ヶ原ひたぎを心から慕っている。
――たしかに、まったく別角度のインパクトを持ったキャラクターですね。当時を振り返って、何か印象深かったことはありますか。
当時アニメの本数自体ふくれ上がっているときで、私自身も1クールに最も本数をやらせていただいていた時期だったし、舞台をやっていたこともあって、とにかく原作を読むことが「間に合わない」「消化しきれない」という中で、転がるようにスタートした作品でした。

そんな状況だったので、神原を「かみはら」と思い込み、開口一番のセリフを読んだ時に音響監督の鶴岡(陽太)さんから、「沢城、『かんばる』」とダメ出しされたことは鮮明に覚えています(笑)。その後、自分がメインになる話数がくるまでに原作を読み切ることができましたが、「どうしよう……」という焦燥感でいっぱいだったという、反省のような思い出が強いですね。
――声優人生においてはどんな役になりましたか?
人生における一番の大恋愛、青春を共にしたキャラクターという感じですね。あんなに焼け付くように誰かのことを想ったことって、戦場ヶ原(ひたぎ)先輩以上に恋焦がれたことってあったかな…。ツラい恋ではあったけど、戦場ヶ原先輩に名前を呼んでもらうと、それだけで本当に幸せでした。駿河よりもひたぎの印象の方が強いくらいで(笑)彼女と一緒に青春を走らせてもらったような体感が強いですね。
――なかなか情熱的な表現で素敵ですね。
駿河といえば最近、『<物語>シリーズ』をオーディオブックにしようというプロジェクトがあるのですが、朗読ではあるにせよ、1冊をまるごと1人が担当するという取り組みなので、私が阿良々木(暦)くん(声・神谷浩史さん)をやらなきゃいけないし、出てくるキャラクター全員1人でやらなきゃいけません。改めて、当たり前のように享受してきたキャラクターを自分がやるとなったとき、どれだけ難しいかということを再認識しました。

阿良々木暦って、めちゃめちゃ難しいんですよ。神谷さんが淡々とやってらっしゃいますが、いざ自分がやるとなったら、こんなにバランスが取りづらいキャラクターなのかと感じて、改めて神谷さんの魅力にも向き合えました。そういった体験が全キャラクターにあったので、『<物語>シリーズ』は、なかなか個性派なキャストが腕を振るっていたことを思い知らされました。多くの方にぜひ聴いていただきたいですね。宣伝になっちゃいましたが(笑)。

友達のような間柄で“置き所”はまだ思案中:『Fate』シリーズのモードレッド

――続いては、こちらもファンからの人気が高いキャラクターである、『Fate』シリーズのモードレッド。最近では劇場版アニメ『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-』も公開されていましたが、演じる上で意識した点や苦労したことなどはありますか?
モードレッドというキャラクターをやらせていただいている身からすると、実はそんなに難しくないという印象があります。父親との関係に四苦八苦しているティーンエイジャーの女の子という、結構シンプルなところでキャラクターは捉えています。『Fate』シリーズのお話自体は、ものすごく緻密でいっぱい情報があって“Fate先生”……間違えました、(島崎 ※“たつさき”が正式表記)信長くんがいないとわからない部分もいっぱいあるのですけど(笑)。Fate先生ほどではないのですけど、やる側からしたらツラい問答が繰り返されている、答えの返ってこない問答を続けているような、そういうキャラクターです。
『Fateシリーズ』
2004年に発売されたPC用ビジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』を皮切りに、アニメ化、家庭用ゲーム機やスマートフォン用ゲームへの移植など、多くのメディアで展開されている。

モードレッド
アーサー王伝説の“円卓の騎士”の一人。父であるアーサー王(アルトリア)に拒絶され、憎みながらも激しく慕っている。同名の小説を原作としたTVアニメ『Fate/Apocrypha』(アニメーション制作:A-1 Pictures、2017年放送)では、召喚したマスターとウマが合い、明るい笑顔やリラックスした子どもっぽい姿も見せながら、豪快に戦った。
――島崎さんは『Fate』シリーズなどを手がけるゲームブランド「TYPE-MOON」の大ファンとしても有名ですが、Fate先生とは(笑)。それはさておき、そういったシンプルな捉え方をされていたというのは少し意外です。では、ご自身と似ているところや似ていないところはどこでしょうか?
あまり理屈で長々とものを考えられないところとか、執着しちゃうとそこから離れられないところとかは、「わかるな」って思いつつ、一緒にコーラを飲んでいるような間柄ですかね。ただ、あそこまで表に吐き出さないと自分が壊れてしまうほどの痛みを私は負ったことがないので、そこがすごくかわいそうだなと思って見ているというか。「もういいんじゃない?」って肩を叩きに行きたい気持ちがあるけど、自分で決着つけないと終わらない戦いなのだろうなと、友達としてはツラく見ているというような感じでもあります。

だから今回の劇場版で、玄奘三蔵さんがいろいろ説法をして救ってくれた部分があったので良かったなって。私ではああいう風には助けてはあげられなかったけど、友達としては「良かったね」って思っています。
――共感できる部分はありつつも、どちらかというと友人のようなキャラクターというのも趣がありますね。そんなモードレットは、声優人生においてどのような役でしょうか。
今も現在進行形でやっている役なので、そういう意味では『Fate/Apocrypha』というTVシリーズで、彼女がもともと持っている伸び伸びとした可愛らしさや優しさがいっぱい描かれていたのですが、もう一回あの顔を見たい。最近は眉根を寄せて「わー!」って叫んでいるばっかりでかわいそうな顔しか見ていなかったから、あの可愛い顔を見たい気持ちが強いキャラクターで、まだ自分の中で置き所は決まっていませんね。

各脚本家の“俺の不二子”色に染まりまくるのをお楽しみに:『ルパン三世 PART6』

――演じ続けているキャラクターということなので、いずれまたお聞きできればと思います。ここからは近年の沢城さんの活動を語る上では欠かせないキャラクターの1人、峰不二子や最新シリーズについて、おうかがいします。『ルパン三世』シリーズがアニメ化50周年を迎えましたが、どのように感じられていますでしょうか。
50年って、ねえ……。これだけメディアミックスしながら続いていることは、本当にすごいですよね。やっぱりモンキー・パンチ先生がすごく作家の方に委ねていらっしゃるので作りやすいというか、先生ご自身も「新しいルパンを見られるのが楽しみ」というスタイルでやられていることが大きかったのでは。そういった部分が、バトンがずっと受け渡されてきた要因の一つになっていると思います。

『ルパン三世 PART6』峰不二子キャラクターPV

――たしかに原作者自ら楽しむというか、作りやすい環境を提供していることが、シリーズごとのテイストに個性を生んでいるのかもしれませんね。
そうですね。チャレンジングというか、毎シリーズ「今度はこうしてみよう」と挑戦がしやすいし、逆に言うとやらざるを得ない一面もあるのかもしれません。ある意味“やり尽くされている感”があるなかで、「何のために新作をやるのか」が毎回問われてしまう部分もあると思います。プロデューサーはじめ、監督、脚本の方たちは並々ならぬ決意で毎シーズン書いているでしょうし、観直すと「これを書き上げるって結構な覚悟がいるだろうな」というものばかりです。

――そういう意味ではパート6はティザービジュアル(ルパン三世の顔のアップで、軽快で優しい表情と、クールで非情さも感じられる表情の両面が見られる)からして意味深ですが、言える範囲で今シリーズの見どころを教えてください。
今回のシリーズでは、「ルパン対シャーロック・ホームズ」という1本の軸となるお話があり、「この男、悪人か、ヒーローか」をテーマに描かれていきます。その他のエピソードはオムニバス形式になっていて、名だたるミステリー作家の方たちが脚本で参加してくださっています。各エピソードごとに、もうひっくり返っちゃうぐらい“それぞれのルパン”があって、楽しんでいただくことができます。スタンダードなミステリーの中にあるルパンと、全然違うラインのエピソードを楽しんでいただくというテイストですね。

『ルパン三世 PART6』特報

――ゲスト脚本家は先日発表されましたが、辻真先さん、芦辺拓さん、樋口明雄さん、湊かなえさん、押井守さんら、とにかく豪華すぎる顔ぶれで期待感も高まります。そういった形式ということは、エピソードごとに峰不二子の見え方や雰囲気も変わってくるのでしょうか。
そうですね。そもそも峰不二子という1人のキャラクターを演じるというよりは、峰不二子という大女優がいろんな作品に出ているという感覚が強くなってきています。“小池ルパン”(※『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』などで知られる小池健監督版)には小池ルパンの峰不二子がいるし、金曜ロードショーなどで見られるような、いわゆる“ファミリールパン”のキュートな不二子ちゃんもいれば、今シリーズのクレバーな感じの不二子さんもいて、いろんな役をやっている峰不二子という女優と並走しているような感覚があります。

今回も、例えば押井さんの色に染まっている「峰不二子という女性」を演じている感じもあれば、湊さんは逆に『ルパン三世』に染まってくれている印象もあって、湊さんファンの方には違う楽しみ方をしていただけるのでは。

今まで通りその人の色に染まっていく作業でもあるのですが、今回はかな〜り染まります(笑)。染まり方が強い感じや、脚本家ごとの“俺の不二子”があるので、そこを楽しんでいただけると良いかなと思っています。

バトンタッチからはや10年、あらためて見つめ直した「不二子らしさ」

――シリーズや脚本などによって不二子の見え方が変わってくるとのことですが、たしかにその“変幻自在ぶり”は不二子らしさの一つとも言えます。では演じる上で、不二子の“核”になる部分はどういったところだと考えていますか?
前任の増山江威子さんから言われていたのは、「不二子は盗むこと自体が好きだから、盗んじゃったら、はいおしまい」ということで、そのキーワードはすごく大切にしています。それプラス、自分の中では増山さんが演じられていた大好きな不二子さんの魅力は、「何か許せちゃう」の“何か”の部分だと思っています。でもそれは人から出てくるものだから、なぞれるものではありません。

実際にお会いしたときに感じたのですが、増山さんは“マドンナ”。お話ししているだけで大好きになっちゃう魅力、“行間”がある方で、それが不二子にも反映されている印象があります。もちろん私は増山さんのことを多く知っているわけではありませんが、やっぱり唯一無二の方ですし、唯一無二の音色をお持ちでしたので、その“何か”が、自分がやっている不二子からも出たらいいのになって思いながら、10年きちゃったっていう感じですね。

増山江威子さん時代の峰不二子セクシーセレクション

――沢城さんにバトンタッチされてから、もう10年なんですね。10年前に不二子役を受け継いだ時を振り返るといかがですか?
今回のアフレコ現場でも、浪川(大輔)さんと「ルパンを10年やってきたこともすごいけど、沢城が10年前に26歳だったのはすごい」という話になって(笑)。私もたしかに「それはすごい」と思ったのですが、自分がすごいというよりは、よく(スタッフ陣が)「峰不二子を26歳(の声優)で行くぞ」とGOを出したな、と。

今36歳になった私は、例えば「世代交代する」となったときに、26歳の子に決められるかな?と考えてしまいます。もちろんいろんな26歳がいますし、決して歳では測れませんが、結構な決断だったのではないかと、その事がすごいと思います。
――キャスティングした側の決断、ということですね。
はい。私が不二子を引き継いだとき、かたや銭形警部を引き継いだ山寺(宏一)さんはすでに50歳でしたから。基本的には私たちは名前の後に何歳と出る仕事ではないので、例えば私と50歳違う(小林)清志さんとも同じ板の上に乗っちゃっていましたが、そう思うと「いや自分はまだ若いな」って感じることも。自分的には一丁前で一人前な気がしていますし、至らなくても26歳は社会人として一人前じゃないといけない気持ちが強かったのですが、それでも振り返ると「いやいや若かった」という感じですね(笑)。

――貴重なお話をありがとうございます。では、そんな不二子を演じるのも10年目ですが、演じる際の心境や役のとらえ方に変化はありますでしょうか?
山寺さん、浪川さん、沢城の3人としては、視聴者の方に「なるべくストレスがないように見ていただきたい」想いのもと、真似はできないけど雰囲気を前任に寄せ、ルパン役の栗田(貫一)さんと清志さんという、みんなが聞き慣れている安心した声の中に輸血していくイメージで、10年前スタートしました。

最初は“寄せる”トライアルがあり、そこからキャラクターに少しずつ自分の血が輸血されて自分の血液型になっていくような期間が数年ありました。10年やってきた中で、そろそろ私たちの声のキャラクター、峰不二子なり石川五ェ門なりが定着してきているのかなって。でも、今期のアフレコで「何か可愛くないな」って自分が思ったタイミングがあり、「不二子ってこうじゃない」と思い始め、もう一回原点回帰というか、増山さんのやっていた不二子の魅力を再認識して10年目のスタートを切りたいと思っているところです。
――特にどのような部分に違和感を覚えられたのでしょうか?
栗田さんもよくおっしゃっているのですが、「何でもない雑談をしているときが一番難しい」と。これはおっしゃるとおりで、「ねえルパン」って言っているときは上手にやれている気がするしやりようもあるのですが、雑談し始めると途端に難しくなってくる。もともとの声の音色が素敵な増山さんなら、雑談の中でさえ輝いていた不二子なのですが、私がやると本当に雑談になり始めちゃうんです。その結果、声を似せるような小細工ではなく、何が不二子の魅力だったかをもう一度考えてみたんです。“聞いているようで聞いていない感じ”とか、“急に話題が変わっちゃうところ”とか、「えっ!?」みたいなそういう切り返しの妙も含めて、もう一回やり直したい気持ちになりました。増山さんの不二子は、日常会話にさえ魅力があるんですよね。

峰不二子は「一番自分から遠いけど、一番自分が残っちゃう役」

――まだまだ進化というか“深化”を求められるストイックさには驚かされます。それでは、不二子とご自身で似ているところはありますか?
そりゃもちろん、「誰もがうらやむ美貌」が“似ているところ”だったら、どんなに良いかと思い続けてやってまいりました(笑)。

私が不二子を引き継ぐことになったとき、彼女(不二子)は“同族嫌悪”で“自分から一番遠い女”(沢城さん)を選んだのだなと確信しました。「自分に似ている素敵な声の人、魅力の人」ではなく「一番遠くから走ってくるあの子(がいい)」と言って、(不二子自身は)自由でいたかったのでしょうね。ただルパンと同じで、無意識にずっと自分(=不二子)のことを大切にできて、ずっと自分のために走り続けられることだけは、おそらく嗅ぎつけられて、「あの子」って示されたような気がします。私は不二子からは遠いのだと思います(笑)。

――そういう感覚なのですね。
女同士からすると、そういう感じですよね。同じ女が隣にいるのは気にくわないタイプだと思います(笑)。

それに、ここ10年ほどでいろんなキャラクターが世代交代することがありましたが、後任として選ばれている人たちには、理由がちゃんとあります。もちろんさまざまな事情もありますが、個人的には、なんだかんだキャラクター自身がその人をいろんな理由で選んでいるような気がしています。
――演じられている側の方ならではの視点なのでしょうね。現在進行形ではありますが、不二子は声優人生においてはどんな役でしょうか?
自分から一番遠いキャラクターをやることへの挑戦ですね。ただ、自分とは違うものを目指して目指して、それでも寄せられなかった部分こそ自分。その残ってしまった部分こそ個性だとするなら、結果的には一番自分らしさが残ってしまう役でもあります。だから不二子は、一番自分から遠いけど一番近い、不思議な役なのかなと思っています。

――遠い場合、そこは埋めていくのでしょうか。それとも距離は保っておくものなのでしょうか。
なるたけ近づきたいと奔走はしますよね。例えば同じ痛みがあったり、同じ趣味があったりすれば、そこを話題にして近づいていけたり友達になれたりしますが、不二子さんはどうも、ちょっと雑談するにも話題がない人で、ずっと等距離を取られている感じですね。

――なるほど。裏を返せば、そこにこそ不二子の魅力を感じる部分もありますよね。
そうなんですよね。増山さんが演じる不二子をたくさん観ましたが、一番の魅力って他の人とは違う磁石を持っていることだなと思ったことがあって。ルパンに対してもほかの男の人に対してもそうなのですが、不二子には絶対に近づけない距離、弾かれてしまって入れてくれないラインがあるんです。それがどのキャラクターに対しても“ATフィールド”のごとくあって、それが魅力だなと思うし、追いかけたくなっちゃう。
――磁石の同じ極どうしが遠ざけあってしまうような距離があるんですね。
はい。私はわりと「好きなものは好き」ってなっちゃうから、どこまでも近づいていきたいと尻尾を振りたいタイプですが、不二子にはそれが絶対にない。誰も入れない。この“磁石みたいな距離”を全員と取っていることが1番の“峰不二子らしさ”という感じ。私に対してはもっと取られちゃうというか、女に対してはさらにありますよね。もう全然近づかせてもらえない(笑)。  

――その距離感も沢城さん演じる不二子の素敵なところの一つだと思います。最後に、沢城さんにとって「声のお仕事とは」を一言で表すと?
う〜ん……「向いていたい」。そういう感じですね。
プロフィール
沢城みゆき(さわしろ・みゆき)

6月2日生まれ、東京都出身。主な出演作品は、『ルパン三世』三代目:峰不二子、『ゲゲゲの鬼太郎(第6作)』鬼太郎、『HUNTER×HUNTER』クラピカ、『ONE PIECE』シャーロット・プリン、『愛の不時着』ソン・イェジン:ユン・セリ役、『ダンボ』エヴァ・グリーン:コレット・マーチャント役、『アラジン』ナシム・ペドラド:ダリア役、報道ステーションではナレーションを務める。
作品情報

『ルパン三世 PART6』キービジュアル 原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV

『ルパン三世 PART6』キービジュアル 原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV

『ルパン三世 PART6』

2021年10月より日本テレビ系全国放送開始!
日本テレビでは10/9(土)24時55分より放送開始 ※各局の放送日時は公式HPでご確認ください
配信:Hulu他配信サイトで配信予定※配信先情報は、公式HPで順次公開
原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
【公式サイト】lupin-pt6.com
【公式Twitter】@lupin_anime ハッシュタグ:#ルパン6
この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
⇒この記事をオリジナルページで読む(10月5日掲載)

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