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i☆Ris・久保田未夢と工業高校の青春 プログラミングからアーク溶接、フォークリフトまで“好き”を追求

この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
⇒この記事をオリジナルページで読む(8月26日掲載)

i☆Ris・久保田未夢

『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の朝香果林役などで知られ、声優とアイドルのハイブリッドユニット・i☆Ris(アイリス)のメンバーとして活躍している久保田未夢さん。8月18日にはi☆Risの20枚目となる最新シングル『Summer Dude』をリリースしたばかりです。そんな久保田さんは工業高校を卒業し、フォークリフトとアーク溶接の免許も持っているという異色の経歴の持ち主。進学したきっかけや工業高校ならではの“あるある”、当時進路をどう考えていたかなど、高校時代の思い出をたっぷり話していただきました!

撮影:田中達晃(Pash) 取材・文:東海林その子

LANケーブルも自作! プログラミング好きで飛び込んだ工業高校

――久保田さんが工業高校へ進学しようと思ったきっかけを教えてください。
家にパソコンがあって触れることも多かったですし、子どもの頃からゲームをやっていたので、いつか自分でも作ってみたいなという本当に軽い気持ちでしたね。あと中学生の頃、ホームページを作るのがめっちゃ流行っていたんですよ。それでHTMLタグを勉強するのが楽しすぎて。左寄せとか、真ん中とか(笑)。

――文字が動いたり(笑)。
そうそう(笑)。それでプログラミングって楽しそうだな、もっと詳しいことをやってみたいなという気持ちもあって。大学からでもよかったんですけど、高校生活は一度しかないし、普通じゃ体験できないようなところに行ったほうが楽しいかなと思ったんです。
――進学を決めたときの周りからの反応は覚えていますか?
特に「なんで!?」みたいな反応はなく、「らしいね〜!」って言われました(笑)。親もパソコンやゲームに否定的ではなかったし、私がオタクなのも知っていたので「いいんじゃない? 頑張りなよ。通うのはあんただしね」みたいな感じでしたね(笑)。
――実際入学して、中学時代とはどう違いましたか?
私が入った情報科は2クラスあって、1年の頃はひとつのクラスに女子7人がまとめられていたんですけど、2年のクラス替えでは3人と4人に分かれて。工業高校って卒業したらほとんどの子が就職するんですけど、私は大学に行きたくて3年で進学クラスに行ったら女子ひとりでした。同じ科の友だちはみんな就職すると聞いていたものの、別の科の女子がいるだろうと思っていたので、3年生の登校初日に自分ひとりだと知って「誰もおらん……」って(笑)。

――クラスに女子ひとりと聞くとマンガのようなシチュエーションですが、気まずさや居づらさなどはなかったですか?
3年になると男子が多いという環境にもう慣れていたということもあり、意外にすんなりと受け入れました。高3の夏にi☆Risに受かったから、そこからはi☆Risの活動で頭がいっぱいだったんですよ。なんとか卒業できればいいやくらいの気持ちだったので、それがよかったのかなと思います。それまでも休み時間は女の子の友だちがいるクラスに行ったり、ニコニコ動画を見て時間を潰していたので、普通に楽しんでいましたね。もともとひとりが苦手なタイプではないので。
――授業も工業高校ならではのものがありますよね。
授業の3分の1から半分くらいが専門的な科目でした。パソコン室でプログラミングをしたり、モーターカーみたいなものを作ったり。ハンダゴテを使っていて、髪の毛が燃えたこともあります(笑)。あとLANケーブルも作ったんですよ。

――LANケーブルが作れるんですか!
めっちゃ簡単ですよ! 1〜2時間くらいで作れちゃうんです。課題として提出したから「久保田」って書いてあって(笑)、今でも家で使っています。プログラミングもハンダゴテも大変なんですけど、完成して動いたり、ゲームができたりすると達成感があるんですよね。だから苦ではなかったし、楽しみながらやっていました。

女子が少数派だからこその“工業高校あるある”

――授業以外で印象的なことはありますか?
男子がほとんどだから、女子の体育の授業でできることが限られていたんですよ。だから女子体育の時間は集合場所だけ伝えられて、集まると先生に「今日、何やりたい? バトミントン、卓球、散歩、図書室から決めていいよ」と言われて。雨が降っていたりテスト前だと図書館で一時間遊び尽くしたり、散歩なら学校の外の公園で遊んだりしていました(笑)。

女子がいないクラスのほうが多いから、体育祭も球技大会もほとんど出られなくて、みんなが頑張っているのを見ていた感じですね。うちの学校は球技大会に力を入れていて、3日か4日くらいやるんです。でも文化祭は1日しかなくて、みんなほぼやる気がなかったですね(笑)。
――“工業高校あるある”には、どんなことがありますか?
うちの高校だと先生方がほぼ全員、女子にめちゃめちゃ甘かったですね。あまあまのあまです。制服はスカートとブレザーだけが指定で、それ以外は好きなものを着ていましたし、自由に過ごしても怒られず、のびのびと暮らしていました。女子更衣室がひとつだけあるんですけど、そこには厳重に「何かあったらすぐ先生に言ってください」って張り紙がしてあって(笑)。めちゃめちゃ守られていましたね。

あと工業高校出身っていうと、「男子からモテモテだったでしょ?」って言われるんですけど、意外と姫扱いはされません。入学してはじめの3ヶ月くらいは、知らない人から話しかけられたり、女子がいるってだけでクラスに見に来る人もいましたが……。でも日が経てば経つほど、こっちも慣れるし、男子も慣れちゃうから、女子だからモテる、ということはなかったです(苦笑)。

――でも毎日通う場所としては、普通に接してもらうほうが過ごしやすいですよね。
そうなんです。私自身オタクなのでみんなと話が合ったし、楽しんで通っていました。
――そんな高校生活の中でアーク溶接とフォークリフトの資格を取られた久保田さん。資格取得のきっかけを教えてください!
履歴書に書ける資格を何も持っていなかったので、何かを取って(記入欄を)埋められたらいいなと思っていたら、教室に張り紙がしてあるのを見つけたんです。すごく難しい資格だと勘違いされがちなんですけど、アーク溶接は1日、フォークリフトは2日で取れるんですよ。学校で講習をしてくれるから、そこに行って勉強して、実技をやってテストに受かれば終わりなんです。

――そんなすぐに取れるんですね!
めっちゃ簡単ですよ。工業高校に通っていたら、持っている人は多いんじゃないかなと思います。フォークリフトの運転資格には段階があって、私が持っているのは(最大荷重)1トン未満なので、就職で有利になるものではないですね。今の仕事で使う機会はないですけど、握手会や特典会に来るファンの方が私のことを調べてくれて、「資格のことを知って、興味が出て会いに来ました」と言われたりして。いろんなきっかけを持っていたほうが、たくさんの声優やアイドルがいる中で見つけ出してもらえる可能性が高いので、ラッキーだなと思っています(笑)。

オーディションに受からなければ「オーストラリアでダイバーになっていたかも」

――オーディションに受かる前は、この経験を活かして進学や就職をしようと考えていたのですか?
私、プライベートでスキューバダイビングの資格を持っていて、ハマっていたというほどじゃないんですけど、年に2〜3回家族でダイビングをしに行っていたんですよ。それで海の仕事をしたいと思って、オーストラリアに留学しようと考えていたんです。でも、いろいろ調べている間にi☆Risのオーディションに受かったので、指定校(推薦)で行ける理工学系の大学に決めました。なので、もしi☆Risに受かっていなかったら、オーストラリアでめちゃめちゃ陽気なダイバーになっている予定だったんです(笑)。 

――オーストラリアで進学しつつ、ダイビングも勉強するというプランだったのでしょうか?
日本のアニメ文化って海外でも人気じゃないですか。欲張りなんですけど、アニメやゲームの仕事もしたいし、スキューバダイビングもしたいから、オーストラリアでそれをやりながら、英語も勉強できたら面白そうだなって思っていたんです。「アニメの本場出身だし、なんとかなるだろう!」という本当に軽い気持ちで(笑)。
――オーディションに受かってからも、大学に行こうと考えたのはなぜでしょうか?
親も「大学は行っておいたほうがいいんじゃない?」と言っていたし、私自身も、もしこの仕事ができなくなったときに何もなくなってしまうのがすごく怖くて。4年間仕事と両立するのは大変かもしれないけど、別のことに繋がる可能性があるなら行っておいたほうがいいかなと思ったんです。

――今後、工業高校という経験を生かした仕事をしたいとは思いますか?
それこそ今ってVTuberがめちゃめちゃ流行っているじゃないですか。ああいうことを自分でやってみるのは面白いんだろうなと思います。幅が広がりそうだし、私たちを知ってくださる方も増えるかなと。でもこの仕事をしながらコンテンツを作るのは大変そうですよね。きっと楽しいけど、勉強したことがあるからこそ、絶対に難しいだろうなとも思います。
――では、工業高校での3年間は久保田さんにとってどういう経験になりましたか?
強くなれたなって思います。それこそ3年生のときはクラスで女子ひとりでしたけど、自分の気持ち次第で楽しく過ごせるし、どんな状況下でもその場で楽しく生きる術は自分で見つけようという考え方に変われて。そういう切り替えができるからこそ、この仕事でいろんな現場に行って自分の立ち位置や立場がある中でも、楽しくできればいいというポジティブな気持ちを持てているんだと思います。

10周年が目前 「売れたいって言い続ける」向上心忘れずに

――そして先日発売になった20thシングル『Summer Dude』についてもお話を聞かせてください! MVを拝見したのですが、これまでの楽曲とは印象の違うすごく大人な雰囲気ですよね。
今までの私たちって、「踊る! リップシーン! メンバーカラーの衣装!」みたいなMVが多かったんですけど、今回はイメージシーンやみんなでキャッキャしているところも多くて、全然違いますね。いつもだとMVは1日で撮影するんですけど、今回は2日間かけてこだわって撮っているし、今回のシングルから5人体制になったので、MVからも新しい私たちを感じてもらえるなと思いました。

i☆Ris『Summer Dude』MV

――MV公開時のYouTubeでのチャット欄を見ると、ファンの方からも大絶賛でしたよね。
みんなひたすら褒めてくれて、めちゃめちゃ甘やかされているな〜と思いました(笑)。元気なだけじゃなく、大人な私たちを見せてもファンの方は好きだって言ってくれるんだなと、いろんな反響を見て思いましたね。私たちを好きな方ってアニメや声優、アイドルが好きという方が多いので、今回の懐かしい感じがするJ-POP寄りの曲調がどう刺さるんだろうと思っていたんです。でも聞いた話だと「彼氏ヅラできる」みたいな聞き方があるらしくて、勉強になりました(笑)。
――今までとは違う楽しみ方があるんですね(笑)。曲調が今までと違うことで、歌い方やパフォーマンス面で意識したことはありますか?
元気な曲はハツラツと歌っていますけど、今回はちょっと優しく、声を張りすぎないことをみんな共通で考えていたみたいで、いい感じにキュッとまとまりました。振りも、いつもの飛んで跳ねてみたいな感じではなくて、「狙っちゃうぞ」みたいな(笑)、お客さんに向けてハートを描いたり、指を差すところがあって。こういうご時世でファンのみなさんは声を出せないので、一緒にできる振りを楽しみつつ、狙い撃ちをする楽曲になりました(笑)。

――衣装も新鮮ですよね!
今回はイメージカラーも関係なく、既存のものをスタイリストさんがアレンジしてくださったんです。私の衣装はもともとスカートが長かったのを切ってくれたり、トップスにビジューをつけて、似合うように作り変えてくださって。他のメンバーがメンバーカラー以外の色を着ているのも新鮮だし、私服っぽい衣装でステージに立って踊るのは不思議な感覚でした。
――そして今年デビュー9周年を迎え、11月にはアニバーサリーライブが開催される予定です。
9年ってすごいなって思います。よく続けてきたなって(笑)。

――10周年も目前ですね。
重みを感じますよね。でも10年やってきた感覚がなくて、私的にはまだ4年ぐらいな感じなんです(笑)。それってなぜかと考えたんですけど、デビュー当時が高校3年生で、そのまま大学に通って、この仕事一本になったのが4年前くらいだからかな、という結論に行き着きました。今のほうが仕事量も多いはずなんですけど、やっぱりふたつのことをやるって大変だったんですよね。もう一度あの生活をしろって言われたら多分できないです。あんなに早く起きられない(笑)。
――9周年を目前にして、これからグループとしてやってみたいことはありますか?
i☆Risちゃんはまだまだ売れたいと思っているタイプなんで(笑)、「売れたい!」っていうのが一番だと思います。でも“売れた”って一生実感できないんだろうなって思うんですよ。それこそ大学と両立しているときに忙しいとは思っていたけど、それを量るものがないから、卒業してから大変だったんだって気づいたんですよね。

だからきっと、わたしたちはこの仕事を終えるまでずっと「売れたい」って言い続けるんだと思います。でもそういう向上心みたいなものがあり続けたほうがグループとして強いと思うし、満足しないくらいがちょうどいいんです。
プロフィール
久保田未夢(くぼた・みゆ)

1995年生まれ、埼玉県出身。高校3年生時に「アニソン・ヴォーカルオーディション」に合格し、2012年に同オーディション合格者6名にて結成された声優アイドルグループ・i☆Risのメンバーとしてデビュー。声優としてはテレビアニメ『プリパラ』の北条そふぃ役、『キラッとプリ☆チャン』萌黄えも役、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の朝香果林役などを務める。

i☆Ris(アイリス)

i☆Ris(アイリス)

2012年7月、「アニソン・ヴォーカルオーディション」で合格した山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢、澁谷梓希の6人で結成。同年11月、『Color』でデビュー。2016年には日本武道館での単独ライブを成功させ、「第10回声優アワード」で歌唱賞を受賞。2021年3月で澁谷が卒業し、5人体制となった。今年の11月7日(日)には幕張メッセにて「i☆Ris 9th Anniversary Live」を開催する。
作品情報

8月18日発売 20thシングル『Summer Dude』

1.Summer Dude
作詞・作曲・編曲:ARAKI
2.5STAR☆(仮)
作詞:山北早紀/作曲:フワリ(Dream Monster)/編曲:corin.
3.Cheer up (読み:チアアップ)
作詞・作曲・編曲:山下和彰
4.Summer Dude(Instrumental)
5.5STAR☆(仮)(Instrumental)
6.Cheer up(Instrumental)
7.Summer Dude(Off Main Vocal)
8.5STAR☆(仮)(Off Main Vocal)
9.Cheer up(Off Main Vocal)
この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
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