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薬品かけられボロボロ…悲劇の地域猫が幸せの「へそ天!」、奇跡の復活を遂げるまで

 これまで、数多くの虐待された猫を保護してきたNPO法人『ねこけん』。カナヅチで殴られた猫や、押し入れに13年も閉じ込められた猫、劣悪な環境で育てられた猫など数多くの猫たちを保護してきた。その中の一頭、「虎吉」はもともと地域猫だったが、何らかの薬品をかけられボロボロな姿で発見された猫。そんな虎吉のその後について、代表理事の溝上奈緒子氏に聞いた。

全身薬品まみれだった猫、保護されフサフサの「イケメン」に

  • 保護当時の虎吉

    保護当時の虎吉

  • その後、すっかり元気に、イケメンに(写真:ねこけんブログより)

    その後、すっかり元気に、イケメンに(写真:ねこけんブログより)

 発見された当時、全身粉まみれのボロボロな状態だった虎吉。身体中の毛はゴツゴツと固まり、まぶたの皮膚が溶けかかっていたという。「何かの薬品をかけられて、ボロボロでかわいそうな状態。猫ちゃんを連れて帰る車の中は、薬品の匂いでこちらも具合が悪くなりそうなほどでした」と、保護当時の様子を溝上氏は振り返る。さらに虎吉は、薬品のせいで急性腎不全と急性肺不全になっており、治療も必要だった。

 心無い人が虎吉にした行為は、完全な虐待である。なぜこのような非情な行為ができるのか、何の理由があって猫たちが被害に遭わなければならないのか…。言葉を話せない猫は、虐待した人を訴えることもできない。だが悲しいことに、地域猫を狙った悪質な虐待は後を絶たず、頻繁に起こっているという。「強烈な薬品を漂わせ、ボロボロの猫を前に改めて、動物虐待の撲滅を強く願うのであります」と、保護当時の『ねこけん』ブログにも思いがつづられている。

 そんな大変な思いをした虎吉だったが、保護されてからは治療を受け、徐々に元気を取り戻した。ただ、体の状態は良くなったとはいえ、心の傷はすぐに癒えるものではない。人間不信に陥り、最初は人を警戒していた虎吉。『ねこけん』メンバーは、献身的なお世話をすることで、徐々にその心も癒していった。「薬品をかけられる前は、人に慣れていた地域猫だったんでしょうね。少しずつ触らせてもらえるようになり、医療ケアもやらせてもらえるようになりました」。

 治療を終えると、すっかり元気になり、『ねこけん』の中でも「イケメン」と呼ばれるほどに回復。ボロボロだった状態からは想像もつかないほど、毛もフサフサになった。やっと、本来の虎吉に戻ることができたのだ。

“顔デカ四人衆”としてのんびり生活、ついに出会った新たな家族

  • 新たな家族の元で幸せに(写真:ねこけんブログより)

    新たな家族の元で幸せに(写真:ねこけんブログより)

 そんな虎吉は、『ねこけん』ブログにもたびたび登場し、ファンも多い。その理由の一つは、堂々とした大きな体と“デカい顔”。「茶白や茶トラの雄猫は体も顔も大きくなる傾向がある」と溝上氏が明かすように、少しずんぐりむっくりとした姿がユニークで、少しビビリな性格がとても愛らしい。『ねこけん』にはほかにも“顔デカ”猫がいて、この虎吉、川底から救出された「ドボン」、ボランティアメンバーの職場で保護された「たまお」、足をケガして保護された「じゃみお」で、“顔デカ四人衆”を結成(?)している。「譲渡会でも顔の大きい猫ちゃんたちは人気があります。きっと愛嬌があるんでしょうね。体が大きかったり、特徴のある猫ちゃんたちもやっぱり人気があって、譲渡会でアピールすると必ず家族が見つかります」と溝上氏は語る。

 ブログでも日々、仲間たちとの様子などがつづられてきた虎吉も、『ねこけん』に来てから約1年。ついに譲渡先が決定した。「ほっとしました」という溝上氏だが、虎吉の1年という期間は決して長くはないという。なかには、「虐待にあい、どうしても人に心を開かない猫も、新しい家族と出会うことなく息を引き取ってしまった猫も少なくはない」そうだ。

地域猫だったとき、つらい思いと命の危機を味わった虎吉。新たな家族との出会いは、きっと虎吉の心をこれまでになく幸せでいっぱいにしてくれるだろう。虎吉のような虐待にあってしまう猫が、1頭でも減ることを願う。

(文:今 泉)

■NPO法人『ねこけん』(外部サイト)

■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)

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