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ファミコン全1053本コンプ最後の砦『バトルラッシュ』収集秘話 「次の世代へ残したい」コレクターの想い

  • ファミコン1053本の国内市販ソフトコンプリートが話題に。ファミコン38周年の誕生日、7月15日にプレイしていたゲームは「未来神話ジャーヴァス JARVAS」

    ファミコン1053本の国内市販ソフトコンプリートが話題に。ファミコン38周年の7月15日にプレイしていたゲームは「未来神話ジャーヴァス JARVAS」

 幼少期に通っていたゲームショップのショーケースに並ぶ、ゲームのパッケージ群。それを自身の部屋でも再現したというツイッターの投稿が話題に。投稿者はコレクターのコーナーさん(@corner_mask)で、10年かけてファミコンの国内市販ROM全1053本を箱付きでコンプリートした。コーナーさんにとってファミコンは幼い頃を思い出せる大切なツールであり、カセットは何とも言えない温かみや愛着が残るアイテムだという。ファミコンにまつわる、幼い頃の記憶を聞いた。

「ファミコンする時だけなぜか優しい」クリアまで教えてくれた、兄との思い出

 コーナーさんがコンプリートしたゲームのなかで、もっとも思い入れがあるのは「ドラゴンクエスト4」だという。発売された1990年は、小学校の低学年だった。流行りのゲームといえば、アクションやシューティングものばかり。RPGというジャンル自体が全くの未経験だったコーナーさんは、2歳上のお兄さんが朝早くからゲームショップに並びに行くのを見守り、購入してプレイしている姿をずっと横で眺めていた。カセットたちを見ると、そんな記憶も思い出されると話してくれた。

「ワクワクする音楽と、当時ドラゴンボールで人気を博していた鳥山明先生が描く個性豊かなモンスターに魅了されていました。自分も挑戦しましたが、人生初RPGのため、とても難しく感じて上手く進めることができませんでした。

 兄とは喧嘩が絶えなかったのですが、なぜかこの時だけは優しく、一緒に協力してくれて最後までクリアすることができました。そんな兄との思い出もあって、『ドラゴンクエスト4』は数あるファミコンの中でも群を抜いて好きな作品となっています」

 ファミコンは「自分にとって生まれて初めて買ってもらったゲーム機」であり、友達・親・兄弟と一緒に遊んできた”思い出のゲーム機”でもあるというコーナーさん。その魅力は「なんとも言えない温かみ」だという。

「現代のゲーム機と比べると、グラフィックも音楽も複雑さこそありませんが、遊ぶことによって”当時のことを思い出せる1つのツール”になっています。あと、私はやはりドット絵が好きなのだと思います。なんともいえない温かみというか、愛着があります。ドット絵の文化を過去の技術とせず、なんとか未来へと残していって欲しいですね」

カセットコンプで思い出したのはショーケースの色鮮やかな光景、“箱付き”コンプを目指す

『バトルラッシュ Build Up Robot Tournament』

『バトルラッシュ Build Up Robot Tournament』

 ファミコンへの深い愛を語るコーナーさん。ツイッターでは、国内市販のファミコンソフト全1053本を”箱付き”でコンプリートしたことが話題になっている。コンプリートまでの期間は10年で、かかった金額は300万円ほど。奥様から支給されるお小遣いからやりくりして、少しずつ集めていったという。コレクション部屋を撮影した投稿には「たった10年で集められたことに驚き」「ただただ憧れる」「ファミコン愛、本当にすごい」など、ユーザーからたくさんの反応があった。

「最後の1本を手に入れ、コレクション棚に並べた時は感無量でした。集めてる10年間色々な事があったけど、やっと一つの区切りがついたんだと達成感が強かったです。こんなに多くの方にコメントや『いいね』をいただけるとは思っていなかったので正直嬉しいです。『綺麗に保管されている』『愛を感じる』といったコメントもいただけて、自分のやってきたことが認めてもらえたんだと、すごく報われた気持ちになりました」

 カセットのみであれば4年ほどでコンプリートしていたが、その当時コーナーさんが思い出したのが、幼少期に通っていたゲームショップのショーケースの記憶だった。壁一面にならんだパッケージの色鮮やかな景色。その光景を、家でも再現したいと決意し、全て”箱説付き”でコンプしなおそうとリスタートをきった。

 集めるのに最も苦労したのは、データックシリーズの『バトルラッシュ Build Up Robot Tournament』。

「ファミコンをコンプする上で、最も入手難易度が高いと言われています。1992年というファミコン後期に発売されたソフトであるのと、販売本数が少なかったことから、世に出ることがなかなか無い1品でした。裸カセットではたまにネットオークションで出品されるのですが、箱、説明書とカードが全て揃った完品で出品されるのは、あったとしても数年に1度くらいでした。

 出品されると、希少ソフト故に高額な競り合いとなり、予算の決まっている自分が競り勝つことは叶いませんでした。そんな中、去年運よくフリマアプリで出品されているのを発見し、念願叶って手に入れることが出来ました」

 コレクション棚のこだわりは、無造作に並べるのではなく、メーカーごとまとめて並べていること。「パッケージのデザインは統一されてるものが多いので、メーカーごとに並べることで全体的にまとまった印象になります。特定のファミコンを探す際に、メーカーの場所さえ覚えていれば、短時間で探せるという利点もあります。紙箱タイプのファミコンは、湿気によって痛むことがあるので、クリスタルパックに包み劣化を防ぐようにしています」。

 次なる目標は、「任天堂の銀箱シリーズと呼ばれるカセットをあつめること。ディスクシステムも収集していきたい」と話してくれたコーナーさん。

「ファミコンは貴重な文化財としても考えているので、自分が丈夫なうちはしっかりと保管していき、次のコレクターにバトンタッチできるように努めていきたいと思っています」
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