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蒼井翔太を導いた3人のアーティスト 思春期、しんどいトンネルの中で歌声がくれた光

“自分の好きなもの”詰め込んだ新曲、歌い続けたい自作曲

――ここからはニューシングル『give me ▽ me』についておうかがいしていきます。アニメ第2期『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』(『はめふらX』)のストーリーに合わせて制作されたそうですが、第1期のED『BAD END』と比べた表現の変化や意識した点を教えてください。
第1期のED『BAD END』は名前からしてインパクトがあり、ロックサウンドでカッコよく歌い上げる楽曲でした。今回もEDテーマを担当させて頂くことになったので、それならガラッと変えたいと考え、例えば『BAD END』が“ちょっと強引な男性っぽさのある楽曲”なら、新曲は“少しガーリーな雰囲気のある楽曲”みたいな感じで、180度変えた楽曲にしたいなという想いはありました。前作がバンドサウンドでしたから、今回はデジタルで、かつ曲も振り付けもキャッチーでラブリーにしつつカッコよく、という方向性で制作をスタートさせました。

蒼井翔太『give me ▽ me』MV

――まったく異なる表情に仕上がった楽曲を聴くと納得です。制作時に特にこだわったポイントは?
前作とはまったく違うテイスト、アプローチをすることを一つの大きなこだわりとして持ちつつ、自分が好きな女性アイドルグループのテイストも取り入れたいと思いました。今回に限らず、「蒼井翔太」のテーマとして「毎回新しいチャレンジをしていきたい」というのを掲げていて。そこで今作では自分の好きなものを詰め込むチャレンジをしようとなりました。

歌詞的にもアニメの世界観をたくさん詰め込んでもらって、僕が演じさせていただいているジオルドのカタリナに対しての愛も詰まった楽曲に仕上がっています。

蒼井翔太『硝子のくつ』(試聴動画)

――シングルのカップリング曲は、毎作ご自身で作詞作曲を手がけられていらっしゃいます。今回の『硝子のくつ』の制作はいかがでしたか?
僕自身も朱音(あかね)役として出演させていただいたテレビドラマ『REAL⇔FAKE 2nd Stage』のEDテーマなのですが、作品のストーリーから朱音が思っていることと、劇中で起きる困難や壁をテーマに書かせていただきました。1期と比べると朱音の雰囲気がワケあって大きく変化していて、決断や覚悟の末、あらゆる困難から大切な人たちを守るために一役演じなくてはいけないという、大きなテーマを持った役です。

現実でも朱音のような状況におかれている方はいらっしゃると思うんですよね。自分の守りたいもの、自分の貫き通したいものに対してストレートに行動できる人もいれば、立場があって、例えば上司や先輩、後輩を指導する人たちは、周りからどう思われようと大きなものを守るために一役演じなくてはいけないときがあると思います。そういうものを僕なりにイメージして書きました。
――音楽制作する際の“自分流”のスタイルはありますか。
こだわりというものはまったくなくて。そのときそのときで感じていることをリアルタイムに曲にしたいと思っています。前々から「こういう曲を作ろう」と思って作ることも、もちろんありますけど、そのときどきの自分の気持ちに正直に書いていますね。あとは「タイトルトラックがこういう曲だから3曲目はこうしようか」といった、バランスから考えることもあります。できる限り同じテイストのものは入れたくないという想いはありますね。

蒼井翔太『I am』(LIVE 2019 WONDER lab. I)

――これまで制作されてきた中で、もっとも思い出深い曲や書くのに苦労した曲があれば教えてください。
自分が作った楽曲はどれもという感じで、いつも自分の中では「そのときのベストで作れた」とは思っています。中でも思い出深い曲を……となると、自分の人生を歌にした『I am』(2018年)ですね。リリースした際、聴いてくださった皆さんから「自分にすごく当てはまります」といった声をすごく多くもらって。自分の経験が、自分だけのつらい思い出じゃないことを、改めて楽曲と皆さんに気づかされました。

そういう経緯もあり、提供していただいた楽曲は素晴らしいものばかりだし、自分で書いてきた楽曲でもダメなものは1曲もないですけど、特に『I am』には歌い続けていきたいという想いを強く感じています。

「蒼井翔太=どこを目指しているんだろう?」が正解

――ピアニストと二人だけのライブを開催したり、ミュージカルに出演されたり、常に新しい試みを続けていらっしゃいます。そこで今後のアーティスト活動でチャレンジしてみたいことがあれば教えてください。
新曲のジャケットで「全部俺」というのをやったのですが、「全部俺」でMVを撮りたい。4人とか5人とのダンスパートもグループみたいに全部自分で、というのをやってみたいですね。ありがたいことに、毎回新しいチャレンジをやらせてもらっているですが、よく「何を目指しているんだろう」「どこを目指しているのだろう」という風に言われることがあります。でもその言葉こそが僕にとっては「これだな!」と思えるのです。「蒼井翔太」イコール「どこを目指しているんだろう」という、そのもの自体なのかな、と。

それとMVがない楽曲のMVを作ってもみたいし、同じメロディーラインでもテイストが異なったアレンジで2種類作って、「どっちが好き?」とみんなに聞いてみる、みたいなこともやってみたいです。考え始めたら、やりたいことは無限大に広がっていきますね。

蒼井翔太『give me ▽ me』初回限定盤

蒼井翔太『give me ▽ me』初回限定盤

――本当にアイデアが豊富に出てきますね。どれも実現を楽しみにしております。そんな変化やチャレンジを楽しむ蒼井さんですが、活動を続けていく上で大切にされていることは何ですか?
座右の銘みたいなものですが、活動の軸として「変わらず変わる」を目標としています。いろんな姿、形に変わってみんなに楽しんでいただく。だけど本質としては、自分がみんなに届けたい想いは、目には見えないかもしれないし改めて何度も言葉にすることではないかもしれないけど、「変わらない」。このことも伝えていけたらいいなと考えています。見てくださる方にとっても、「この人は何をしている人なのだろう」「この人はどこを目指しているのだろう」という興味につながり、純粋に楽しんでもらえればいいなと思います。
――ありがとうございます。最後に、蒼井さんにとって「音楽とは」。一言で表すと?
僕は甘えていると言いましたけど、「周りの人に甘えよう」と言われてもなかなかそうできない人もいると思います。だから、好きなジャンルにもよりますけど、僕にとって音楽とは「人間と同じように寄りそってくれるもの」かな。僕はこれからも寄りそう歌を歌っていきたいです。
プロフィール

蒼井翔太(あおい・しょうた)

2011年2月、声優デビュー。主な出演作品は、アニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEシリーズ』(美風藍)、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(ジオルド・スティアート)、カードファイト!! ヴァンガード overDress(近導ユウユ)、擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD(月城真琴)など。歌手活動のほか、ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』トニー役など舞台でも活躍している。
作品情報

7月14日発売 13th Single『give me ▽ me』

1. give me ▽ me
作詞:leonn 作曲:日比野裕史 編曲:日比野裕史×渡辺徹
*TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』エンディングテーマ

2. 硝子のくつ
作詞・作曲:蒼井翔太 編曲:渡辺徹×日比野裕史
*オリジナルドラマ『REAL⇔FAKE 2nd Stage』エンディングテーマ

3. Baby Steady Go!!
作詞・作曲:藤田卓也 編曲:日比野裕史×渡辺徹
*ゲーム『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… 〜波乱を呼ぶ海賊〜』オープニングテーマ
この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
⇒この記事をオリジナルページで読む(7月6日掲載)

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