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蒼井翔太を導いた3人のアーティスト 思春期、しんどいトンネルの中で歌声がくれた光

この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
⇒この記事をオリジナルページで読む(7月6日掲載)

蒼井翔太 撮影:田中達晃(Pash)(C)ORICON NewS inc.

声優や俳優として数々の人気作品に出演するだけでなく、「変わらず変わる」という想いを掲げて常に新しいことにチャレンジし続けている蒼井翔太さん。アーティスト活動では美しい歌声で魅せてくれますが、かつてはその声がコンプレックスで悩んだことも。そのとき、蒼井さんを救ってくれたのは音楽でした。そんな蒼井さんに、音楽活動のルーツとなったアーティストについて聞きました。さらにニューシングル『give me ▽ me』(※▽はハートマーク)の制作エピソードや、今後の“蒼井翔太が目指すもの”についても語っていただきました。

撮影:田中達晃(Pash) 取材・文:遠藤政樹

祖母と聴いた忘れられない一曲 倖田來未『1000の言葉』

――アーティストとしても活躍されている蒼井さんが、これまで強く影響を受けたアーティストを教えてください。
まずは倖田來未さんですね。実は小中学生の頃、音楽を好きになれない時期があったのですが、倖田さんの音楽を好きになったのがその時期を越えてからだから、年齢的には高校生ぐらいのときかな。もともと“出会って”はいたけど、そのころ自分の中で気持ちが浄化されたような感覚になった曲が、倖田さんの『1000の言葉』(2003年)です。
――2003年にPlayStation2用のゲームソフトとして発売された『ファイナルファンタジーX-2』(スクウェア、現スクウェア・エニックス)の挿入歌ですね。
ゲームが大好きでよくプレイしていて、主題歌(『real Emotion』)も倖田來未さんでした。『1000の言葉』を聴いているときだけ、そのときの嫌な感情みたいなものが忘れられました。そのころはプレイ中以外も常に聴いていたぐらいで、学校へ行かずにずっとその曲を聴いていましたね。
――以前ご自身のブログでも語られていた、学校に行かない時期に支えになってくれた音楽の一つなのですね。曲のどんな部分が心に刺さったのでしょうか?
「言えなかった 1000の言葉を」という歌詞があるのですが、僕はそのころ年齢も含めて人生経験が未熟だったのもあって、言いたいこともうまく言えず、しかも学校にも行っていないから知っている言葉がすごく少なくて。当時、一番迷惑をかけたであろう親だけでなく、優しくしてくれた祖母に対しても、自分の気持ちを言いたいのになかなか言葉がまとまらずに言えなかった。そんな時期が続いていました。

じっと自分の殻に引きこもりながら「言えたらいいのに……」と、『1000の言葉』を聴きながら、どれだけ思ったことか。でもずっと曲を聴いているうちに、だんだん「やっぱりこのままじゃいけないな」と思い始め、踏み出す勇気をくれた曲でもあります。聴き続けたことで「やっと言いたいことを言えるようになった」と感じることができましたね。
――背中を押してくれる曲というのは、何ものにも代えがたいですよね。そんな倖田來未さんとは、『2019FNS歌謡祭』(フジテレビ系)で『愛のうた』をコラボしたことが話題になりましたが、改めて当時を振り返っていかがですか。
奇跡の瞬間でした! いろんなところで「倖田來未さんが好き」と言っていましたし、なにより人生で初めて受けたオーディションで『1000の言葉』を歌ったぐらいですから、僕の中で倖田來未さんは“運命の人”なんです。そのときも、ご本人と面と向かって歌うことができたことと、自分が今まで倖田さんの楽曲に救われてきたことについて感謝を伝えさせていただいたら、とても喜んでくださって。憧れの方であり、救ってくれた恩人は、いつまでも変わらずそういう存在でいてくれるんだなと感動しました。

倖田來未『愛のうた(album version)』

――胸が熱くなるお話です。では「アーティスト・倖田來未」のどういったところが一番好きですか?
「声」ですね。自分は今でこそ声優のお仕事をさせていただいていますが、もともと自分の声にコンプレックスを持っていました。それでいじめを受けたこともあって、自分の声が大嫌いだったからこそ、例えば山口百恵さん、中森明菜さん、松田聖子さんのようなそれぞれ持っていらっしゃる“唯一無二の声”に強く引かれます。そうした中で、倖田さんはプロ意識や人柄、テクニカルなことはもちろん、グッと惹きつけるような歌声で、初めて聴いたときはとても衝撃的でした。
――なるほど。倖田さんのライブに参戦されたことはありますか?
つい最近の『KODA KUMI 20th ANNIVERSARY TOUR 2020 MY NAME IS…』に行かせていただいて、そのときに『1000の言葉』が聴けたんです! この曲は、祖母との大切な曲でもあるんです。学校に行けなかった時期、ゲーム好きな祖母が、僕が『ファイナルファンタジーX-2』をプレイしている後ろで、笑顔で見守ってくれていたんです。それで祖母も『1000の言葉』を好きになったみたいで。そのころはまだCDを持っていなかったので、ゲームを起動させて2人で聴いていましたね。家族とのコミュニケーションをうまく取れなかった自分と祖母をつないでくれた曲でもあります。
――蒼井さんにとって、とても大切な楽曲の一つなのが伝わってきます。
そんな祖母ですが、4年前、自分の仕事中に「おばあちゃんが“上”に行ったよ」という連絡をもらいました。そのときはスタッフの皆さんが周りにいたし、待ってくれているファンのみんなもいたので泣かずにいられたのですが……。正直なところ、まだ実感がなかったというのもありましたね。でも倖田來未さんのライブで『1000の言葉』が流れた瞬間、今までにないぐらいに声を出して泣きました。まだまだ言えなかったこともたくさんあるし、そんな後悔もありますけど、その曲で改めて救ってもらった感覚になりました。とてもありがたかったですね。

「男性でもメイクをしていいんだ」 SHAZNA『すみれ September Love』

――大切な思い出をお話しいただきありがとうございます。では続いて2組目のアーティストを教えてください。
まさに僕の音楽活動のルーツというか、あの方たちのお陰で今の僕があるといっても過言じゃない。もう僕の何分の一かは“その成分”ででき上がっているとも言えるのですが、それがSHAZNAさんなどのヴィジュアル系バンドです。
――蒼井さんとヴィジュアル系、とてもイメージぴったりですね。どんなきっかけでSHAZNAにハマったのでしょうか?
当時SHAZNAさんの2ndシングル『すみれ September Love』(1997年)のMVをテレビで観ていたのですが、すごくきれいな人が映っていて。ツインテールで可愛いらしいけど、男の人の声がすることに衝撃で脳が追いつかなかったのを覚えています(笑)。そんな姿を見て「男性でもメイクをしていいんだ」とその時思いました。

2011年にメガマソがIZAMをフィーチャリングゲストに迎えカバーした『すみれSeptember Love』

――たしかに当時、衝撃でした。メイクにはもともと興味があったのでしょうか?
姉がいて女性が多い家庭の中で育ったのもあるかもしれませんが、女の子が着ているものや身につけているもの、顔につけているものがすごく気になっていて。「なんで男の人はしないのだろう?」と不思議がっている時期もあったぐらいです。SHAZNAさんを知ってからは、お小遣いが貯まったらメイク用品を買おうと決心しました。

僕はSHAZNAさんに出会ってから他にもヴィジュアル系バンドを聴くようになって、彼らのメイクやファッションがすごく参考になりました。そのころは、ヴィジュアル系音楽雑誌の『SHOXX(ショックス)』やストリートファッション誌の『KERA(ケラ!)』とかでもメイクを勉強させてもらいました。パンクやロリータファッション、ゴスロリにも興味がありましたね。

もちろんファッションやメイクだけに限らず、音楽面でもヴィジュアル系の音楽は今のアニソンにもつながるところがあると思っていて。メロディーラインやキャッチーさは、歌謡曲にも通じるものもあると思います。だから僕はヴィジュアル系のカルチャーにすごく背中を押されたというか、「君に合うのはこれだよ」と言われた気がしましたね。
――では、SHAZNAのもっとも好きなところを教えてください。
ボーカルのIZAMさんは背が高いことをプラスに捉えて見せ場にしている印象があって。可愛いツインテールで女の子のようなビジュアルで、女形に近いことをするのなら、きゃしゃな方が想像しやすいけど、逆に背の高さを武器にしているところはすごいなと思いました。

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