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“♪しなきゃなんてないさ”差別など社会課題扱うCMが“炎上”でなく“感動”生んだ理由、「無責任な未来を描かない」企業の覚悟

LIFULLの企業CM『しなきゃ、なんてない。2021年』篇

LIFULLの企業CM『しなきゃ、なんてない。2021年』篇

 近年、メッセージ性のある企業CMが増加している。なかにはジェンダーや国籍、年齢などの差別から生まれる社会課題を取り上げるものもあるが、消費者・視聴者側から過剰な反応を招き、炎上することも度々ある。そんななか、先日まで放送されていた株式会社LIFULLの企業CM『しなきゃ、なんてない。2021年』篇は、同様のテーマを扱いながらも、SNSなどでは「感動した」「泣きそうになる」「らしく生きていいってとても大事」と好評。なぜ、この難しいテーマを掲げたCMは多くの人に受け入れられたのか。また、企業がメッセージ性のあるCMを作る背景とは? LIFULL執行役員/Chief Creative Officerの川嵜鋼平氏に聞いた。

「賛否を問うのではなく姿勢を示す」、難しいテーマ扱うCMへ込めた思い

 LIFULLの新CM『しなきゃ、なんてない。2021年』篇は、お馴染みの童謡「オバケなんてないさ」の替え歌で展開される企業CM。90歳の今なお現役で活躍するフィットネスインストラクターや、スウェーデン出身の落語家、子育てをする同性カップルなど、既成概念にとらわれない生き方をしている年齢・職種・バックグラウンドの異なる12名が登場し、「○○だから、○○しなきゃ、なんてことはない」「既成概念にとらわれず、自分らしく生きよう」というメッセージを発信している。

 「当社は創業当時から、事業を通じて社会課題の解決に取り組んできましたが、『しなきゃ、なんてない。』というメッセージは、2018年から発信しています。今回のCMについては、個人が抱える課題にしっかり光を当てること、それが解決して実現された未来を見せることで、自分らしい生き方をしたいと思う方々へのアンセム(賛歌)になればいいな、と考えていました。1人1人に寄り添うような形で、悩んだ時に口ずさんでもらえるような前向きなCMを目指しました」(川嵜氏/以下同)

 同CMについては前述のように「泣いた」「自分らしく生きようと思った」などのほか、「次はLIFULLグループのサービスを使いたい」、さらには「株を買った」といった声も。結果的には良い反響が多かったが、こうした企業CMでジェンダーや国籍などにまつわる差別問題を扱って大きな賛否が巻き起こり、炎上を招く例は世界的にも多い。そこに不安はなかったのだろうか。

 「どういったものが炎上するのか、そこに答えはないというのが正直な感想です。こういった問題を取り上げること自体が、差別につながるという考え方も未だにあるので、難しいテーマだとは思います。今作は、まずポジティブなイメージでCMを作ることを意識し、事業担当者と綿密なすり合わせを行いました。そして、単に“差別は良くない”など賛否を問う内容ではなく、あくまで企業姿勢を届けること。無責任に理想の未来像を描くのではなく、企業として“実現できること”だけを取り上げるようにしました」

外国籍やLGBTQなどの”住宅弱者”も…、CMでは「実現できることだけ」を打ち出す

「企業として“実現できること”」とは何か? その一例を“住宅弱者”へ向けたサービスだと川嵜氏は語る。

 「CMでは、外国籍の方、LGBTQの方が暮らす様子が描かれていますが、日本も寛容になってきたとはいえ、そういった方々が部屋を借りるのに苦労するケースはまだまだ多い。当社ではそんな“住宅弱者”と言われる方でも、希望通りの部屋を見つけられるサービスを行っており、それをCMで“実現できること”として打ち出しているんです」

 LIFULLでは不動産・住宅ポータルサイト『LIFULL HOME’S』ほか、介護、地方創生、働く母親の就労支援、場所の制約に縛られない新たなライフスタイルを実践するコミュニティの運営など、様々なサービスを展開している。こうした背景があるからこそ、無責任ではない、血肉を持ったメッセージを届けることができ、それが視聴者の心を揺さぶったと言えるだろう。

 現在、国籍、LGBTQ、性別、年齢、障害などの差別や意識の問題解決は、日本のみならず世界中で過渡期にある。ナイーブな内容ではあるが、今回のLIFULLの企業CMは成功例の一つといえるだろう。

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