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山田孝之、“芸能界ルール”への疑念から始めたプロデューサー業「言葉で訴えるだけじゃ何も変わらない」
役に入るあまり、カット後のスタッフの動きにも違和感…俳優では無く“劇中人物”になり切った、情念にも似た憑依
「脚本は本当に凄く面白いと思っていました。なので今回お受けさせて頂いたのですが、それとは別に、得太というキャラクターへの思い入れもあったんです。二朗さんが十数年前に生み出し、舞台では二朗さんご自身が演じられましたが、それ以降は得太は重たいものを抱え込んだまま、ずっとひとりぼっちだったんですよね。このキャラクターが背負っているものはあまりにも重くて大きすぎるから、誰かが寄り添ってあげなきゃと思ったし、『僕が演じることで得太のことを一人でも多くの人に知ってもらえたら』という思いもありました」
これまで幅広い作品で様々な役柄を演じてきた山田だが、本作では今まで見せたことのないような壮絶な芝居で観る者を圧倒する。現場では、どのように緊張感を保ちながら得太という難役に挑んでいたのだろうか。
「自分をどんどん孤独に追い込んでいくということをしました。それから、どの役でも毎回やっていることではありますが、とにかく“役を作ること”。劇中で得太が独白するシーンがあるのですが、撮影していてカットがかかるとカメラのアングルを変えて撮るためにスタッフが準備をするんですね。すると、僕は得太の気持ちを保っているので、『なんでこんなわけのわからない人達がワーっと(撮影場所)に入ってくるんだ』とか、『誰も僕のことなんか見ないし、誰もケアしてくれない』と思うわけです。スタッフは自分の仕事をしてるだけなので、それは当然なのですが、そういったことを僕じゃなくて、得太として受け止めるようにしていました」