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山田孝之、“俳優以外”の活動にも挑戦する理由 ドラマ『漂流教室』が転機に
日本は圧倒的に“俳優の数”が足りていない
山田孝之「なんでこの人はこんなに不器用なんだろう」っていうイラつきより、「憧れ」の気持ちのほうが大きかったですね。裏を返せば“邪心なくまっすぐ生きている”ということなので、素敵で羨ましいなと。とは言いつつも、右近は「信念を暴力に変える」という平成の世で珍しいアウトローですからね。自分は東京で19年間俳優として生きてきたので、そうなれないし、なりたいとも思わないです(笑)。
――今回お聞きしたかったのが、俳優以外にも、映画プロデューサー、歌手、企業のCEO、役者応援プラットホーム『mirroRliar(ミラーライアー)』の立ち上げ、そして“バスト測定”の話題など、ひとつには収まらない活動の根源欲求はどこにあるんだろう? ということです。
山田孝之僕自身、ずっと“面白いことを仕掛けるのが好き”というのは前提としてありますね。『mirroRliar』に関しては、映画などのキャスティング会議のときに、毎回同じ俳優の名前が挙がる状況があったのがきっかけです。それって要するに、日本では圧倒的に俳優の数が足りていないんだなと。昔の銀幕時代とは違って、いまはSNSもあるから俳優が近い存在になっているし、YouTuberもいるから個人で目立つこともできる。すると、どんどん俳優志望が少なくなってきてしまう。そこに危機感を覚えてはじめたことです。プロデューサーに回るのも、自分が俳優としてやってきた中で、不満や疑問を感じることがあったので、それを改善できたらという思いですね。
ドラマ『漂流教室』で「明日もしかしたら死ぬかも」と考えた
山田孝之行動しないのは「リスク」を恐れているからだと思います。人はネガティブなことを考えて、“やらない理由”にしてしまうことがある。さらに実際に新しいことをはじめて、それが失敗して、多くの人が「やっぱりやらないほうが良かったね」と言う場合だってある。でも一度失敗を経験したことで「次はこうしよう、ああしよう」という改善策が生まれる。そう考えると、新しい行動は「リスク」じゃなく「挑戦する」という前向きな意味合いに変わりますよね。
――そうした考えにたどり着いたきっかけはいつ、どのタイミングなんでしょうか。
山田孝之18歳のときですね。『漂流教室』というドラマに出演した際に、「実際に明日災害が起きて死ぬかもしれない」と思ってから、「やりたいことは何でもやっとかないとな」と考えるようになりました。災害が起こらなくても、家を出た瞬間に車に轢かれることだってあるかもしれない。
――18歳のときに考え方に転機が訪れて、それから17年走り続けてきたと。
山田孝之意外と長生きしていますね(苦笑)。でも今すごく楽しいですよ。僕、幼少期のときは目立ちたがり屋で、友だちにイタズラを仕掛けるとか、人の目を引くようなことばかりしていたんです。でも15歳で鹿児島から東京に出てきて俳優をはじめて、環境がガラッと変わったことに萎縮しちゃって。それでも自分の生活に色々な変化が起きて、なんだかんだ20年近く東京で生活して……また幼少期の頃に戻りつつありますね。
2020年に向けてまた仕掛けていく
山田孝之ああ、そのことについてはちょうど山下(敦弘)監督と話していて、セレブの人だけに試写会に来てもらう“セレブ試写会”をやってみたら絵的にもすぐ話題になるからどうだろうと。
――それこそ山田さんはSNSで莫大なフォロワーがいるので、Instagramのストーリーに作品の情報をアップしても宣伝になりそうですが。
山田孝之でもフォローしている280万人が見ているわけじゃないですからね。『みんなフォローしているからとりあえずフォローするか』っていうテンションの人もいるし、宣伝としてはさほど影響がないのかなと。そう考えると僕のSNSって(佐藤)二朗さんといった『人の宣伝』か『ご飯』しかアップしていないですね(笑)。
――今後、なにか企んでいることはあるんでしょうか。
山田孝之まだ言えないですけどありますよ。それは2020年に向けての活動ですね。あ、東京五輪は関係ないですよ。2019年はお芝居のお仕事で埋まっているので、いざ動き出すのがたまたまその年というわけで。とりあえず、五輪期間中は都内が移動できないから、ドラマとか映画の撮影は休むつもりでいます。
(取材・文/東田俊介 写真/山口真由子)
Information
山下敦弘監督、山田孝之という盟友が再びタッグ。自分たちの愛読書でもあった漫画『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』を映画化。社会に溶け込めない不器用な男たちの人生が、謎のロボットの出現によって一変していく様を、おかしくも切なく描き出す。
【監督】山下敦弘【原作】 いましろたかし
【出演】山田孝之、佐藤健、荒川良々ほか
公式サイト