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役柄に左右されない山田孝之の“素顔の魅力” 秀でた自己プロデュース力とは?
“好青年”イメージ振り切る“不良役”で自ら演技幅を広げる
「当初の山田さんは、男子高校生の“王道”なんだけどどこかアカ抜けず…といった役柄のイメージが強くありました。それがいきなり『クローズZERO』で、バリバリの不良という真逆の役どころを演じ、多くの人が“どうした山田くん!?”と度肝を抜かれたわけです。ですが、キャラ的にも魅力的なヤンキーを見事に演じ切り、主演の小栗旬さん以上のインパクトを与え、役者としての幅を広げました」(ドラマ制作会社スタッフ)
SNSで見せる“山田ワールド” 役どころとのギャップで作る素顔との境界線
さらにインスタグラムや公式フェイスブックでは、「60万円かけて手術したのに失敗して尖らせすぎた鼻」と自身の画像を張りつけて投稿したり、自著『実録山田』を出版した際には、「今更ですが、この本信じられないくらい、くだらないです コンセプトは『投げつけたくなる本』です ※(篠田)麻里子さんに渡したのは本と下心だけです」と投稿するなど、どこまで本気かわからない独特なユーモアを披露。そんな自己プロデュースが功を奏し、バラエティ番組などの出演はほとんどないのに、山田は親しみやすい俳優として世間に広く認知されるようになったのだ。
「2012年に“山田孝之”を名乗るツイッターが現れ、紹介文に“ハードコアパンク俳優、あくまで偽物です。”とありますが、いまだに本物かどうかはわからないまま。でも、その面白さに惹かれて、フォロワーは今や70万人を超えています。“ちょっとトゲのある言葉や下ネタ=山田ワールド”と認知する人が、本物だと信じてフォローしているようです。これも山田さんのキャラの濃さ、親しみやすさを示しているのでしょう」(前出・スタッフ)
新たに提示した“俳優のあり方” 後続の若手俳優にもたらす影響力
俳優のプライベートな素顔のイメージは、ときに役を演じるときの足かせになることがあると言われる。また演じた役柄によっては“さわやか”“純朴”、“悪人”“怖い”といったイメージがついてしまい、それはそれで演じる役の幅を狭めることにもなる。そういった意味では、山田孝之が演じる役の振り幅の広さや人気の高さは、役柄と山田孝之自体を別の存在として印象づける自己プロデュース力の賜物と言えるだろう。どのような役柄でも役に影響を与えない自己発信ができ、しかも“素”の自分としてもぶれることがない。山田は役柄と素の自分との関係を絶妙なバランス感覚でコントロールすることができるのである。
今は昔と違って役者がSNSなどで自己発信できる時代。俳優のみならず、アイドル歌手やアーティスト、タレントたちは“ぶれることのないセルフイメージを保ちながら自己プロデュースしていく”という、山田孝之的な生き方が重要な指標になってくるのかもしれない。