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黒羽麻璃央を導いた3つの舞台 俳優業は「満員電車」…その意味は?

この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
⇒この記事をオリジナルページで読む(5月20日掲載)

黒羽麻璃央

昨年、デビュー10周年を迎えた黒羽麻璃央さん。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで初舞台を踏んで以来、舞台はもちろんドラマや映画、バラエティー番組まで活躍の場を広げ続けています。そんな黒羽さんにこれまでの俳優人生を振り返っていただき、印象深く心に残っている作品や役作りで苦労した想い出、さらに2019年のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で感じたことや、今回挑むロミオ役への意気込みなどをお聞きしました。

撮影:平野敬久 取材・文:奥村百恵
ヘアメイク:Haruka(Lomalia) スタイリング:ホカリキュウ

『テニミュ』『刀ミュ』『ロミジュリ』……転機となった大切な作品たち

――数々の舞台やドラマで活躍されている黒羽さんですが、中でも“大きな転機”となった3作品を教えていただけますか?
まずは俳優デビューとなった2012年のミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンですね。右も左もわからない状態で初めて舞台に立ったので、楽しかったことよりキツかった思い出のほうが多いですけど、自分にとってとても大事な作品です。当時は部活感覚でやっていたところもあったので、青春の延長戦のような感じでした。

ミュージカル『テニスの王子様』全国大会 青学vs立海 青学レギュラーコメント(0:35〜)

1999年7月から2008年3月まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた漫画『テニスの王子様』を舞台化した作品。「テニミュ」と呼ばれる。黒羽さんは、菊丸英二役(7代目)として2012年〜2014年に出演した。 
そして、そのあと出会ったミュージカル『刀剣乱舞』は俳優として生きる僕の世界を大きく広げてくれた作品。『刀剣乱舞』が話題になるまで、2.5次元という言葉は世間に広まってなかったですし、地上波で2.5次元の作品が取り上げられる機会もあまりなかったと思うんです。これがきっかけで僕のことを認識してくれる人が増えましたし、まさかの『NHK紅白歌合戦』(2018年)にも出演させていただきました。いろんな意味で、僕にとって転機となった作品だと思います。

ミュージカル『刀剣乱舞』新作公演告知映像

名だたる刀剣が人の姿となった「刀剣男士」を育成していく内容のPCブラウザ・スマホアプリゲーム『刀剣乱舞-ONLINE』を原案としたミュージカル。「刀ミュ」と呼ばれる。黒羽さんは、三日月宗近役として2015年〜2018年に出演した。
もうひとつ、僕の中で大切な作品になったのは、2019年にマーキューシオ役で出演したミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。この作品までは、わりと同年代の“2.5次元俳優”と言われる方々と共演することが多かったのですが、ロミジュリで初めて、グランドミュージカルに出ている先輩方とご一緒できた。そういった方々と一緒にお芝居をする中で、「こういう俳優になりたい」と憧れを抱く機会も多く、改めて「ミュージカルって素敵だな」と思えた作品なんです。なのでミュージカル『テニスの王子様』、ミュージカル『刀剣乱舞』、『ロミオ&ジュリエット』は僕にとって大きな転機となった作品です。

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2019)DVD PR映像

2001年フランスで生まれた大ヒットミュージカルを、2010年に小池修一郎氏演出で宝塚歌劇団が上演し大反響となり、2011年には日本オリジナル版として新たに誕生。2019年には黒羽さんはモンタギュー家の旗頭・マーキューシオを演じた。
――何か、印象に残っている上演当時のエピソードはありますか?
やはりテニミュは僕の中で“青春の思い出”として強く印象に残っています。毎日「東京怖い〜」と思いながら生きていましたし(笑)、お芝居がうまくなりたくてもなかなか結果がついてこなくて悔しい思いをたくさんしたことを覚えています。終わらない闘いをずっとしているような気持ちで3年ほどひたすら走り続けて、気付いたら卒業していました。今でもテニミュ出身の方が活躍されている姿を見ると、嬉しい反面「自分も負けてられないな」と気合いが入ります。
――そのミュージカル『テニスの王子様』やミュージカル『刀剣乱舞』といった舞台は、新しいファンを呼び、海外公演が行われるなど、大きな成長を遂げています。黒羽さんにとって、2.5次元の舞台はどのような存在なのでしょうか?
もしもミュージカル『刀剣乱舞』に出演して注目されていなかったら、今ごろ俳優を辞めて地元に帰っていた可能性もありますし、『ロミジュリ』にも出会えてなかったと思うんですよね。なのでミュージカル『テニスの王子様』やミュージカル『刀剣乱舞』のような2.5次元の舞台に関われたことに心から感謝していますし、今の僕を作りあげてくれた存在だと思います。

黒羽麻璃央が感じたプレッシャーと“30代の壁”

――これまでに“役作り”や“演じることの難しさ”を感じた役柄や作品はありましたか?
ミュージカル『刀剣乱舞』は同じ役を演じるキャストが一人ではなかったので、お芝居が比較されるのを初めて経験したというか。ダブルキャストともまた違いますし、当時は「どうしよう……」と凄くもがき苦しんだ記憶があります。

あと、役作りに関して言うと、『リコハイ!!』(金曜ドラマ『リコカツ』のParaviオリジナルストーリー)というドラマでヒロインより7歳年下の男子を演じたのですが、現場で「もっとキラキラしてほしい」と言われてとても苦労しました(笑)。そうかと思えば、別の役では「もっと大人の芝居をして」と言われることもあったり……。30代が近づくにつれて、自分のポジションが難しい時期になってきたんだなと実感するようになりました。“30代の壁”ってこういうことかと(笑)。
――なるほど。そんなふうに役を作っていく中で、共演された方々に言われて最も“刺さった言葉”があれば、教えてください。
前回(2019年)の『ロミジュリ』の稽古中にプレッシャーみたいなものを感じて、自分が作品を汚してしまうんじゃないかと悩んでいたんですね。で、ある日、共演者の皆さんと食事をしている時にベンヴォーリオ役の三浦涼介くんが隣に座ったので「今こういうことで悩んでるんです」と話したら、涼くんが「いやいや、あなたのマーキューシオは素敵だから、そんなの気にしなくていいよ」と言ってくれたんです。その一言で少し肩の荷が下りたというか、不安に思っていたことが少しずつ解消されていったので、涼くんの言葉に救われました。
――過去のインタビューで、「圧倒的な実力派になりたい」「自分のバロメーターを全方位に広げていきたい」と語られていましたが、その目標は今も持ち続けてらっしゃいますか?
もちろん今でも“圧倒的なもの”を持っている人には憧れます。おそらく前回の『ロミジュリ』の後にそういった目標をお話ししたのだと思いますが、当時は先輩方との実力の差を感じて「僕はこのままだとダメだ」と本気で思っていたし、焦っていたのが正直なところで。その頃から「自分にちゃんと力があれば仕事が途絶えることはない」「誰かに必要とされる俳優になりたい」という思いが強くなっていったように感じます。

それから、幅広い役柄を演じたい気持ちも変わらなくて、「この人はこういう役が一番合っている」といった(固定の)イメージがつかないようにしなければいけないなと。どんな役を演じても「ハマり役だね」と言ってもらえるような俳優になりたいと思っています。

命がけでジュリエットを愛する男・ロミオに「気持ちはめっちゃわかります(笑)」

――今年改めてロミオ役で出演する『ロミオ&ジュリエット』も黒羽さんのハマり役になりそうですが、ロミオを演じる上で楽しみにしていることはありますか?
再び『ロミジュリ』の世界に足を踏み入れることができるのが何よりも楽しみです。2年前にマーキューシオという役で出演させていただき、ある程度『ロミジュリ』という作品に対する知識も増えて、自分の中でいろいろと想像できる範囲も広がったので、今回僕自身どんなロミオを演じられるのか凄く楽しみです。

――ちなみに、命がけでジュリエットを愛するロミオのような男性をどう思いますか?
見つかったら殺されるかもしれないのに勢いでジュリエットの家に侵入しちゃうところとか、凄く好きです(笑)。命がけで人を愛せるなんて素敵だなと思いますし、ジュリエットのことしか見えてない真っすぐな感じもいいですよね。実は僕も“重めの愛”じゃないと価値を感じないタイプなので、ロミオの気持ちはめっちゃわかります(笑)。
――(笑)。今回はどんなロミオになりそうですか?
先輩方が築き上げてきたロミオ像を大事にしつつ、自分らしさもプラスできたらなと。ジュリエットや仲間たちへの愛に嘘がない、人間味溢れるようなロミオを演じたいです。あと、小池修一郎先生演出の『ロミジュリ』は豪華に彩られたステージが華やかで、仮面舞踏会のシーンはまるでテーマパークのような雰囲気もあってエンタメ色が強いんですよね。だからこそ初めてミュージカルを観劇される方でも見やすいと感じていただけるはずですし、その世界観の中でどれだけ素敵なロミオを演じられるかが勝負かなと思っています。
――最後の質問になりますが、黒羽さんにとって俳優のお仕事をひとことで言うと?
俳優のお仕事とは「満員電車」です。この業界は俳優で溢れていて、いつもギュウギュウ詰めで座る席もないですし、押しつぶされたり押し出されたり、毎日が闘いなんですよ。そこでいかに自分の安定したところを見つけて居座り続けられるかというか。安定して立って目的地まで向かっていても、遅延もしたり急停止したり、安心している暇はないんです。だけど、目的地に着いて電車を降りた時の解放感は「言葉にできないぐらい最高!」です。俳優とはそういうお仕事なんじゃないかなと思います。
プロフィール
黒羽麻璃央(くろば・まりお)
1993年生まれ、宮城県出身。2010年「第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト 準グランプリ」を受賞。以後、俳優としてミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン(菊丸英二役)、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ(三日月宗近役)、舞台『黒子のバスケ』(黄瀬涼太役)などに出演。2019年にはミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でマーキューシオ役を務め、今年5月にはロミオ役として再び同作に挑戦する。
作品情報
  • Photo by Leslie Kee(SIGNO)

    Photo by Leslie Kee(SIGNO)

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

言わずと知れたシェイクスピアの悲劇を原作に、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で600万人以上を動員したミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。日本では2010年に宝塚歌劇団によって初演され、その大反響を追い風に、2011年に日本オリジナル版として新たに誕生した。2019年以来、新キャストで2年ぶりの上演となった今回は、ロミオ役に黒羽麻璃央と甲斐翔真という人気の若手俳優、ジュリエット役には伊原六花と天翔愛のフレッシュな2人というWキャストでおくる。

5月21日から6月13日までTBS赤坂ACTシアター、7月3日から11日まで梅田芸術劇場メインホール、7月17日から18日まで愛知県芸術劇場 大ホールで上演される。
この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
⇒この記事をオリジナルページで読む(5月20日掲載)

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