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島崎信長“TYPE-MOON”への道案内 FGOを作ったメーカーと、衝撃のヒロイン“琥珀”の抗えない魅力

不動の絶対的ヒロイン“琥珀”の魅力

――以前、TYPE-MOON作品のなかで一番好きなヒロインとして「琥珀」(こはく/『月姫』など)を挙げていらっしゃいましたが、その後変わったり新しく気になっているキャラクターがいれば教えてください。
僕は徹頭徹尾、琥珀さん! ほかにもいろいろ好きなキャラクターはいますけど、ナンバーワンの位置にはずっと琥珀(こはく)さんがいます。

『TYPE-MOON TIMES Vol.1』より『月姫 -A piece of blue glass moon-』PV

<span class="fontBold">月姫</span><br><br>2000年にTYPE-MOONが同人ゲームとして発表したPC用ビジュアルノベルゲーム。作りこまれた世界観や圧倒的なボリュームで人気を博す。「直死の魔眼」特殊能力を持つ高校生の遠野志貴(とおの・しき)を主人公に、不可解な猟奇殺人をめぐって様々な謎が展開していく。琥珀は遠野家の使用人で、双子の妹・翡翠(ひすい)とともに仕えている。遠野家にかかわる者として、物語の中で重要な役割を担っている。遠野家の能力とかかわる力を持ち、そのせいで複雑な事情を抱えている。『MELTY BLOOD』シリーズにも登場している。
――不動の一位は変わらず、ということですね。では改めて理由を聞かせてください。
一言で言うなら「衝撃的」でした。『メルブラ』の時の印象だと「かわいらしくて、ちょっとはっちゃけた朗らかお姉さん」という感じで、僕自身ああいうちょっと天然ぽい、元気っぽいお姉さんタイプが大好きなのもあります。

ただ実際に『月姫』をプレイすると、琥珀さんはそんなに元気じゃなく、儚くきれいなお姉さんという雰囲気なんです。もちろん同じ人物なのでまったく違うというわけではないのですが、空気感が違うというのでしょうか。シナリオ自体『メルブラ』の方がポップなのもあって、『月姫』をプレイしていくといろいろ衝撃的でした。琥珀さんが抱えている事情がとにかく激重で、そこまで難儀だったからこそ、逆にとっても印象的だったというのはあるかもしれません。琥珀さんによって色々なキャラに対する許容範囲も広がった気がします。
――どのように広がったのでしょうか?
僕は「公式と解釈違い」みたいなのはあまりなくて、公式がそう言っているのならいいと思うほうです。逆に言えば、自分のなかにあるものでも、それが公式である必要はなくて分けて考えればいいと思っているので、「受け入れられない」と思うことがあまりありません。そういった捉え方は、間違いなく琥珀さんで間口が広がったと思いますね。

琥珀さんに出会って、「琥珀さんが好き」「琥珀さんの全要素を理解して好き」という経験がなかったら、もうちょっと僕のオタクとしての許容量や間口は狭かったのかも。
――そんな琥珀さんは殿堂入りだと思いますが、もし、どうしても“推し変”をしないといけないとなったら、どのキャラクターでしょうか。
琥珀さん以外ですか。う〜ん……誰だろうな(苦笑)。(間桐)桜(まとう・さくら/『Fate/stay night』など)とかも好きですけど「琥珀さんがいたから」という流れがありますからね。TYPE-MOONのキャラはみんな好きだけど、琥珀さんの流れを汲むようなキャラを特に拾っていますので。

例えば男性キャラも、志貴や、『Fate』シリーズならギルガメッシュも好きですが、他の人を考えても結局「それって琥珀さんがいたから」となってしまうんですよね(笑)。自分のベースに琥珀さんがいなかった場合、桜を受け入れられるかどうかの話にもなってもきます。

いやあ……やっぱり考えられないですね(笑)。ほかのキャラのことを考えても根底に琥珀さんがいて、だからこのキャラを好きになったという部分が少なからずあります(笑)。そういう意味では近いラインである「玉藻の前」(たまものまえ/『Fate/EXTRA』など)も好きです。

劇場版『Fate/stay night[Heaven's Feel]』第一章

――やはり島崎さんにとって、琥珀さんの影響は絶大なのですね。
だって『月姫』琥珀、『Fate』桜、『EXTRA』玉藻みたいに好きなキャラクターを挙げていくと、周りから「本当わかりやすいよね」って言われますから(笑)。

TYPE-MOON初心者に味わってほしい! ビジュアルノベルゲームの面白さ

――ここまでTYPE-MOONの魅力を語っていただきましたが、例えば『Fate』シリーズと言ってもゲームやテレビアニメ、劇場版アニメなど、数多くの作品があります。初心者の方は“入り口”に悩んでしまいそうですが、TYPE-MOON好きの“先輩”として何かアドバイスをお願いします。
正直、人それぞれってなっちゃうんですよ(笑)。強いて言うなら、ちょっと敷居は高くなるかもですが、やっぱり原作ゲーム『Fate/stay night』をやったらいいのではとは思います。ビジュアルノベルゲームをしっかりやったことない人だと、文章量の面で少し大変だと感じるかもしれません。ただ、『Fate』も『月姫』もそうですが、やっぱりビジュアルノベルから入ってほしいという思いはあります。もちろん『Fate/EXTRA』みたいな RPGもおすすめですが、僕的にはやっぱりTYPE-MOONといえば、まずはビジュアルノベルとして楽しんでもらえたらうれしいです。『まほよ』(※)も良い。すごく良い。

※『魔法使いの夜』の略称。奈須きのこによる同名の未発表の小説が『月姫』『Fate/stay night』『空の境界』の原点と言われている。2012年に伝奇ビジュアルノベルゲームとして発売された。
<span class="fontBold">Fate/stay night</span><br><br>2004年に発売されたPC用ビジュアルノベルゲーム。その後、アニメ化、家庭用ゲーム機やスマートフォン用ゲームへの移植など、多くのメディアで展開されている。
――ビジュアルノベル以外ではどうでしょうか。
そうですね。やったことない人にいきなりビジュアルノベルを薦めるのは酷なのもわからなくはありませんので、そうしたらアニメや他のゲームになるのかな。

たとえば、物語の時系列的にはテレビアニメ『Fate/Zero』を観て、その後にテレビアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』や『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」』を観るとわかりやすい部分はあると思います。

テレビアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』PV

あと、TYPE-MOONのことをまったく知らなくても一つの読み物、 SF 作品として完結している『月の珊瑚』(奈須きのこ、朗読小説として星海社から2011年に発売)も良いのでは。「とってもいい話だよ」「僕の好きな小説なんだ」と渡せるという意味では一番薦めやすいかもしれません。『らっきょ』(『空の境界』の通称)も、奈須きのこさんの味が全開なので初心者にはハードルが高いかもしれませんが、素養がある人にとっては最強に読みやすい作品です。

――好みもあるので、なかなか万人向けにというのは難しい部分もありますね。
そういう意味ではスマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order』は取っつきやすくて入門に良いと思いますし、実際にそこから入った人もたくさんいらっしゃるのでは。ほかには佐々木少年さんのマンガ『真月譚 月姫』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス、2004-2010年)やリヨさんの『マンガで分かる! Fate/Grand Order』(KADOKAWA、2017、2019年)なども選択肢に入ってきますね。
<span class="fontBold">Fate/Grand Order(FGO)</span><br><br>TYPE-MOONが贈るスマートフォン向けRPG。プレイヤーは、人類最後の“マスター”となり、人類史に登場する英雄たちを召喚して戦う。島アさんはドラマCDやアニメ版で男性主人公/藤丸立香を演じている。
ただ本当に人それぞれです。話を聞いて「なるほど。あなたならこれがいいかな」といったように、一人一人カウンセリングしないと答えは出せませんね(笑)。
――カウンセリングをしてほしい人はたくさんいそうです(笑)。作品数が多いということは逆に「入り口はどこでもある」とも言えそうですね。
そうですね。たとえば歴史上の人物であるジャンヌ・ダルクが好きなら「ジャンヌが出ているから」という理由で、『FGO』を選んでもいいと思います。何から入っても、どこからでも入れるのがTYPE-MOONの良さだと思います。
――では島崎さんにとって、TYPE-MOON作品とは?
ロマンと夢の物語です。僕を含めてみんなにそれを見せ続けてくれている場所、作品たちだなって思いますね。

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