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タバコ型『じゃがりこ』ケースに練乳型ハンドクリーム…コロナ禍&就活のストレスを創作活動にぶつけた大学生の想い
作品のバズリにも「なんかすごいことになっているなぁ」と他人事のような感覚
なるみ『タバコ風じゃがりこケース』は、じゃがりこを食べている時に、小さい頃、たばこのようにくわえて遊んでいたことを思い出して、「実際、それっぽく作ってみればカッコいいんじゃないか!?」と思い制作しました。
━━子どもの頃の原体験が今にいきたわけですね。反響はいかがでした?
なるみ10万を超えるリツイートと50万を超えるいいねという想像もしていなかったほどの反応をいただきました。いくつかのメディアで取り上げられたり、じゃがりこ公式様にも反応していただくことができて「なんかすごいことになっているなぁ」ともはや他人事のように思いました(笑)。
なるみこちらは、偶然リビングの机の上に置かれていた母のハンドクリームを見て、一瞬「なんでこんな所に練乳が!?」と思ってしまったことがきっかけです。
━━いずれも、誰もが知っているもの同士を組み合わせて、誰も思いつかないような斬新なデザインを実現しているところが面白いですよね。作品のアイデアはどのように生まれているんですか?
なるみ自分がいつも使っているものや、目にしているものに対して「こうだったらもっと面白いかも!」と思うことがあって、それがアイデアの素になることが多いですね。
なるみいいえ、すべて独学で、まさに見様見真似で奮闘しています。制作時間は、どちらも3時間くらいですね。どちらも元の商品のデザインがとても素敵なので、なるべくその良さが失われないように頑張りました。
━━ツイッター上に寄せられた言葉で、一番印象的だったのは?
なるみ「自分もこれ欲しい!」というコメントをたくさんいただいたことです。そういうふうに思ってもらえて、ものすごく嬉しい限りです。
創作活動への没頭はあらゆるストレスからの解放。現実逃避のひとつ
なるみ大学でデザイン系のサークルに入部したのですが、そのサークルの展示会に出すために制作したのが、初めて誰かに見せるために何かを作る経験でした。
━━『一見英字がプリントされた普通のトートバッグだけど、よく見ると「帰りたい」って書いてあるトートバッグ』ですね。
なるみデザインのセンスがまったくなかったので、「とにかくユニークさで勝負するしかない!」と思って勢いで制作しました。それが思っていたよりも好評で(笑)。「こんな自分の作ったものでも笑ってくれる人がいる」ということを知ってからは、調子に乗って、より積極的にサークルでの制作活動を続けるようになりました。
なるみ小さい頃から漫画やゲームが大好きで、暇さえあればお絵かき帳にキャラクターの絵ばかり描いているような子どもでした。小学生の時にマンガ家やゲームクリエイターに憧れて、まわりの友達が『ポケモン』や『イナズマイレブン』といった人気のゲームをやっている中、私は『RPGツクール』や『メイドイン俺』など「自分でオリジナルのゲームを作るゲーム」に熱中していたことがあり、今考えるとそれが私の原体験だったのかなと思います。中学校に上がる頃には自分に絵の才能がないこと気づき、漫画家の夢は志半ばで諦めましたが「何かを作りたい」という気持ちはずっと持っていました。
なるみ去年の春頃に新型コロナウイルスの流行により大学が閉鎖され、サークル活動もできなくなるという事態に陥ってしまいました。しかし、そのような状況でも制作活動を続けたいという意思から、自らのツイッターアカウント上で個人として活動を続けることを決めました。外出自粛で家にいる時間も増えたので、その分、以前よりも制作に費やせる時間も増えましたね。
━━ツイッターで「就活のストレス」とつぶやいていましたが、制作はストレス発散にも役立っているのですか?
なるみそういった意味合いも大きいです。何かを作っている時は他のことを忘れて没頭できるので、就活に限らずあらゆるストレスから解放されます。現実逃避のひとつですね(笑)。
より多くの人に「なんか変なことしてる人がいるなぁ」と笑ってほしい
なるみ本来の実用性以上に楽しい気分になったり、誰かとの会話のきっかけになったりするのがデザインの良さのひとつだと思っています。コロナ禍ということもあり、最近のSNS上ではネガティブな話題や、誰かを攻撃するような発言が見受けられることが多いように思います。そんな中で、自分の作ったもので笑ってもらえたり、少しでも明るい気分になってもらえたりすることを願って制作を続けています。
そして、「“遊びゴコロ”を持って生活することの楽しさ」を伝えられればいいなと思いますね。
━━現在大学3年生ということですが、卒業後はクリエイティブな道へ進まれるのですか?
なるみまだ具体的な進路は決まっておらず、現在就活真っ只中なのですが、自分のアイデアでより多くの人を笑顔にし、社会に貢献できるような仕事に就ければなと思っています。
━━最後に今後の野望を聞かせてください。
なるみ自分には大掛かりなものやスタイリッシュでクールなものは作れないですが、“遊びゴコロ”を大事にくだらないものを作り続けて、より多くの人に「なんか変なことしてる人がいるなぁ」と笑ってほしいです。そしてそれを通して、少しでも明るい気持ちになってもらえれば、それ以上に嬉しいことはありません。
文/河上いつ子