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たばこはすべてが“悪”なのか? 喫煙所の減少がもたらす弊害とデバイス&スペースの進化で目指す“共存”

『ザ スモーキストコーヒー』東新宿店。インタビューに答えた店長

『ザ スモーキストコーヒー』東新宿店。インタビューに答えた店長

喫煙所が続々撤去…喫煙者と非喫煙者の共存を目指して投資、“喫煙目的店”を運営

  • 東新宿店の1階は喫煙不可。喫煙可の2階から煙やにおいが流れてくることはない

    東新宿店の1階は喫煙不可。喫煙可の2階から煙やにおいが流れてくることはない

 一方で、喫煙スペースの変化も起こっている。次々と喫煙所が撤去され、街でたばこを吸う場所が減った現在。新たに誕生した“喫煙目的店”が、『ザ スモーキストコーヒー』だ。都内に3店舗(東新宿、新橋、神田須田町)を運営している。

 『ザ スモーキストコーヒー』の最大の特徴は、改正健康増進法が施行されて以来、街では難しくなった“飲食をしながら喫煙ができる”ということ。ここでは紙巻たばこ、加熱式たばこに関わらず、喫煙することが可能。あえて今、このような店を作った理由は、「これまで当たり前に日常にあった、たばこを片手にコーヒーを嗜むという文化を大切に、喫煙者と非喫煙者双方に配慮した環境を整えた上で、ほっとひと息つける場所をご提供したい」と、同ブランドの広報担当者は明かす。

 新橋店、神田須田町店は全席喫煙可能だが、なかでも1Fが喫煙不可、2Fが喫煙可と完全分煙となっている東新宿店では、高性能なプラズマ集塵脱臭機を複数設置。4分に一度、空気が入れ替わるシステムにすることで浄化している。たばこを吸った人からは特有のにおいがするものだが、それがだいぶ軽減できるというものだ。同ブランドでは「社会的責任を果たすための投資」ととらえている。店舗毎に導入している換気システムは異なるというが、どのパターンが最適なのかは利用者の声を聞きながら、模索している状況とのことだ。

 また、同店の店長は、「当初は、このご時世だけに、否定的な意見が多いのではないかと考えていました。しかし、実際には好評をいただいています。非喫煙者の方からは『においはまったく気にならない。棲み分けができている』と言っていただけますし、もちろん喫煙者の方からは『コーヒーを飲みながら煙草が吸えるなんて嬉しい』と言われます」と反響を明かす。当然、東京都の条例に反しないよう、従業員は成人に限っている。

加熱式たばこユーザーが紙たばこユーザーを嫌悪? “喫煙者内差別”の実態は?

 同店では、紙巻たばこユーザーと加熱式たばこユーザーの割合は7:3だそうだ。煙やにおいが強い紙巻たばこと、それらが少ない加熱式たばこ、それぞれのユーザーが喫煙スペースで同居することになるが、そこに問題はないのだろうか。最近では、加熱式たばこユーザーから「せっかく加熱式にしたのに、紙巻たばこと一緒になることでにおいがついてしまう」という不満も聞こえてくる。居場所が少なくなったからこその、同族内の“喫煙者内差別”とでも言えようか。実際に紙から加熱式に完全移行したユーザーの多くは、非喫煙者と同等に紙巻たばこのにおいを毛嫌いする傾向にある。

 だが、店長によると「当店ではそういう声は聞こえてこない」という。「やはり、喫煙スペースでもクリーンな空気環境の構築が実現できているためかと思います。通常、喫煙スペースというとモクモクと煙が漂っているような場所をイメージされるかと思いますが、まったくそんなこともありません。加熱式たばこを吸う方も、快適に過ごしていただけていると思います」と語る。

 「街でたばこを吸う場所がなくなったために路上喫煙する人もいて、非喫煙者はそれによる受動喫煙の不安があります。喫煙者、非喫煙者は相いれないようにも見えますが、生活空間の中でもしっかり区切ることができれば、この東新宿店のように共存ができると思います。コストもかかるため簡単ではありませんが、このようなお店を今後も増やしていきたいです」(店長)。
 好む人もいるが、嫌う人、迷惑を被る人も存在するたばこという嗜好品。互いが存在する以上、現状ではどちらかを切り捨てることで生まれるハレーションの方が多いと言わざるを得ない。『プルーム・テック・プラス・ウィズ』のような低温加熱式たばこも、『ザ スモーキストコーヒー』のような喫煙目的店も、喫煙者と非喫煙者の共存の道を探って生まれた商品であり、場所だ。それぞれのニーズに応えながら、共存できる形を模索する。 これら企業の努力が今後、本当の共存を実現するのかもしれない。

(文/衣輪晋一)

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