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ケンシロウとの共通点も? 『北斗の拳』作者・原哲夫が絵本に込めた想い「根底にあるものは“愛”」

ケンシロウもボノロンにも共通する“原哲夫イズム”「作品の根底にあるものは愛」

――『北斗の拳』をはじめとする先生の作品のファンの方が親世代になっていることも多いと思います。中には「泣きや悲しみといった原哲夫イズムが盛り込まれているのがいい」という声もありました。過去の作品のファンの方からはどういった反響がありましたか。

【原哲夫】ケンシロウのいた世紀末とは異なり、愛らしいキャラクターの世界観なので驚かれる声もあるようですが、若い親世代からも親子での読み聞かせがひとときの大切な時間になっているようです。

――「子どもに読み聞かせていたが、自分も泣きそうになった」「何年も読み続けています」という声もあり、本作は子どもだけでなく大人にもファンが多い作品です。より多くの人が共感できるようにこだわっているポイントはありますか。

【原哲夫】作品の根底にあるのは、人と人との思いやりの心で、キャラクターが見せる思いやりを通して愛を描いてきました。思いやりは人間がもともと備えているものだと思っています。ただ、ともすれば忘れがちになってしまうものであるとも思いますから、繰り返し描くことが大事だと考えてきました。僕が子どもを見ていて気づいたのですが、0歳児でも両親をなごませるために、指をさして人の目を引いたりすることもあります。そんな子どもなりの思いやりや、気づかいなどを見逃さないように、見守る者の責任の重さを感じたりします。

――15年間にわたり、本作の連載を続けることができた理由は何だと思われますか。

【原哲夫】セブン銀行さんが、「子どもたちの将来のために」と確固たる意志を持って、長きに渡りボノロンを支え続けてくれたからです。ボノロンは2021年12月号で100話をむかえます。原作者の北原星望さんのお話を生み続ける力、作画の永山ゴウさんの描き続ける力があったからこそと思います。

「絵を描くことは与えられた天命」 “忘己利他”の精神で描き続けてきた作品の数々

――現在、コロナの影響で家族が共に過ごす時間が増えてきました。その時間の使い方は様々ですが、そんな時代に本作品はどのような役割を持っていると思いますか。

【原哲夫】この絵本が、親子で一緒に過ごすきっかけになればうれしいです。子どもはお父さんお母さんと一緒に何かをした体験から愛情という栄養を受けとり、いずれ外の世界に出ていくための準備が出来てくると思います。どんな状況でもささやかでもいい、親子で向き合う時間を大切にしてもらえたらその後の子どもの成長に大きな糧となるのは明白です。

――これから本作が20年、30年を迎えても「これだけは変えたくないもの」はありますでしょうか。また、「こう変化していきたい」と思うところなどはあるのでしょうか。

【原哲夫】この絵本が親子の絆を深めるきっかけになればという思いは、当初から変わっていません。これからも変わらず、そのことを伝えていきたいです。そして本質は変わらなくても、読み手に伝わるよう、時代に合わせた表現の工夫は必要だと考えています。

――今もなお、さまざまな作品を生み出し続けている原さんのクリエイターとしての信念を教えてください。

【原哲夫】ここまで、絵を描いてきてみると、ふとこれは“天命なのかな?”と思うことがあります。描いていると神様がほめてくれている気がします。逆に、さぼっているとなぜかいいことが起きないんです(笑)。最初は、好きで描いていた絵を母が喜んでくれてうれしくなって。そのうちに、子どもから大人まで、たくさんの人が楽しんでくれる姿を想像しながら描くようになりました。僕の場合、人に喜んでもらえることが自分の喜びです。絵を描いている時は、自分を忘れて没頭します。むしろ自分を無にしないといい仕事ができないことが多いのです。信念はないけれども、あえて言うなら「忘己利他(もうこりた)」(仏教の言葉:自分を忘れて他人のためにつくすこと)のイメージかな。自分を忘れて描くことが、結果的に利他につながり、やがてリターンがあります。皆さまに幸せのリターンがありますように

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