• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム(ORICON NEWS)
  • 芸能 TOP
  • 『エンタ』芸人“その後”の生き方、ゴミ清掃・滝沢秀一が語る境地「捨てられた人間もリサイクル可能」
ORICON NEWS

『エンタ』芸人“その後”の生き方、ゴミ清掃・滝沢秀一が語る境地「捨てられた人間もリサイクル可能」

あてにならない芸能の仕事、こだわりを捨て「芸人かどうかは周りの人が決めてくれれば」

滝沢秀一

――2019年に「本業はゴミ清掃員で芸人は副業」と語っていましたが、今も同じ気持ち?

滝沢秀一ニュアンス的にはそうですね。あてにならないですから、芸能の仕事は(笑)。それより、ゴミ清掃員という仕事があることで、一番心が安定するんです。

――安定ですか?「俺は本来、芸人なんだ!」といった悔しさのようなものは?

滝沢秀一まったくないんです。売れないのにずっと「俺は芸人だ!」と言い続けるのは、個人的にはすごく恥ずかしいことだと思うんです。芸人かどうかは周りの人が決めてくれればいいですし(笑)、芸人さんが集まって楽しいことをやっているなら、僕らも混ぜてほしいくらいの気持ちでやっています。なので自分が昔、この番組に出ていたとかこだわりがなくて。先日、自分が出ていた番組などのDVD、全部捨ててしまいました(笑)。

――奥様もそんな滝沢さんを理解されているのかもしれませんね。ちなみに、結婚記念日がユニークだとか。

滝沢秀一籍を入れる日を相談したところ、妻が「ゴミゼロの日」(毎年5月30日)でいいんじゃないかと。本っ当に偶然なんですが、今の何かを暗示してますよ(笑)。そんな、今の妻じゃなければ、僕たちは離婚することもあり得たかもしれません。というか、どこかおかしくないと、芸人と結婚しようなんて思わないのかもしれない(笑)。妻は僕の書く「ゴミあるある」を漫画でわかりやすく描いてくれていて、とても感謝しています。

ゴミ回収で感じた怖さを小説に、「俳優とゴミ作家の『マシンガンズ』ってのも面白いかな」

滝沢秀一

――そんな滝沢さんの著書『かごめかごめ』の文庫版が発売されました。

滝沢秀一ゴミ回収をしていて、怖いなと思ったのが『かごめかごめ』を書いたきっかけです。女性の方でも、名前や住所が書かれた請求書をそのまま捨てる方がいて、「これをストーカーが拾ったらどうなるんだ」と。ゴミって怖い、この発想から物語がスタートしました。文庫版では大幅に手を入れて、やや大衆文学に寄せたものになっています。

――文学部ご出身とのことで、影響を受けた作家はいますか?

滝沢秀一僕が影響を受けた作家は、まずエドガー・アラン・ポー。国内では、村上龍さんや中上健次さんが好きです。中上健次さんの作品にある独特なテンポ感は、この本の文章にも影響が出ているんじゃないですかね。ここには、僕自身の若い頃、芸人時代、ゴミ清掃の経験のすべてが詰まっています。特に最後の一文は自分でもゾッとするような仕上がりになったので、ぜひ読んでいただきたいですね。

――今後も小説を書き続けますか?

滝沢秀一はい。今年も文學界の新人賞で最終選考に残ったんですよ。惜しかった(笑)。相方の西堀は俳優のお仕事もやらせてもらっているので、俳優とゴミ作家の「マシンガンズ」ってのも面白いかなと(笑)。

――最後に、ゴミについてどのように考えていますか。

滝沢秀一ゴミを見ていると、ゴミが語りかけてくるんです。そこから、「どうしてみんな、こんなにゴミになるほど無駄な物を買うんだろう」と考えるようになってくる。ゴミというのは、「これはゴミだ」と人間が決めた瞬間にゴミになる。キレイ、汚いの問題じゃない。つまり、人の“心”がゴミを生み出しているんです。そう考えると、「僕たち人間自体がゴミなんじゃないか」というところまで思考がたどり着くんですね。

――なるほど。

滝沢秀一あと、人間と言えば、何か1つ特技を見つけることは大事だと思いました。何でもいいんですけど、実は絵が描けたり英語ができたり、何か1つできることがあれば、誰か拾ってくれる(笑)。たとえ捨てられても、“リサイクル”可能だと僕は思っています。

――リサイクルされたら、どう復帰すればよいですかね。

滝沢秀一それはもう、ニヤニヤして(笑)。ダチョウ倶楽部の肥後さんに言われたんですが、「何かやろうとしてダメだったら、ニヤニヤしながら元の位置に戻ってこい」と。それができるのが芸人だぞ、と言われました。プライドがあると、つい意固地になってしまいがちじゃないですか。それをニヤニヤでごまかせるたくましさ…。ゴミであるかもしれない人間にとって、そういった“ニヤニヤ力”は生きていく上で大切なんじゃないか。そんなことを、ゴミに関わりながら、僕は思ったりしています。

(文:衣輪晋一)
『かごめかごめ』
著者:滝沢秀一
双葉社 刊

2013年スマホ小説サイト『E☆エブリスタ』で閲覧数2万人を突破し、ホラーオカルトカテゴリーで最高位2位を記録した『鬼虐め』を改題、今回文庫化にあたり加筆修正した。とある女性のストーカーを始めた主人公。しかし、いつの間にかその立場は「追う」側から「追われる」側へと逆転していく。それは真の恐怖への序章に過ぎない。童謡『かごめかごめ』の詩に隠された歴史が紐解かれていく――。

■公式サイト(外部サイト)
■滝沢秀一Twitter(外部サイト)
■マシンガンズ公式サイト(外部サイト) 

あなたにおすすめの記事

 を検索