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ORICON NEWS
ママタレから昇格した「芸人妻」 一般人以上“タレント未満”枠が激化
売れない時代を支え「ネタ」に昇華…コンテンツ力が光る“芸人妻”
なかでも印象深いのは、あばれる君の妻・古張由夏さん。あばれる君のインスタグラムでたびたび2ショットを披露するなど、顔出しもしている。交際をスタートさせた高校時代から芸人としての下積み時代まで、あばれる君を由夏さんが精神的にも金銭的にも支えてきた。今でこそ、売れっ子のあばれる君だが、この献身的なエピソードは多数のバラエティ番組でも取り上げられ、「あばれる君にはもったいない人」という声も上がるほどだ。
そんな由夏さんとは対照的に、「鬼嫁」というキーワードで強烈な存在感を放っているのは、デンジャラス・ノッチの妻である佐藤友美さん。芸歴30年以上のノッチだが、2009年頃にオバマ前米大統領のモノマネで再ブレイクしたのをきっかけに、友美さんとの共演も急増。バラエティ番組では、夫に対する厳しい喝もしばしばで、恐妻家キャラを確立させた。自身を「ノッチ嫁 兼 総合監督」として名乗り、家計を支えるだけでなく芸風についても助言するなど、夫のプロデュースを全面的に監督している。
ブログで続々と自己発信する妻たち 夫のパパタレ化もアシスト
芸人の妻でありながら、3人の娘と1人の息子の母として奮闘する日々を明るく綴ったブログは、子育ての話に加え “1度も夫婦喧嘩をしたことがない”という仲良しエピソードから、夫の過去の浮気に関するエピソードまで赤裸々に発信。単純な知名度や読みものとしての面白さというよりも、芸人妻としての立場を踏まえつつ、夫のネタを広げる場所としても機能している。このように、妻発信のコンテンツは、本人発信より説得力や俯瞰力が増すため、ニュースメディアのネタとしての需要も高く、最近では、千鶴さんのブログベースで記事が作られるなど、各メディアの取り扱いも変化傾向にある。
実際、妻たちのブログ発信により、エハラマサヒロやNON STYLE・石田らが、子育てを積極的に行なっている姿がニュースメディアで記事化。彼らが「パパタレ」としてメディアに出演するなど、夫の芸を手助けする要素としても働いている。
世間の評判を下げるリスクも…SNSを通した所作振る舞いは要注意
トレンディエンジェル斎藤司の妻・しゃんさんは、昨年7月からブログを開始し、「すみません。もうぶっちゃけます!!」というタイトルを投稿。その中で「はっきり言って、育児得意じゃないんです。私ね、まず産んですぐ産後ブルーぽくなってしまって」と、娘を出産後、精神的に辛い日が続いていたことを告白した。
さらに、「私の存在価値ってなんだろう」「仕事は偉いけど、育児は当たり前」と記し、活躍する夫・斎藤に嫉妬にも近い感情を持ったことなど、赤裸々な投稿が続いた。それらに対し、ネットでは共感の声があがる一方で「面倒くさそうな奥さんだな」「芸能人でもないのに…」などと、辛辣な声も上がった。
やはり、事務所に所属する芸能人とは違うため、叩かれる耐性はついていないのが芸人妻の実態。一般人と同じような意識のもと、SNSで愚痴をぽろっとこぼした結果、各方面から非難を浴びてしまったり、「芸人の妻である」という意識から、なにか面白いことを言わなくては…という気持ちが働いてしまい逆効果となってしまうこともあるようだ。千鶴さんのように、相乗効果をもたらし、準タレント化する可能性がある一方で、あくまで“芸人妻”という立場を意識しながら、賢く振る舞う必要があるようにも思う。
人を笑わすことを生業とする夫を持つ、芸人妻。ブログ等で人気の妻たちは、単なる日常を綴るだけでなく、立ち位置を意識しつつも、いかに人を惹きつけるか? という点で、その人の持つ純粋なカリスマ性も求められているように思う。その姿は、まさに一般人以上タレント未満という微妙な立ち位置。激戦化していく“芸人妻”という枠の中で、夫をサポートしながらしたたかにポジションを確立するには、さまざまなラインを見極める賢さが必要なのかもしれない。