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「ボロボロ」「妖怪のよう」悲しい末路たどる猫たち、地域猫活動の裏に“救えない”ジレンマ

  • 写真:ねこけんブログより

    写真:ねこけんブログより

 猫を完全室内飼いにする人も増え、今では野良猫もずいぶん減った。とはいえ、周囲の人々からエサをもらうなど、ある程度の管理を受けて生きる地域猫もいる。地域猫活動は決して悪いことではないが、猫が危険にさらされたり、迷惑と感じる住民との軋轢も生まれているのは確か。NPO法人『ねこけん』には様々な保護の依頼が来るが、地域猫に関するものも多い。『ねこけん』ブログに綴られたレポートをもとに、代表理事・溝上奈緒子氏に取材。地域猫にまつわる問題を探る。

薬品をかけられたボロボロの猫、まぶたの皮膚は溶けかかっていた

  • 薬品をかけられボロボロになった猫(写真:ねこけんブログより)

    薬品をかけられボロボロになった猫(写真:ねこけんブログより)

 ある日、『ねこけん』に寄せられた、「助けてあげてください」というメール。「目が見えていないようだ」「具合が悪そうでフラフラしている」「ガリガリ」「数日前は普通だった」…そんな、猫に関する情報が寄せられた。早速、『ねこけん』メンバーが現地に赴くと、見つかったのは全身真っ白な粉まみれで、皮膚がただれたボロボロの猫。情報提供者によると、その猫は地域猫だったが、2〜3日姿を見せない日があり、再び現れたときにはこの姿になっていたという。地域猫とは、特定の飼い主がいなく、地域住民によって共同管理されている猫のこと。飼い主のいない猫を増やさないため、TNR(捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元に戻す)を施されていることが多い。

 「何かの薬品をかけられ、ボロボロでかわいそうな状態。猫を連れて帰る車の中は、薬品の匂いでこちらも具合が悪くなりそうなほどでした」と溝上氏は当時の様子を振り返る。猫の身体中の毛はゴツゴツと固まり、まぶたの皮膚は溶けかかっていた。『ねこけん』に到着後、すぐに猫をお風呂に入れて洗浄。だが、その後の血液検査で、かけられた薬品が原因で、急性腎不全と急性肺不全になっていたことが発覚した。

 共同管理されているとはいえ、自由に歩き回る地域猫の暮らしぶりは、野良猫とさほど変わらない。エサはもらえるものの、自由だからこそ誰かに連れ去られたり、危害を加えられたりする可能性がある。そして、地域住人がそれに気付いたとしても、探したり、手当をするまでに至らないことも多い。薬品をかけられてボロボロになった猫の容態は安定したが、「一度不幸になった子を、再び不幸にはできません。だから地域猫だったこの子も、もう一度外に戻すつもりはありません」と溝上氏は語っている。

こぶだらけでまるで妖怪…あまりの惨状に“二度見”された地域猫

  • 妖怪のようだった『にどみちゃん』はすっかり美猫に(写真:ねこけんブログより)

    妖怪のようだった『にどみちゃん』はすっかり美猫に(写真:ねこけんブログより)

 また別の地域猫の保護の様子も、『ねこけん』ブログで報告されている。

 その猫はまるで、こぶがいくつもぶら下がった、妖怪のような姿をしていたという。ボランティアメンバーが、あまりの姿に思わず“二度見”をしてしまったことから、この猫は『にどみちゃん』と名付けられた。保護後によく見てみると、猫にぶら下がっていたこぶの正体は大きな毛玉。身体中の毛が玉状になって身動きが取れず、四肢の筋肉も落ち、神経にも異常が出てしまっていた。「動くたびに毛が引きつって痛かったでしょうね」と溝上氏は語る。

 にどみちゃんはバリカンで慎重に毛を剃られ、ようやく毛玉の鎧から脱出できた。耳に入っていたVカットの跡(不妊・去勢手術済みの証)から、ある程度は管理された地域猫であることも明らかになった。ケガしていた後ろ足にも治療が施され、ブログでは「もう外には出ていかなくていいんだよ」と語りかけられている。その後、猫本来の可愛らしい姿を取り戻したにどみちゃんは、『千代ちゃん』と改名。あとは幸せな家族との出会いを待つだけ…と思われたが、検査で極度の貧血、心臓に病があることが発覚。今後、回復することは見込めないという。過酷な外の世界から保護されたものの、この猫の末路には悲しい現実が待っていた。

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