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虐待、病気、多頭飼い…あえてショッキングな“保護猫のリアル”を発信する理由「現実に起こっていることを知ってほしい」
「たとえお金がかかっても迷いはない」、救えなかった犬への誓い
「市場に見るからに具合の悪いワンちゃんがいたんです。どうしても助けたくて、費用は全部出すから病院に行かせてほしいと頼みましたが叶わず、日本に連れ帰ることもできなかった。無力さを感じながら、その子に『日本に戻ったら、あなたの仲間を絶対に救うから』と誓いました」
帰国後、すぐに野良犬・野良猫を救おうと動き始めた溝上氏だったが、個人ではわからないことも多く、あるボランティア団体に所属。そこで2年間、保護活動の修行を積み、2011年に『ねこけん』を設立。翌年には、資金の流れを透明化するため、NPO法人となった。当時は小さな法人だったものの、あるとき『ねこけん』の名前が世に知れ渡る出来事があった。東京・国立市で起こった殺人事件の犯人宅がテレビに映り、部屋に放っておかれたままの猫をボランティアメンバーが目撃。警察に掛け合って25匹の猫を保護したが、それがメディアに取り上げられ、『ねこけん』は一躍有名になった。有名になること、それはボランティアにとって、動物を救う資金を得やすくなるということと同等だ。「病気の猫への薬がたとえ100万円かかっても、救うことに迷いはありません。絶対に命を優先さえることが『ねこけん』の理念ですから」と、溝上氏は語る。
「可愛らしい」だけではない、ブログに掲載された悲惨な猫たち
「人間の都合で、虐待やとんでもない環境を耐えてきた猫たちがいます。また、今でこそ地域猫という言葉も定着しましたが、彼らの最後はこうなってしまんうんだということも知ってほしい。安易にご飯をあげればいいというものじゃない。病気だったらちゃんと病院に連れていかなきゃいけないし、不妊去勢の手術もしなきゃいけない。ブログでは、自分たちでやれることを発信しなきゃいけないと思ったんです。また、他のボランティア団体に向けたメッセージでもあります」
1日、約9万アクセスあるというブログの影響力は大きい。ここで活動報告をすることで寄付金も集まり、病気の猫が使う酸素室が寄付されたこともあるという。ただし、現実はブログよりさらに厳しいことがあると、溝上氏は明かす。「本当にショッキングな写真はブログにも載せることはできません。もっとひどい状態の猫ちゃんもたくさんいるということも知ってほしいんです」。