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ドムがジムを一刀両断…“ガンプラ再生工場”モデラーが、20回以上塗り重ねた溶断面へのこだわり

作りたい物ではなく、「今ある物で何が出来る?」

――『10年の差』のアイデアはどんなときに思い浮かんだのですか?
SHIGE実は、作りたい物が先ではなく「今ある物で何が出来る?」ということが先でした。この頃、模型用のノコギリを購入してたんですが、使いとうて、使いとうて。試しにジムをブった切ったのが出発地点です(笑)。
 切り終えて、「んじゃ切ったのは誰や?」ってなった時に、在庫の中で「圧倒的な体格差のあるドムで行こう」と。そして「ドムの見た目からは想像出来ない程の躍動感をつけたい」と発展していきました。

――どのようなストーリーをイメージして制作されましたか?
SHIGEジムのパイロットが散り際に、一年戦争の勝者は自分たちであることを悟る。でもドムのパイロットはそれを知るはずもなかった…という物哀しさを設定に含めてます。どっちが勝者でどっちが敗者か解らない作品を作るために、勝っているドムには(結末が哀しい)寒色系を、負けているジムには(未来が明るい)暖色系を使ってます。

――この作品において一番のこだわりは?
SHIGE2体のデザイン、体型が全く逆やったので「だったら全てを真逆にしよう」と思い、暖色系に対して寒色系、曲線に対して直線、動に対し静。特にドムは重モビルスーツでありながら軽やかに動く躍動感を、対してジムは静止画のような静けさを、と思い制作しました。
――本作制作で、一番苦労したのは?どんなところですか?
SHIGE完成品でポージングを考えたので、塗装が何度も剥げ、修正したことですね。これが一番きつかった。制作中の苦労で言うと、ジムの溶断面の塗装です。20回以上塗り重ねてますよ。実は8回目でメッチャええ感じに塗れたんですが「もっとええのん出来るはずや」って9回目にチャレンジしたら、それ以降8回目を超えることなく…。今でこそ笑い話ですが(笑)。技術的な部分では、面積の広い箇所ほど一回の塗装で厚ぼったく塗ります。完全に乾く前に次の色を乗せれば勝手にグラデーションになりました。

――制作後の反響はいかがでしたか?

SHIGEツイッターに限った話で言うと、過去一番反響の多かった作品です。特に溶断面の塗装に関するツイートがすごかったですね。「やっぱり見てる側も必死な作業は解るんやなあ」って思いました。
――作品を拝見すると、本作も含め、歴戦の勇士のような、見事なウェザリングを施された作品が多いようお見受けしました。ご自身の作風として、このような作品が多いのはどういったきっかけだったのでしょうか?
SHIGEガンプラに出戻る際、いろんな方の作例を観た時にカッチョ良く見えたからです。こだわってんのは1/100、1/144の汚れとして、あくまで自然に見えるように”美しく”汚すこと。汚すことでドシッとした重みと実在感が生まれると思ってます。

――ガンプラで表現する際、一番気を付けていることはどんなことですか?

SHIGE写真に撮った時に玩具っぽく見えないようにすることです。「マジで18mあるんちゃうん!?」って思ってもらえるような。

――ガンプラモデラーとしての信念は?
SHIGE展示会に出展するために模型を作ってるようなモデラーなので、展示会場でひとりでも多くの方の足を止めたいと思うし、観ていただきたい。そして作品をきっかけにたくさんの方々と交流させていただきたいと思ってます。

――SHIGEさまにとってガンプラとは?
SHIGEガンプラは1個あったら一生遊べて、永遠にどこまでも完成しない真剣な遊びですね。

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