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「芸能界にパワハラは通用しない」は本当か? 芸能人同士のハラスメントの実情とは
水面下でハラスメントを受けても、問題が表に出てこない理由
「実際、これまで私のもとにも、芸能人同士のパワハラ相談はありません。なぜこれらが問題化することが少ないか、表に出てこないかというと、それは『目的を達成できないから』だと思われます。ハラスメントを主張する際、当人には『適切な職場環境で働きたい』という思いがあります。でも芸能界の場合、パワハラを訴えると『使いづらい』と評価され、仕事がなくなる恐れすら出てくる。また、発言力が強いタレントや事務所が、懇意にしている媒体を通じて自分たちに有利な記事を出し、その論調に負けてしまう場合もある。さらに、もし裁判をするならば、タレントにとって大切な“イメージ”が低下してしまう。本末転倒になるため、当人が所属する事務所としても、パワハラを訴えることを避けたいという意向が強いのです」
つまりハラスメントに関して、芸能界はいまだ透明性が低いということだ。
師弟関係の変化も…問題を昇華する新たな笑いの誕生
「あれもこれもパワハラと言ってしまうとお笑いがつまらなくなる」という論調にも頷ける。だが被害者がいる以上、「芸人だから、テレビだから仕方ない」では済まないし、一般視聴者の厳しい目は常に光っている。いじりか、パワハラか。線引きの難しい問題を踏まえて昇華することで、さらに新しい笑いが生まれる可能性もあるのではないか。今まさに、芸人の、番組制作者の、真の腕の見せどころが待たれているように感じられる。
(文/衣輪晋一)