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“新選組沼"にハマる人まで…海外で深まる日本のオタク文化「愛に甘えてたらコンテンツは衰退する」

海外から見た日本のオタク文化「クールな印象がある一方で、分断されている」

世界コスプレサミットの様子(C)KADOKAWA

世界コスプレサミットの様子(C)KADOKAWA

 海外の人々から日本のオタク文化はどのように見えているのか。Pashimoさんに質問すると「どこを切り取るかにもよるけれど、“クール”で“クレイジー”な印象は変わらなくある。ただ一方では、すごく“分断されているな”という印象も…」とオタク文化にまつわる日本と海外の現状を話してくれた。

「コンテンツが好きすぎて部屋のなかをグッズで埋め尽くすとか、推しキャラと結婚してしまうとか、海外だとそこまで振り切ったエピソードは少ないですからね(笑)。分断されていると感じるのは、コミュニケーションがとれるかどうかの問題です。海外の方は英語が堪能だから、違う国同士でもネットでワイワイ盛り上がれる。でも、日本だけ日本語で国内でかたまってしまうところがどうしてもあります。海外のファンにとっては、日本の同じ作品のファンがどういう動きをしているのか、なかなかつか見づらいのでは」(Pashimoさん)

 最近は Netflixなどもアニメに力を入れており、オリジナルアニメも多く製作・配信している。昔はディープなファンにしか届かなかったところ、ライト層も手軽に見られるようになっているのは大きな変化だ。しかし、古参ファンにとっては複雑な心境もあるようで……。

「なかには日本風のタッチで描かれたアメリカ制作アニメなどもあって、それに対して日本のアニメが好きな海外のファンたちが『アメリカで作られた作品をはたしてアニメと言えるのか』『日本だからこその“アニメ”なのに…』と議論をしていたりもする。そういう意味で、知る人ぞ知る、俺たちだけの…という意識も向こうの人たちにもあるのかなと想像します」(Pashimoさん)

過去の遺産に頼る日本アニメへの危惧「このまま胡坐をかいていたら終わっていく」

 先述した『UFOロボ グレンダイザー』は、イタリアだけではなく中東・イラクでも人気の作品。ほかにも『美少女戦士セーラームーン』『ドラゴンボール』…海外で人気の日本アニメは数えればキリがない。世界各地に、同じ作品で育ってきた子どもたちがいるのだ。「それらのアニメを通して得た、“言語を超越した共通体験”は、政治や民族を超えたひとつのエネルギーになるのでは」と日本アニメの今後に思いを馳せるもぐもぐさんとPashimoさん。

「取材を通して見え方は広がりましたが、同時に日本のコンテンツへの危惧を感じました。幼い頃にコンテンツに触れる経験ってとても大切な原点じゃないですか。クラスみんながポケモンみてたよね、とか、ドラゴンボールはテレビで知ってる、とか。でも、世界的に見ると、日本アニメの放送数が減ってきている現状がある。みんなが知っている“○○”みたいなコンテンツって、今後出てくるのかなと。加えて、取材を通して中国発祥のソーシャルゲームやアニメの盛り上がりも強く感じました。日本ではそこまで知られていないですが、世界的では中華系の人口は多いですし、グローバル展開にも積極的で“覇権感”もある。日本のコンテンツにもこれだけ可能性があって、みんなが愛してくれているのに、このまま愛に甘えて胡坐をかいていたら衰退していってしまうんじゃないかとも。私は一人のファンでしかないのでただ、頑張ってほしいとしか言えないですが…日本アニメ界への憂いも今回実感しました」(もぐもぐさん)

「確かに世界で愛好されるアニメや漫画にも、日本以外の国のものが増え、状況が変わってきたように感じます。一時のトレンド狙いでない作品作りやそれをいかに届けるかは戦略的に考えてゆく必要があると思います。ただこれまで各地で出会ったファンの方々を思うと、同じ作品を好きだと思う気持ちは、距離や国籍や宗教を超越して確かに世界中の人々を繋いでいる。少なくとも、アニメで表現された世界観が、必死に生きるキャラクターの姿が、描き出される“苦悩”や“優しさ”が、誰かの心を救い、世界を少しだけでも生きやすい場所にしている。アニメは出会うはずのなかった誰かと誰かをつなぐことができる存在です。たとえ対立している国であっても、その壁を越えて“一つのコンテンツ”で盛り上がれる未来を作れれば…。そんな夢を持って、私はブログ『OTAKU CROSSING』(外部サイト)の運営や海外でのワークショップ活動など、今後も地道に活動を続けていきます」(Pashimoさん)

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