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「クセが強すぎる」キンチョウのCM、50年にわたり受け継がれる“面白さ”の遺伝子

  • 滝藤賢一が主婦に扮する『ティンクル』のCM

    滝藤賢一が主婦に扮する『ティンクル』のCM

 先ごろ、『もうどう広告したらいいのかわからないので。』というKINCHO(大日本除虫菊)の新聞広告が注目を浴びた。コロナ禍で世の中がどうなっているか予想がつかず、状況に応じた6パターンもの広告を公開し、SNSでも大きな話題に。だが、同社のユニークさが見て取れるのは、それだけではない。現在、長澤まさみらが出演するKINCHOのテレビCMは、過去にも沢口靖子、山瀬まみらが強烈な姿で登場し、毎回話題を呼んできた。同社のCM・広告はなぜここまで面白く、クセが強くなるのか? KINCHO宣伝部の小林裕一さんに話を聞いた。

1966年“ルーチョンキ”CMから受け継ぐ遺伝子、「広告とは真面目なことを言えばいいわけじゃない」

長澤まさみの関西弁が強烈な『虫コナーズ』のCM

長澤まさみの関西弁が強烈な『虫コナーズ』のCM

  • 香川照之が少年に扮するキンチョールのCM

    香川照之が少年に扮するキンチョールのCM

 長澤まさみがややはすっぱな関西弁を使う『虫コナーズ』、滝藤賢一が女装してシンクに映る自分に見ほれる『ティンクル』、香川照之がおかっぱ頭の少年に扮する『キンチョール』など、現在放送中のものだけ見ても、非常にインパクトのあるKINCHO のCM。過去にも、「亭主元気で留守がいい」との名言(?)を生み出した『タンスにゴン』、沢口靖子の体当たり演技が話題になった『タンスにゴンゴン』、山瀬まみがカッパに扮した『キンチョウリキッド』など、その面白さとクセの強さは、様々な世代の人の記憶に残っているだろう。

――KINCHOのCMはどれも非常にインパクトの強いものばかりですが、どのような意図があるのでしょうか?

小林さんテレビでは日々たくさんのCMが流れていますが、その中で視聴者の皆さんに覚えてもらうことが一番大事だと考えています。弊社は広告出稿量もそれほど多くないですし、できるだけインパクトのある面白いCMで覚えてもらおうという作戦です。もともとCMって、テレビを視聴する上では、正直いらないものじゃないですか(笑)。そういうものを見てもらうためには、面白さやインパクトで注意を喚起できないといけませんから。

――長澤まさみさん出演の『虫コナーズ』など、関西弁を使われることも多いですよね。

小林さん 我々、作っている人間に関西人が多いので、つい“自分に響く言葉”として関西弁を使いがちなのかもしれません。関西以外の地方の皆さんはどう思われるか…という懸念もありますが、下品にならない範囲の関西弁であれば良いかなと思っています。

――いつ頃からこのような面白CMを作られていたのですか?

小林さん 1966年、クレイジー・キャッツの桜井センリさんが出演された『キンチョール』のCMが最初です。当時のCMでは、“商品は正面に向けてまっすぐ持つ”のが当たり前でした。そんな中、桜井さんは逆さに持って「キンチョール、逆さにしたらルーチョンキ」とやったんです。それを当時の担当者が「面白い!」と採用して、結果、そのCMが当たりました。「広告とは真面目なことを言えばいいわけじゃない」と、そのときわかったんですね。弊社のCMは今もこの遺伝子を受け継いでいて、「皆さんに楽しんでもらえれば」という気持ちが込められています。

「金鳥の夏、日本の夏」…伝統と信頼があるからこそ「バカなこともできる」

笹野高史が力士となる『蚊がいなくなるスプレー』CM

笹野高史が力士となる『蚊がいなくなるスプレー』CM

――しかし、こういったインパクトあるCMを連発するのは、企業としてなかなか勇気のいるものではないんでしょうか?

小林さん 「金鳥の夏、日本の夏」という蚊取り線香『金鳥の渦巻』のCMをずっと流していますが、ああいう伝統的なものがあるからこそ、その一方でバカなこともできるんです(笑)。伝統と品質から得られる信頼と、娯楽性とのバランスとでもいいましょうか

――毎回、驚かされる内容ですが、アイディアが浮かんでくる背景は?

小林さん 簡単に言うと、“むやみに断らない”ということです。CMクリエイターの方たちって、もともと面白いアイディアをたくさん持っているのに、「どうせ断られるだろう」と思って無難な提案をしていることが多いと思うんです。ですが、弊社ではそれを受け入れる土壌があるんだと思います。そのせいか、クリエイターの人たちから「キンチョーのCMをやってみたい」と言われることは多いですよ。

――奇抜なアイディアを受け入れるだけの、器の大きい社風なんですね。

小林さん 自由な体質ではあると思います。みんなも「出来たものはしゃーない」と思っているんでしょうね(笑)。

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