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ドラマ『M』でもホラーより怖い存在感 “怪演枠”を一手に担う女優・水野美紀の力量
出世作は『踊る大捜査線』 舞台で演技力の地盤に磨きをかけ、映像作品に再び返り咲き
さらに、『恋人はスナイパー』(2001年/テレビ朝日系)では、アクションヒロインとしてのポジションを確立。その後、2007年に演劇ユニット『プロペラ犬』を作家・楠野一郎氏と共同主催した頃から、活躍の場を舞台にシフト。『劇団☆新感線』をはじめ、故・蜷川幸雄さんの作品など数多くの舞台で活躍する。映像作品とは異なる即興芝居や観客との生のやりとりも求められる舞台の世界において経験を積み重ね、着実に演技の地盤を磨きつつ、その幅を広げた。
テレビや映画から一時期遠ざかっていた水野が、映像作品で再び注目を集めたのが、園子温監督映画『恋の罪』(2011年)だ。清純派の正統派女優としてのイメージが強かったが彼女が、激しい濡れ場を堂々と演じて話題になった。
ここ5年ほどはメインストリームとして地上波ドラマを定位置とする活躍を見せている水野。その背景には、『踊る大捜査線』シリーズでの正統派婦人警官役から、アクション作品を含めた幅広いジャンルでのさまざまな役柄、さらに舞台での経験値の積み重ねなど、決して順風満帆に歩んできたわけではなく、紆余曲折を経て辛酸を舐めながら一歩ずつ地を踏みしめることで足跡を残してきたからこその“女優力”が、怪演にもつながっていると言えるだろう。