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4月10日は“ショートの日”、芸能人の自己表現にみるショートヘアの有用性とは
新垣結衣がなぜトレンド入り? タレントの髪型にまつわる大衆の熱狂
80年代ではキョンキョンが筆頭だろうが、アイドルのヘアスタイルの主流といえば、やはりロングヘアだった。しかし、それを打ち破るような衝撃を与えたのが、90年代にブレイクした広末涼子と内田有紀だろう。まさに “ボーイッシュ”なイメージで、少女であり少年のようでもある中性的な魅力があった。ショートヘアによって、より際立つ大きな瞳や透明感は、美しさ・可憐さだけでなく、凛々しさ・儚さもあり、普通のタレントやアイドルとは一線を画した大衆の “熱狂”を生んだ。
最近の事例でいうと、Twitterでトレンド入りをしていた女優・新垣結衣。今のご時世、芸能人の名前が突如トレンドに入ると、ヒヤリとすることも多い。「なんでトレンドに入ったの?」「コロナ?」「(ロッチ中岡と一緒にトレンド入りしていたため)結婚!?」と多くのユーザーが心配するなか、実情はただただ“かわいい”という事実だけだったということも。
SNSでは「なんでかガッキーがトレンド入りしてるから、個人的に心臓撃ち抜かれたガッキー貼っとく」「ガッキーのすごいところ言うね」と、ショートヘア・ロングヘアの新垣の画像が多数投稿され、“どっちのガッキーが好きか”論争が起こるまでに。映画『恋空』、ドラマ『掟上今日子の備忘録』、『逃げるは恥だが役に立つ』、ポッキーのCM…数えきれないほど破壊力抜群の画像が並び、結果「どちらの髪型も抜群に似合うガッキーすごい」と多くの人に癒しを与えたようだ。
後藤真希、前田敦子、平手友梨奈…アイドルグループのセンターは常にショートヘアが担ってきた
「モーニング娘。」初期には安倍なつみがセンターを務めていたが、99年に後藤真希が加入したことで、状況が一変。王道の黒髪ショートボブから、衝撃的で思春期ならではの刺々しさと愛らしさのある金髪ショートボブにセンターが交代したことで、楽曲の傾向も大きく変わっていく転機となった。
AKB48の全盛期のセンター・前田敦子も、グループ全盛期の楽曲『10年桜』『RIVER』『フライングゲット』などにはショートボブ、ミディアムショートだった。卒業後は一転してロングにしたが、瑞々しい少女から大人の女性への変貌を、髪型によってうまく引き出している。
また、乃木坂46も、初期にはボーイッシュなショートボブでダンスなどのパフォーマンス力の高い生駒里奈がセンターを務めていた。生駒が率いていた初期のキレキレに踊れるグループイメージから、「ロングヘアの綺麗なお姉さん集団」イメージにシフトチェンジし、パフォーマンス推しでなくなってからブレイクしたのはやや皮肉な話でもある。しかし、センターの髪型がグループの方向性を大きく変えるという好例ではあるだろう。
初動から大ブレイクした欅坂46の場合、グループのイメージそのものがショートヘアの平手友梨奈だった。目にかかる前髪のセットの仕方と、激しいパフォーマンスにより、前髪からのぞく目ヂカラの強さが、独特のオーラやミステリアスな雰囲気を出していた。
「アイドル=可愛い」イメージとして、昭和から令和の今に至るまで主流はロングヘアだが、ショートヘアはその群衆の中で「象徴」「非凡」を担っている。ボーイッシュなイメージと隣り合わせであり、それなりのリスクも伴うため、「人を選ぶ」面は否めない。長い髪という装飾が取り払われることで、顔立ちが際立ち、ごまかしがきかない。究極のところ、『西遊記』三蔵法師を演じた夏目雅子、宮沢りえの美しさは今も語り継がれているように、昔から美人には一切の装飾が不要であり、「ショートヘアが似合う=美人の証拠」というのも定説となっている。自分に自信がないと踏み込めない髪型ではあるだろう。