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『ガラスの仮面』の漫画家アシが語る当時の修羅場 徹夜続きで風呂にも入れず…それでも「悲壮感はなかった」

 昨今は着実に働き方改革が進む漫画家アシスタントの世界。だが、1970年代の変革期とされる少女漫画界においては、徹夜続きで風呂にも入れないような“シュラバ”が日夜、繰り広げられていたのだという。『ガラスの仮面』の美内すずえ氏ら、レジェンド級の漫画家の数々の傑作群が生まれる瞬間=シュラバの記憶を、自身もプロデビュー済みの漫画家として間近に体験した笹生那実氏が描き下ろしコミック化した『薔薇はシュラバで生まれる─70年代少女漫画アシスタント奮闘記─』。発売1ヵ月を経たずして4刷が決定するなど、話題を広げている。

“瞳の中の星”を描ける楽しみ 今やすっかり廃れてしまった少女漫画ならではの技法

──『ガラスの仮面』美内すずえ先生、『天然コケッコー』くらもちふさこ先生、『菜の花畑のむこうとこちら』樹村みのり先生、『はみだしっ子』三原順先生、『日出処の天子』山岸凉子先生と、おもに扱われる先生方だけでも、完全にレジェンド級の方々ばかりです。

笹生最初から、5人の先生方のエピソードで構成しようと考えていました。プロットの段階でまず許可をいただき、ネームを起こしてまた確認してもらって、という段取りです。中にはやっぱり、描かないでほしいと言われたエピソードもあったのですが、私がぜひ描きたいと思っていたことが実現できて、ありがたく思っています。

──制作の上でのご苦労などは。

笹生しんどかったのは、目が弱っててねえ(苦笑)。それと、自分でもびっくりするくらい画力が落ちているんです。うまくデッサンが取れないし、何度やってもうまく描けなかったんですよね。しっかり描くためには、いろんな道具が必要だろうと、トレス台のいいやつを買ったり、眼鏡を作り直したり…そこからの作業でした。

 真っ黒になるまで下書きして、これなら自分で許せる、というレベルで納得できたらペン入れ。基本、昔ながらのアナログ環境ですが、枠線だけはデジタル。稀にそれを見抜く方もいます(笑)。なのでとても時間がかかって、結果的に企画が動き始めてから2年9ヵ月で仕上がったというのが実情です。

──登場する先生方が、それぞれの画風とキャラクターにそっくりなタッチで描かれています。

笹生絵を寄せていく作業は、大変でしたけど楽しかったです。とくに、今やすっかり廃れてしまった技法ですけど、目にホワイトできれいに星を描くといった作業は、たまらなく楽しいんですよ(笑)。絵については、自分の画力ではここまで、という判断はできますが、構成やセリフについては、もっと考えたいと思いながら修正を続けました。もうちょっと意味の通じる言葉にしなくちゃ、とか、ここまどろっこしいからもっとスッキリさせなきゃとか。もっと最適なコマ割りがあるんじゃないか、ここはより印象的な構図にしたいとか。そういう作業には終わりってないんですよね。自分で何度も読み直して、描き直して。ネームだけで丸1年かかりましたから(苦笑)。

 でも、そういうことをすべて、こんなに時間をかけず限られた時間内でできるのがプロの先生方。ネームも絵も、コンスタントにある程度のスピードで継続できる能力が、プロフェッショナルな商業作家としての重要な条件だと思います。

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