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『ONE PIECE』完結まで「あと5年」カウントダウンはじまる 編集担当を直撃

尾田栄一郎氏の大人気漫画『ONE PIECE』の今後について、取材に応じてくれた編集担当の内藤拓真氏 (C)ORICON NewS inc.

 今夏公開され、全世界で興収100億円に迫る大ヒット作となった劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』。これまで登場したほとんどすべての海賊たちが大集結し、尾田栄一郎氏による原作とも密接にリンクするアイテムも登場するなど、アニメ20周年にふさわしい超大作となった。先日、『ONE PIECE』が「あと5年で終わる」という尾田氏の発言も話題に。今回の映画と原作の関係性、尾田氏の発言が意図することとは? 編集担当の内藤拓真氏(集英社 週刊少年ジャンプ編集部)を直撃取材した。

『STAMPEDE』で初めて「ラフテル」を出した意味

――劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』が全世界で興収100億円に迫る大ヒットとなりましたが、内藤さんが思うヒットの要因は何でしょうか?

内藤圧倒的にいい映画だった。何を置いても、やっぱりそれに尽きます。「ウィーアー!」や「memories」など歴代の『ONE PIECE』を彩った名曲が流れるという20周年映画ならではの演出も随所にあったし、ウソップがすごくカッコよかった。ウソップの姿には『ONE PIECE』の20年が凝縮されていたように思うんです。『ONE PIECE』をずっと追いかけてきてくれた皆さんも、きっといろいろな思い出を重ねながら観てくれたのではないでしょうか。

――国内だけで55億円を超えていますが、海外でも40億円超えのヒットを記録しています。

内藤はい。『ONE PIECE』の認知度が世界的に上がっているのを肌で感じています。例えばフランスの公開初日には、劇場に集まった大勢のファンが、日本語で「ウィーアー!」を合唱してくれていたり。中国でも、見た事のない盛り上がり方をしていました。20年やってきたからこそ「麦わら帽子の赤いやつがいる」という存在感が全世界に届いてきた、そういう実感がすごくありました。

 制作側もそうで、『STAMPEDE』のラフ映像をみんなで初めて見た日、スタッフ全員確かな手応えを共有できて、ぼくら担当編集なんて感動と安堵で号泣してしまったのを覚えています。ただそんな中で尾田さんだけは一人冷静で。もちろん物凄く良い出来だと言っていましたが、あの試写の時、尾田さんは「現時点で最高だね。僕がこの先描く原作の終盤は、まだまだこんなもんじゃないから」と言ったんです。

 『STAMPEDE』を見た人の感想には「最終回っぽい」というのも結構多かったのですが、尾田さんに言わせれば「もっと面白い最終回をぼくが描けるから、良かった」そうです。その発言を聞いた時は「なんて人だ!」と衝撃でしたし、「これよりまだ面白い物をこの先読めるのか!」と単純にワクワクしてしまいました。

――原作の終盤という点に関して、『STAMPEDE』にはグランドラインの最終地点「ラフテル」の永久指針(エターナルポース)が、「海賊王のお宝」として登場しました。原作とも密接にリンクするアイテムだと思うのですが…。

内藤そうですね。「ラフテルの永久指針なんていう物が、そもそも存在していいのか?」という部分は、スタッフで何度も話し合いましたし尾田さんにも再三確認をして進めました。あの永久指針は、この映画だけの突拍子もないお宝ではないんです。その証拠に永久指針には、誰も見た事もない「LaughTale(ラフテル)」というつづりが刻まれていました。ぼくら担当編集は、このつづりや意味するところを前々から聞かされていました。つまり尾田さんが作る物語のベースは、20年前からずっと一切ブレていないんです。

 それだけ重要で、かつ原作でもまだ出していなかった情報を『STAMPEDE』で初めて出す事にした。ラフテルの永久指針が存在して、それが「海賊王のお宝」として出てくるというストーリーの中で、ならば今ここで明かすべきだと尾田さんが判断したわけです。このタイミングでOKしたという事は、原作も終盤に差し掛かっているなかで、ひとつの『ONE PIECE』という作品として包み隠さずやろう!という尾田さんの気合いの表れじゃないかと思っています。

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