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「ONE PIECE」もネットで高評価 炎上しがちな“漫画実写化”はCMアプローチが成功パターン?
「世界観をよく理解してくれている」原作者も満足するクリエイティブ
さらに最近の実写化CM例を挙げていこう。昨年放送されていたロート製薬のボディケアブランド『デ・オウ』では、俳優・伊藤英明が『北斗の拳』のケンシロウを演じた。鍛え上げた身体と原作よろしく“濃い顔”の再現度が評判に。『北斗の拳』自体は1995年にアメリカで実写映画化されているものの大ヒットとは言い難く、日本における実写化はこのCMが初。作品の世界観を忠実に再現した出来映えに、作画の原哲夫氏も「世界観をよく理解してくれている」と賞賛。視聴者ともども納得させるクリエイティブとなった。
視聴者も「短時間コンテンツだから」とディティールを気にしない
だが、それでもこうした“攻めた”施策ができるのも、CMが15秒、長くて30秒という短時間コンテンツならではとも言え、ドラえもんCMには好感の声も多かった。見せられる時間が決まっており、ストーリーを細かく描く必要はない上、視聴者も「あくまでCMだから」と、寛容な見方ができる。昨年からスタートしたダイハツの軽自動車『ミラ トコット』のCMも同様に、女優・吉岡里帆が『ちびまる子ちゃん』主人公・まる子役に扮し、原作では9歳の小学生だったのを、22歳の“おとなまる子”へと設定変更。それでも、CM内では、まる子の抜けた性格を損なうことなく演出し、好感度1位を獲得するなど(2018年7月度業類別「自動車」部門、CM総合研究所調べ)、現在もシリーズ化されている。
外国人が『ドラえもん』を演じる、キャラクターの年齢設定を変更するなど、CMコンテンツの特性を活かした大胆なアレンジは、実写化に必ず巻き起こる「反感」がありつつも、面白がってくれる「共感」の意見も入り混じり、結果世間に強い印象を残す“バズ”が生まれる。
CMアプローチでの「漫画実写化」はリスク少なく話題性高い最良の選択肢
また、時代の旬の俳優を起用すれば、アレンジ次第によっては作品やキャラクター、そして訴求商材の価値を高めることができるため、リスクに比べてリターンのほうが多い。今後は、「あの人気キャラが大人になったら?」「もしあの有名俳優がキャラを演じたら?」といった既存の手法以外にも、実写化CMがどんなアレンジをしてくるのか。過剰なまでの“拡大解釈”には一抹の不安を感じつつも、楽しみにしておきたい。