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ORICON NEWS
2018年CM振り返り 大手CMと真逆の手法で“独り勝ち”した『ハズキルーペ』
“素人っぽさ”で視聴者にインパクトを与えた『ハズキルーペ』
一方、2018年最も注目を集めたCMは『ハズキルーペ』だろう。ベタな展開とどこか古くさい演出を披露し、“素人っぽさ”と“絶妙なキャスティング”で視聴者にインパクトを与えた。渡辺謙が開始3秒で「世の中の文字は小さすぎて読めないっ!」と怒って書類を放り投げたり、超ミニスカート姿の菊川怜は、“お尻敷き”で『ハズキルーペ』の強度さをアピール。産休明けの武井咲がクラブのママ役で登場したかと思えば、小泉孝太郎が「字が小さすぎて読めない!」と渡辺をまねたり、最後は4連発の“お尻敷きコンボ”が待っているなど、ベタな展開が盛りだくさんのCMとなっている。SNS上では若者を中心に「菊川怜の尻に敷く強度試験のくだりやっぱおもろい」「我が家のブーム」などの声が上がっていた。
『ハズキルーペ』のCMは、会長自ら陣頭に立って制作していることも反響を呼んだが、王道でスマートな手法(人気俳優起用、ドラマ仕立てなど)といったマンネリに飽きていた視聴者にとっては、逆に新鮮に映ったのかもしれない。
名作アニメを続々と採用 一方、パロディ化にはリスクも
そもそも名作アニメは、すでに数字(視聴率)を取ってきたコンテンツであり、中高年層にも認知されている分、幅広く訴求できるのが強みだ。
一方、名作アニメのパロディ化にはリスクを伴うこともある。日清食品カップヌードルがアニメ『フランダースの犬』を採用したCMは、SNS上で「これはヒドい」、「名作を冒とくしている」などと批判が殺到。NTTドコモがアニメ『一休さん』を採用したCMにも、「いまいち内容が分からない」「なんで1980円?1930円じゃないの?」といった声が多く上がっている。名作アニメのパロディ化は、その使用意図や着地点次第では2019年以降も議論を巻き起こしそうだ。
イケメンよりも親近感? “芸人”起用相次ぐ
またCMと言えば“イケメン俳優”を起用するのが正攻法だったが、ここ数年「親しみやすい>カッコいい」を重視する傾向が続いている。とくに顕著なのは、求人CMだ。リクルートジョブズの『タウンワーク』には、ダウンタウン・松本人志を起用。同社はORICON NEWSの取材に対し、「シンプルなコピーをインパクトを持って伝えられる人」として松本を選んだと話している。またエン・ジャパンの『エン転職』はバカリズムを、パーソルキャリアの『doda』は、ハライチ・澤部佑を起用した。
『doda』のCM制作に携わった担当者は、ORICON NEWSの取材に「『転職』が一つの選択肢として受け入れられつつあるが、それでも依然として『転職は後ろめたいこと』とネガティブなイメージを持っている人が多い。そこでCMでは、転職を身近なことと思ってもらえるように、ユーザー目線を演出してくれる“親しみやすさ”がある澤部さんを起用した」と語っている。「求人CM×芸人」は、同時代に生きる悩める求職者たちの“等身大”の要求に応えた象徴的なコラボとも言えるのではないだろうか。
“坂道”旋風止まらず! 正統派美少女・浜辺美波も2019年台風の目に!?
欅坂46は、NTTドコモの学生向け料金サービス「ドコモの学割」のCMに出演。新聞社のキャップを演じた堤真一と、会長を演じた“ひふみん”こと加藤一二三九段が「会合」と称してノリノリで欅坂46のライブを楽しんでいる様子が話題となるなど、2018年は、音楽業界に限らずCMにおいても“坂道グループ”の活躍が目立った年となった。
一方、2018年躍進を遂げた新人女優といえば、浜辺美波だ。正統派美女としてドラマや映画に引っ張りだこで、2018年はロッテ『ガーナミルクチョコレート』など8社のCMに起用された。2019年もCMをはじめ女優業でもさらなる飛躍が期待される。
こうしてみると、CMはやはり世相やトレンドを反映する鏡であり、ある種その“反動”として『ハズキルーペ』の異色さが目立ったとも言える2018年。果たして2019年はどんなCMが生まれるのか、どんなCMスター&ヒロインが出現するのか、注目したいところだ。