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ファミレスなのに「ぼっち席」話題、ひとり利用の”罪悪感”を払拭

  • ガスト 赤坂見附店の「おひとりさま席」

    ガスト 赤坂見附店の「おひとりさま席」

 5月19日、ファミレスの『ガスト』にある「おひとりさま席」を使用した人が、「ガストの1人用ボックス席まじ捗る。電源も自由に使えるし、ドリンクバーあるし、小腹が減ったらサイドメニュー頼めるし。確実にヘビロテする。」というつぶやきをして、約31,000RT、約96,000いいねを記録した。近年は、焼肉店でぼっち席(カウンター方式)が話題になったほか、「ひとりカラオケ」も当たり前の時代に。マーティング本部リーダー・小林大祐氏に、近年高まりつつある“ぼっち需要”を通して、「おひとりさま席」設置の意義について話を聞いた。

直営店であることが奏功 ひとりでも快適に過ごせる空間

  • ガスト 赤坂見附店

    ガスト 赤坂見附店

 『ガスト』が「おひとりさま席」を設置したのは2017年。現在は東京神奈川など首都圏、都心部のガスト、ジョナサン中心に22店舗に「おひとりさま席」が設置されているという。前述のつぶやきには多くのリプライが寄せられ、「めっちゃ捗りそう」「コスパ最強やん」「何ここ天国?」「めちゃくちゃ利用したい」など好意的なコメントが数多く挙がっている。

――「ガストのボックス席捗る〜」といったつぶやきがバズりました。そのつぶやきは把握されていましたか?
小林氏知っておりました。弊社には公式のツイッターアカウントがあり、日々担当者が、お客様が弊社についてどう考え、どんな発言をされているかをリサーチしておりますので、Twitter上で広がっていく様子を、うれしく注視しておりました。以前もクリスマスの広告などを話題にしていただいたことはありますが、お客様の声が広がっていくのはありがたい話でもあり、うれしい話でもあり。思わず口を挟みたくもなりますが(笑)、そこは黙って見守らせていただいておりました。

――「おひとりさま席」はどのようなサービスが?
小林氏特徴的なのは電源、Wi-Fiが使えること。また空間のプライベート感を出せるように工夫されており、作業や勉強に集中しやすい環境を作っています。荷物もフックにかけられるなど広々と使っていただけるよう配慮しております。

――店舗はどのような基準で設置されているのでしょうか?
小林氏「おひとりさま席」を設置する選定では、お客様の日々の動向を確認させていただいており、「この店舗はお仕事やお勉強をされにお店へ来ている人が多い」などの情報があれば、「では作りましょう」と。各店舗の店長と担当者にヒアリングもさせていただいていますので、需要がありそうなお店には設置している形です。

 利用客層はビジネスマンや学生がほとんど。ほとんどの店舗が直営店で、各店舗から声を集めやすいことが奏功した。

“ファミリー”レストランなのに“ぼっち” すべてはお客様のニーズから

  • ガスト 赤坂見附店

    ガスト 赤坂見附店

 だが『ガスト』はあくまで、“ファミリー”レストラン。ファミリーで利用するイメージが強いが、昨今の日本人のライフスタイルの変化に伴う客のニーズの変化から、“ファミリー”に加え、“ぼっち客”へのサービスがスタートしたという。

――昨今は家族で食事をするだけの場所ではなく、友人とティータイムを楽しんだり、仕事や勉強をしに訪れたり、お酒を飲まれたり、さまざまな使い方がされているように感じます。
小林氏そうですね。弊社としては単に「美味しい料理を出す」ではなく、「食にまつわるこの空間をいかに気持ちよく過ごしていただくか」がコンセプトになっていますので、いろんなニーズのお客様に満足していただける空間を作ることに尽力しています。一つのニーズにとらわれず、お客様の使い方にできるだけ応えていきたいと考えております。

 その一環として始まったものに「ドリンクバー」や「ちょい飲み」などもある。「食事」以外のニーズに応えてスタートしたものだが、『ガスト』では2013年、これらの店舗の内装を時代に合わせて変更するリモデルを強化。店内のレイアウトをリビングっぽい空間でリラックスできるようモデルチェンジ。灯りも暖色系にし、くつろげる空間をさらに意識しはじめた。そして誕生したのが「おひとりさま席」だ。だがコスパだけを考えて訪れる客ばかりだと、利益や回転率で不安が残る。しかし小林氏は「おひとり様の多い店舗に限定しているため、導入前に比べ効率的にご案内ができるように改善されております。」と話す。

――回転率のことを考えると、おひとりさまが“ぼっち席”に、ドリンクバーだけで長く滞在するとお店的に打撃もあるのではと考えてしまうのですが。
小林氏回転率についていろいろ議論はあるかもしれませんが、そもそもこのサービスが、回転率とは違うところからスタートしたもの。お客様のニーズを満たすところから始まっています。利用いただいているお客様は、ドリンクバーの他、お食事を楽しみ、さらに追加注文等もいただきながら過ごされる方が多くいらっしゃいます。混雑しているお店についてはご配慮いただきながらご利用いただいており、問題はございません。

“ぼっち席”設置により、ひとりで利用することへの罪悪感を払拭

 客のニーズを知る上で、各店舗の店長や担当者からのヒアリング、またSNSなどでのリサーチ以外に重要な役割を締めるものがあるという。

――ニーズに関してお客様からの直接の声はありますか?
小林氏お客様相談室もありますし、お客様アンケートも採っていますので複数のリソースからニーズをリサーチしております。店長が「これで困っているお客様がいる」と本部に声を上げることもあります。また昨今は性別や世代ごとに、どのような利用のされ方をしているのか可視化することができます。そうしたところから、何が『ガスト』に求められているかを知ることができるのです。

――例えばどんなものがありますか?
小林氏2014年頃から本格的にスタートした「ちょい飲み」では、軽く飲むぐらいであればファミリーレストランは案外使いやすいということが広まったように感じます。またお子様がいらっしゃる家庭では、居酒屋さんには行きづらくてもファミレスなら行きやすいなどの声も。そうした流れもあり、おひとりさまでも気軽にファミレスを訪れられるようになって、現在に至っております。

――やはり、おひとりさま利用の入りづらさは払拭されている?
小林氏とくに「おひとりさま席」をこちらがご用意し、ボックス席を提供することによって、これまでは、複数人数の席に案内されることでゆっくりくつろげなかったお客様が、BOX席を利用することで罪悪感なく過ごせるというお声もいただいております。

――今後も「おひとりさま席」は増えていくのでしょうか?
小林氏まだ何も決まっていませんが、すかいらーくグループでは例えば『ジョナサン』では都市部を中心に5店舗、また『chawan』でも1店舗の「おひとりさま席」がございます。文脈としては、お客様の需要、ニーズがあれば可能な限りそれに応えていきたいと考えておりますが、あくまでもファミレスは「食事をする場所」。舵をおひとりさまにすべて切ることはなくとも、ニーズがあれば増えていくのは当然のことだと考えます。

 お客様のニーズに応えて生まれた”おひとりさま席”。独身世帯が増加し、ライフスタイルの変化が顕著な現在、益々と”ぼっち需要”を高まり、今後もさまざまなおひとりさま用のサービスが生まれていくだろう。

(文/衣輪晋一)

歴代『ガスト』CM出演者フォト

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