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ORICON NEWS
なぜ“昭和”がここまでハマる? 清野菜名、本格アクションと無垢演技のギャップでオンリーワンの存在に
「好きだけど、アクション女優で成功したいという意識はない」
モデルから女優に転身するもなかなかブレイクせず、アルバイトに明け暮れる日々が続く中、園子温監督に見出され、映画『TOKYO TRIBE』(2014年)のヒロインに抜擢される。「こんなにキレイな回し蹴りを観たことがない!」と観客を驚嘆させたアクションシーンに加え、当時19歳にしてフルヌードの濡れ場にも挑戦。一躍、ブレイクスルーを果たしたのである。
以後、ドラマ『ウロボロス』(TBS系)や映画『東京無国籍少女』、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』などに出演、“アクションができる女優”として立ち位置を確立する一方で、「アクションを評価していただけたのはうれしいですし、好きなんですけど、そこの立ち位置がどうとか、アクション女優として成功したい、というような意識はとくにない」、「以前は、そこに頼っていた自分がいました。演技だけでは勝負できなくて、アクションがないと不安だったり……。それを克服したくて、あえてアクションがない作品をやったりという感じで、いろいろな役柄や作品に出演したい」(以上、ORICON NEWS)とも語っており、自分自身を冷静に見つめる客観性をも持ちあわせている。
その言葉通り、『窓際のトットちゃん』(テレビ朝日)では黒柳徹子を演じ、全国区の連続ドラマ初主演を果たし、さらに朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)にも出演するなど、アクション枠ではない作品へと活躍の場を広げてきている。
不良をたしなめる風紀委員、可憐な“ふんっ!”…昭和の学園マンガあるあるを体現
実際に第8話では、突如高校に乱入してきた金属バットのヘルメット男を相手に華麗なキックやパンチを披露。案の定、視聴者からも「清野菜名さんのアクションがすごい!」、「カワイイし、アクションもできてハリウッドも行けそう」など高評価を受けた。それだけではなく、同回では誤解する三橋に理子が説明する場面で、わかってくれない三橋に対して「ふんっ!!」と言って顔をプイっとするしぐさがあるのだが、この演技にもSNSでは、「悶絶…」「ふんっ!!がかわいすぎて胸が苦しい」「頭おかしくなりそう…」と絶賛する声が殺到。あまりにベタな仕草だけに、今のドラマでは絶対にやらない“昭和ノリ”なのだが、これも一周まわって超新鮮だったようなのだ。
静と動の演技を両立できる“個性”でオンリーワンの存在に
また、胸のすくような清野の得意なアクション(動)はもちろん、風紀委員系女子としての可憐さや無垢さ、シリアスな場面に直面したときの真摯さ(静)の演技もこなしており、さらに賀来や佐藤二朗、ムロツヨシといったアクの強い個性派俳優の中で、彼らの持ち味を損ねることなく、自分の演技との距離をとることができる“器用さ”も感じられる。こうした静―動、緩急バランスのとれた感覚のよさも、運動神経のよさとはまた違った意味で清野の魅力のひとつなのだろう。
かつての志穂美悦子(※現・長渕剛の妻)や早川絵美、森永奈緒美などに代表されるように、以前は女優本人がアクションをこなすことが前提とされていたが、時の流れとともに危険がともなうアクションは「知名度のある女優がやる仕事ではない」という風潮に。アクションはスタントマンによる吹き替えが常識とされる時代もあった。しかし、近年では綾瀬はるか、長澤まさみ、土屋太鳳といった女優たちが本格アクションに挑戦しており、アクションもこなせる女優の“個性”が再評価される傾向もみられる。なかでも清野のアクションの実力は抜きんでており、同世代女優の中でもアクションと演技を両立させるオンリーワンの存在になったといえるのではないか。
今回のドラマにおいても、アクションとコメディ要素も入った可愛い演技が見事に両立されており、まさに「動」と「静」をこなしながら演技の幅を広げてきた清野だからこそできる芸当と言っていいだろう。『今日から俺は!!』最終話以降も清野菜名の活躍に期待したい。