『今日から俺は!!』は家族の会話につながる名作ドラマ
視聴者のメインはその時代を知るF2、M2層と、まさかの10代も
学園ドラマといえば、若手イケメン俳優が集結する新人の顔見せの場にもなり、10代女性が視聴者のメイン層になるのが相場だが、80年代ツッパリを描く今作はちょっと異なる。原作ファンを含めた、その時代を知るF2、M2が約半数を占めるボリュームゾーンとなり、そこに10〜20代が加わった幅広い層がドラマを楽しんでいる。
そのなかで、10代は全体の10%弱ほどとなるが、ドラマバリューのアンケートでは「自分の知らない時代が描かれていて新鮮」(10代女性/千葉)、「1人ひとりの個性が強烈すぎておもしろい」(10代女性/栃木)、「オープニングが良すぎる!」(10代女性/北海道)、「各役柄の見た目の完成度がすごい」(20代女性/栃木)と、ファンタジーとして楽しみ、その世界観に興味を持つ若年層からの声が多く見られる。
親には現実、子にはファンタジーとなるおもしろさ
今作ではまさにそのとおりの結果になっており、親の世代からは「中学生の娘がハマっていて、自分だけでなく家族で楽しみにしている」(40代女性/千葉)、「子どもが観るので、毎週一緒に観ている」(50代女性/神奈川)、「おもしろい!なかなか笑わない父が笑って観ている」(20代女性/埼玉)といった声が寄せられている。
若い世代の視聴者を驚かせているのは、今の時代からは想像もできない80年代のツッパリ文化だろう。その滑稽さ、ダサさは、DAPUMPの「U.S.A.」が大ヒットしているほか、ファッションでもリバイバルの波がきているいま、そうしたダサかっこいいブームに通じるものがあるのかもしれない。ただし、その滑稽にも見えるおもしろさだけではなく、デフォルメされたダサいキャラクターをカッコよく見せるキャストたちの魅力も、そこにはある。それらが重なって、10代など若年層を惹きつけている。
当時を過ごしてきた大人世代にとっては、今としては化石に見えるツッパリたちの熱く芯のある精神性や、まっすぐな哲学を懐かしむとともに、心が熱くなるところもあるのだろう。そして、それについて家族と会話ができるのは、ドラマ視聴以上に楽しいことに違いない。
今作にはそんな世代を超えたそれぞれの楽しみがあり、それが高い満足度につながっているようだ。